「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第二十話 消えた思い出の輪郭
土曜日の朝八時すぎ、俺と店長は新幹線『のぞみ』に乗り新大阪を経由して芦屋へ向かった。新大阪駅で神戸線に乗り換え、芦屋駅からタクシーも使って、東京から計四時間ほど移動してようやく到着した。
「北条大学付属病院。ここが僕とゆきの入院した病院だ。アキちゃんは来たことあるかい?」
「ありません。名前も初めて聞きました。実は知ってる病院だった、とかを期待してたんですけどね。なにから調べますか? 金魚屋は確実にいる前提として」
「『忘れられた誰か』がいないか調べてみようよ。もし金魚屋に