一冊の本が、空間を作る。
アオキ
2022年4月。
DRAW A LINE(ドローアライン)から新しく「ブックシリーズ」が発売されました。
今日は、この製品がどのように考案されたのかをお話したいと思います。よろしくお願いします。
ケンケン(写真左)
よろしくお願いします。
アオキ
発売から5年以上経過したDRAW A LINE シリーズですが、評判は上がっていく一方でして、今では「インテリア好きのマストアイテム!」みたいに言われるくらいになってきました。
そんな中で発売された今回の新作「ブックシリーズ」ですが。
アオキ
そもそも今回、どんな形でプロジェクトがスタートしたんでしたっけ。
1.製品を生み出す"流れ"も共有する
ケンケン
メーカーである平安伸銅さんから「新しい商品についてあらためてゼロから一緒に考えましょう」とお声がけいただいて。社内のメンバーの皆さんとTENTとで一緒にブレインストーミングする形で始まりましたね。
アオキ
そうでした、そうでした。
発売から五年以上経過した今、平安伸銅さんも社員さんが増えていて、今の社内メンバーにはDRAW A LINE 立ち上げ当時のことを知らない方も多くなっていて。
TENTがどうアイデアを出し、どうやって形にするか。そのプロセスを含めて社内メンバーの皆さんと共有しようという事で。
ハルタ
ブランド運営をする為のグラフィックデザイン関連のガイドラインなんかはすでに共有されていたんですが。
それだけじゃなく、そもそも製品を生み出す流れも含めて、できる部分は共有しようということでしたね。
そこでまずは、TENTでは定番の「METHODを使ったブレインストーミング」から一緒にやりました。
(METHODについてはこちらから↓)
ケンケン
ぜんぜん「ブックシリーズ」とは関係ない案がいっぱい出てますね。
アオキ
サインペン作ろう!とか、杖はどうかな?とか、とにかくなんでもありで描きまくってますからね。
ハルタ
全体的には「暮らしの小さな問題を解決しよう」という視点から便利なアクセサリーアイテムのアイデアが多く出ていて。
僕なんかも「ハンディ掃除機を装着できるアクセサリー」なんか描いちゃってますけどね。
ハルタ
そういう便利さからのアプローチって一見良さそうに思えるんですけど、よくよく考えると「DRAW A LINE でやる必要あるのかな?」ってなっちゃって。
ケンケン
すでにかなり汎用性の高いアクセサリーアイテムを出しているから「新しいアクセサリーを作る必要があるか?」なんて話もよく出てました。
アオキ
何かアイデアが出るたびに「それ、今あるDRAW A LINEで解決できます!」って言ってましたね。追加アイテムとしてあっても良いけどなくても良いような案ばっかり出ました。
ハルタ
そんな中で出てきたのが『ブックスタンド』につながる提案。
ケンケン
はい。最初は取り外して使えるアクセサリーシリーズみたいなものを提案してて、その中の1アイテムとして、書見台を描いてました。
机の上では書見台として使って、それを突っ張り棒にも装着できるというようなアクセサリーです。
2.悩むのではなく考える
ケンケン
まずは僕の方でざっくりしたデザイン図面を描いて、それを平安伸銅さんの開発担当の方に試作していただいたわけですけど、なんかこう、すごくゴツイものができてしまって。
ハルタ
たしかに便利ではあるんだけど、DRAW A LINEとしては「コレジャナイ感」がすごくありましたよね。
ケンケン
とはいえあくまで1st試作なので。そこから洗練させればなんとかなると思って、TENTでも様々なデザイン案を検討していきました。
アオキ
この頃はTENTではケンケンさんが主担当で検討をほぼお任せしてたんだけど、何日も経過しても、ずっとなんか苦しそうに見えたんです。
あまりに苦しそうだったので「僕も考えてみるよ」って一緒に横で検討して、その日のうちに僕は「ケンケン、これは無理だよ諦めよう」って言いました。
ケンケン
「これは筋が良くない!」って。
アオキ
いったん冷静になって検討要素を箇条書きしたら
・分解したい
・シンプルな構造
・本を開いて置きたい
・取り外しできるようにしたい
・見た目をスッキリさせたい
