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あなたの無意識が決める未来:アンコンシャス・バイアスとは?【知的雑学トリビア・豆知識】

アンコンシャス・バイアス: 見えない偏見との向き合い方

無意識のうちに持つ固定観念や偏見、これがアンコンシャス・バイアスだ。この現象は、私たちの社会生活や意思決定に深い影響を与えている。例えば、採用面接、教育、医療の現場など、あらゆる場面でその姿を現す。

アンコンシャス・バイアスは、私たちの脳が効率的に働くためのメカニズムの一部だ。脳は膨大な情報を瞬時に処理するため、過去の経験や学習からパターンを見出し、それに基づいて即座に判断を下す。このプロセスは大部分が無意識に行われるため、我々はそのバイアスに気づかないことが多い。しかし、この無意識のプロセスが時として偏見や誤った判断を生む原因となる。

ハーバード大学のImplicit Association Test(IAT)は、無意識の偏見を測定する興味深いツールの一つだ。例えば、男女の職業に対する偏見を調査するテストでは、参加者が男性を「リーダー」や「技術者」と素早く関連付ける一方で、女性を「家庭」や「看護」と関連付けることが多い。これは社会的なステレオタイプが無意識に浸透していることを示している。

また、医療の現場でもアンコンシャス・バイアスは問題となる。例えば、医師が無意識に患者の症状を過小評価したり、特定の人種や性別に対して治療法を偏らせたりすることがある。これにより、適切な医療が提供されないケースが発生し、健康格差を助長する要因となっている。

では、この見えない偏見をどうすれば克服できるのか。その鍵は、アンコンシャス・バイアスの存在を認識し、意識的に修正することだ。例えば、バイアス認識トレーニングや多様性と包摂性を重視した教育プログラムは、偏見を減少させ、より公平な意思決定を促す手段となり得る。

ある日、私はカフェで左手でコーヒーカップを持つ男性に気づいた。その仕草に違和感を覚えた自分に驚いた。なぜだろう?彼はただ左手を使っていただけだ。しかし、その行動が私の脳裏に「変わっている」と印象付けられた。この現象こそが、日常に潜むアンコンシャス・バイアスの一例である。

さらに、タトゥーを纏ったバリスタとの出会いも示唆に富むものだった。彼女の外見に対する偏見を持っていた私は、彼女が心理学の博士号を持つ優れた人物であると知り、自分の無意識の偏見に気づかされた。外見に囚われず、内面を見つめることの大切さを彼女から学んだ。

無意識の偏見を完全に排除することは難しいが、その存在を認識し、対策を講じることは可能だ。例えば、初対面の人と話をする際に、意識的に先入観を捨て、その人自身の言葉や行動に耳を傾けることだ。これにより、他者をより深く理解し、より豊かな人間関係を築くことができる。

無意識の偏見は私たちの生活に影を落とすが、それを乗り越えることで、新しい視点と理解が得られる。次回、左利きの人やタトゥーを持つ人、異なる背景を持つ人に出会ったとき、その先入観を意識し、純粋な好奇心と理解で向き合ってみよう。それが、私たちの世界をより豊かで多様性に満ちたものにする鍵となる。

参考

「オーケストラには男性演奏者が多い」「女性管理職が増えていかない」——これにはアンコンシャス・バイアスが影響していた!アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)とは、自分自身が気づかずにもつ偏った見方や考え方のこと。グーグルが社員教育に導入したことから広く知られるようになったが、この影響は組織に限ったことではない。個人の「キャリア」「収入」「成果」「人間関係」にまで影響してしまうのだ。本書では、数々の事例と調査結果とともに、バイアス(偏見)の真実、生じる理由、その影響と対策までを徹底解説する。個人が「本来もっている能力」を発揮したい/させたい人、必読。
【目次】
はじめに アンコンシャス・バイアスとは何か
第1章 どのように問題意識は高まったか
 白人男性以外のリーダーが増えない 米国でのダイバーシティ推進の鈍化
 男性の方が演奏が上手い? オーケストラで発覚した無意識の思い込み
 属性で評価が変わる 同内容の履歴書での「性別」による評価
 データ重視のグーグルが動く アンコンシャス・バイアス教育をスタート
第2章 バイアスはあらゆるところに
 第一印象は大きい 見た目によってもつ強力なバイアス
 血液型や出身地でも 何に対してもバイアスをもつ
 人種、宗教、性別、年齢… 国によって異なるバイアス
 アジア人男性と白人女性、どちらが有利? 人種によるバイアス
 男らしい/女らしい ジェンダー・バイアス
 CEOは身長が高い 米国には身長バイアスが存在する
 子育て中の女性に責任ある仕事はかわいそう 慈悲的差別
 若者はITに強い ポジティブなバイアスも
 自分には無理 自分に対してもバイアスをかける
第3章 どうして生じるのか
 生き延びるために必要不可欠 人間に必須のメカニズム
 事実が歪んで見える 脳には死角がある
 幼い頃から感化される 経験と周囲から刷り込まれるバイアス
第4章 無意識であることの危険性
  女子受験者を減点 医大受験でのコンシャス(意識的)バイアス事件
  男性の方が優れて見える オーケストラでのアンコンシャス(無意識的)バイアス
  無意識に奪われているチャンス 意識的にかけたバイアスと同じ影響を及ぼす
第5章 もたらされる悪影響
[個人編]
 1.意図しない疎外や差別に発展する 人間関係の悪化
 2.キャリアが狭まる キャリア選択の弊害と収入への影響
 3.実際に能力が低下する ステレオタイプの脅威
[組織編]
 1.特定の属性が優遇される 公平性を阻害する
 2.適材適所が阻まれる 採用・人事配置で誤った判断を下す
 3.疎外や差別の芽になり得る ハラスメントを生む
第6章 最小限に止めるには
[個人編]
 1.認める 自分が偏見をもっていると認める
 2.自問する 「思い込み」を疑う
 3.直感ではなく事実で 根拠をもって判断する
 4.「女々しい」はNG 言葉づかいに気をつける
 5.受け入れる 受容する行動をとる
 6.自分へのバイアスを解く 得意なこと、やりたいことへ
[組織編]
ダイバーシティ&インクルージョンを実現するために
 1.社員教育・研修を行う アンコンシャス・バイアス教育の導入
 2.履歴書から項目ごと削除する 評価者への不要な情報の排除
 3.候補者全員に同じ質問を 構造化面接(ストラクチャード・インタビュー)の実施
 4.属性で評価を変えない 同一の評価基準を設定
 5.会議では全員が発言する 発言の機会を均等に
 6.勝手に決めつけない 遠慮ではなく配慮を
 7.全体と結果の属性割合は同じはず 結果の検証を行う
おわりに “根拠”もとづく理解に向けて
*アンコンシャス・バイアス度チェック


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