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綺麗に作る器用さよりも

学生時代から社会人に成り立てな頃まで。

先生や先輩、そしてメディアの情報などから
「デザイナーとはかくあるべし」
というような話が、僕の耳にはよく入ってきていました。

たとえば
「アイデアスケッチは”線が走っていて”美しくなければいけない」とか
「スチレンボードを切るときには、切断面が完全に平面になっていなければならない」とか

なんなら
「部屋にチリやホコリひとつあってはならない」とか
寝間着すらスタイリッシュでなければならない」とか。

生き方、立ち振る舞い、居場所、何から何まで、微細に丁寧に美しくある。それこそが"デザイナーの理想的"な姿であると。

今思えば、誰かに具体的に言われたわけじゃなくて、ただの独り相撲だったのかもしれないんですけど

勝手にそんな”呪い”にかかってたんです。僕は。

noroi_アートボード 1

なんかそういう時期って、こういう
うすーくて小さくて開いた文字とか使いがちよね

当時の自分、および
今もそんな言葉にとらわれている人たちにお伝えしたいことがあります。

何でもかんでも「美しくあるべき」なんて思ってたら、本当に画期的な製品なんて生み出せないよ!

って。

思いついた瞬間にササッとアイデアメモを描く。簡単な試作を作る。

そんな時にいちいち「スタイリッシュなアイデアスケッチを」とか「美しい試作を」なんて思ってたら、せっかくの創造性が萎縮しちゃうんです。

だから僕たちは積極的に、そうではない姿を晒します。

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格好良いかどうかは、最終製品を使って判断してくれれば良いし、苦労したエピソードなんて、そんなの、いっくらでも出てくるから。



そんなエピソードが読みたい人は、このマガジンがおすすめです



もっと単純に、この仕事は楽しいんだ!
というメッセージだけを伝えたい。

そんなことを考えて、展示をつくりました。

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30日まで開催中の「TENTのTENTH展」会場では、過去10年で出してきた、思いついた瞬間に描いたハガキメモの数々を抜粋して壁に貼り付けています。

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くだらないものや使えないものの中に
DRAW A LINE " MOVE Rod "を思いついた時のものや、SAND IT を思いついた時のものなど、その後、製品になったものの初期スケッチも存在してます。


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3Dプリンターを使った試作みたいなものもありますが、厚紙で作ったセロテープベタベタの試作なんてのもあります。当時の日付も記載されてたりします。

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図面や指示書、資料など、本当に仕事で使っていた書類たちも公開しています。


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ただ過去を展示するだけでなく、これからに繋がるように、アイデア出しや工作が体験できるスペースもつくりました。


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ケンケン君が考案した「段ボール製の肩掛けスタンディングうちわ」を一緒に作れるワークショップは、大人も子どもも、沢山の人が体験してくれました。

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5歳の少年が来て「つくって!」ってせがまれたので、その場で段ボールカメラを作ってあげました。

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TENTにとって、デザイナーっていうのは
「キレイキレイなものを描いたり作ったりする器用な人」ではなく

汚くてもいいからとにかく

数多くの失敗作を、恥ずかしげもなく作り共有し意見を取り入れられる

なんだと思います。たぶん。

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そんなわけで、熱い思いを込めた今回の

TENTのTENTH展
図画工作から始まるプロダクトデザイン

も、残すところあと4日間!

平日しかないのでなかなか難しいとは思いますが、どうか、無理してでもみに来ていただけると、とても嬉しいです。

きっと、つくる楽しさの燃料が注がれるはず。


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『TENTのTENTH展』
図画工作から始まるプロダクトデザイン


展示期間:2021年7月24日(土)〜30日(金)
12:00~18:00(20:00まで見ることはできます)
場所:下北沢ボーナストラック内ギャラリースペース


そして

展示を見終わったら、お店に寄ろう

そこにはちゃんと、綺麗なものが並んでいますよ。
ギャラリーとお店とを比較してみると、一番楽しんでもらえると思います。



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会場では「TENTのデザイナーと一緒にアイデア出しをしてる風」の記念写真も撮影できちゃいます。(ユカイ工学の青木さん、ありがとうございました!)


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戦うことだってできちゃう(ザリガニワークス武笠さん、ありがとうございました!)








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