とかとか、結構な数になっていて。しかもそれらが明確な優先順位がなく、漠然と「全部を解決しなきゃ」ってなってしまっていることに気づいたんです。
ケンケン
そうですね。書見台としての機能性を考えた結果、迷子になってしまってました。
何をどうしても複雑な形状しか思いつかなくて「謎の便利グッズ」しか描けなくて、めっちゃ悩んで苦しんでました。
アオキ
そこで思い切って要求を絞り込みこんで。
アオキ
ページ抑え機能や大きな背板をなくし、取り外しや折り畳み構造もなくし、何もかもを削っていった結果として何が残るのかを検討した結果
一本の線に、本を立てかけるような構造に至ったんです。
ケンケン
あまりにもシンプルな構造なので、最初は少し自信がもてなかったんですけど、簡易的な試作を作って事務所でためしてみたらすごく魅力を感じて。
ハルタ
とくに、植物と一緒に置いてみた時が突き抜けた瞬間でしたよね。
3.本が空間を作る
アオキ
僕は照明をつけた時もびっくりしました。ただの「本の収納用品」ではなくて、一つの読書空間ができてしまったような気がして。
アオキ
DRAW A LINE から過去に発売された様々なアクセサリーを組み合わせて使うことで、本と植物、本とコーヒー、本と衣類、などの「本のある空間づくり」ができるんですよね。
ケンケン
レコードも、すごく格好良いんですよ。
ハルタ
本やレコードって不思議ですよね。それ自体が意味を持つから、何を置くかによって、空間の印象をガラっと変えることができる。
アオキ
ここまでは「ブックスタンド」の話が多く出てきたんですけど、同時発売された「ブックラック」については、何かありますか?
ケンケン
こちらについては、最初は本のためのものではなく、在宅ワークのためのものとして考えていました。
デスク近くにDRAW A LINE を使う方も多かったので、書類やパソコンを一時的に置いておける場所が作れると便利だろうなと思って。
ハルタ
もちろん複数の本や雑誌を置いておくためにも最適だから、ブックシリーズとして発売されたわけだけど、キッチンなんかで使うことも話してたよね。
ケンケン
そうですね。キッチンには、トレーとかカッティングボードとか板状のものが多いので、そういうのを置くにも良いかなと。
他にも、僕は最近Nintendo Switch買ったので、それが入れられそうだとか、テーブルタップやルーターを入れるのにも良さそうだとか考えています。
DRAW A LINEが導入されている
ケンケンの部屋
↓
汎用性が高いアクセサリーだと思うので、今後は平安伸銅さんと協力して、そういったいろんな使い方についても伝えていくことができるといいなと思っています。
4.便利さからでは至れない魅力
ハルタ
発売されたものとしては「ブックスタンド」と「ブックラック」という小さなアクセサリー製品ではあるんですけど、こうして振り返ってみると、プロセスではすごく発見が多いプロジェクトでしたね。
アオキ
そうですね。最初は「暮らしの問題を解決しよう」ってアイデアを出していて、そこからでは「便利グッズ」しかできないという限界も感じて。
DRAW A LINE にしかない突き抜けた魅力ってなんなのか、その原点に立ち返ることで「本で空間を作る」という回答を見つけ出せて。
ケンケン
僕はやっぱり、多くの要求に応えようとしすぎて迷子になったことと、そこから突き抜けることができたのがすごく良かったです。
アオキ
普段は表に出さない悩みも含めて、製品を生み出す流れの全てを一緒に経験できた。そんなTENTと平安伸銅さんの「DRAW A LINE チーム」からは、今後も良い製品をどんどん出していける気がしてます。
というわけで、これからの DRAW A LINE にも、まだまだ期待いただけると嬉しいです。
今日はありがとうございました。
DRAW A LINE
Book Stand
DRAW A LINE
Book Rack
DRAW A LINE
MINIMAL RACK
DRAW A LINE の開発、はじめの一歩についてはこちらの記事からどうぞ
DRAW A LINE の開発、二歩目についてはこちらの記事からどうぞ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?