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野球部バブル

高校生の時、バブルがあった。

「青空エール(河原和音)」という映画がブームになった。
高校球児と吹奏楽部員が恋に落ち、「甲子園に出たら付き合おう」と約束して互いに頑張るラブコメだ。
確か、竹内O真さんと土屋O鳳さんが出ていた。

高校2年の時、野球部全体のモテ期がきた。
吹奏楽部員もそうではない女子も野球部にグイグイきていた。
明らかに変わったのでそう記憶している。

野球部も野球部で、「甲子園でて彼女に応援してもらう」という妄想を四六時中していた。
僕もその1人だった。
母校の野球部は県内有数の強豪としての地位を確立していてそれがまたバブルを加速させる要因となった。
(僕は甲子園に憧れて背伸びして入部していた)

野球部員も、吹奏楽部員はじめとする女子も「リアル青空エール」に妄想を掻き立て、中には「野球部なら誰でもいい」という猛者もいた。
その「誰でもいい派」の女子たちに僕はモテていた。モテているかグレーゾーンだが、これがないとモテた記憶がなくなってしまうのでモテたことにしている。

とにかくこの時期は凄まじかった。

明確な期間はないが、知らない女の子からLINEが来る日もしばしあった。僕の友達の友達の友達からゲットしたと聞いた時はあらゆる意味でゾッとした。
教室で弁当を食べてるとクラスの女子が話しかけにきた。この時期はやたらと「教科書貸してくれない?」と頼まれた。おかげで僕が教科書を忘れたことになる事態に何度か陥った。

野球部員と吹奏楽員のカップルはこのバブル期に4組誕生し、2ヶ月以内に全滅した。

浮かれた野球部サイドは夜中のLINEのやりとりを見せびらかした。
『甲子園行ってね』『任せろ』『絶対応援するから!』『おう!ミカも頑張ってな!』という構文をなん度も見せられた。
あまりも”クサイ”やりとりに目を背けてしまった。でもちょっと羨ましかった。

僕はというと、(自分にしては)不気味なくらいアプローチを受けたが怖すぎたので交際はしなかった。この流れで付き合って破局した先人に学んでいた。それゆえ、交際はせず、ただ「モテている俺」を楽しんでいた。このバブル期、僕はとんでもないイケメンになった気分だった。女子にLINEしたら光の速さで返ってくるなんて、今まで「ごめん寝てた」で始まるトーク以外未経験だったので、なんだみんな起きてんじゃんとこの時知った。

ただ、バブルは弾けるのが世の常なので、当然これも例外ではなかった。
バブルは徐々に縮小し、3年生に上がる頃には元の世界に戻っていた。


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