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向精神薬を求めて本丸に攻めこむ / 2023年6月の対策を練る。

1948文字・30min


2023年6月の対策を練る。

マクラを少し書く。
去年はこの時期、プロの作家の弟子を抜けた。先生もぼくとおなじ病だった。老人性の躁うつで自殺念慮が凄まじい人だった。ぼくは夕方に呼び出され、朝までトーク(19時間にもなる日があった)につき合った。ぼく自身は先生の生活リズムに引っ張られて、精神も生活も崩れた。それからぼくは寝たきりが秋の終わりまでつづいた。

5月の執筆の稼働は実質、20日弱だった。18、19日は高橋洋一に提出する「企画書」を作った。20日からは月末までなし崩しに執筆ペースは潰れた。

今年の6月だ。
大事な女性とお付き合いをしている。順調だ。このままなにもなければ、結婚するだろう。
ここでぼくは、いままでの自分のスタンスを変える。
いままでぼくは「ぼくの双極性躁うつ感情障害を理解してくれ」と他人頼みだった。主治医にさえ訴えていた。実際、いまの主治医は管理医(副医院長にまでなった)で、ぼくとのインフォームド・コンセントが存在しない。
が、結局は主治医をふくめた、母も、いまの彼女も、だれひとりぼくの症状を把握していない。


ぼくを最も理解するのはネコだけだ。強く実感する。
ここで思ったのだ。

そもそも、他者に自分を理解してもらおうとする行為が、病気を改善させていないのでは?おれ(の病)を理解してくれ、とおれが言うのが間違っている。

この結論は、30分前、自分の脳みそからひりだした。

 いまぼくに本当に必要なものは他者の理解ではない。「向精神薬」だ。

 が、主治医(いまは敵陣だ)は、ぼくに向精神薬を処方しない。ここは、敵陣の懐、本丸に攻め込むしかない。本丸とは「閉鎖病棟」だ。これは恐ろしい計画だ。

 1980年代に社会現象になった宇都宮病院事件をご存知だろうか? 簡単に言えば収容患者へのリンチ事件だ。この時代の精神科病院は、日本の高度経済成長期で、私立の精神科病院が乱立していた。日本の社会ではまだハンセン病患者らへの偏見が濃く残っていて、田舎では部落、村八分、座敷牢、(虐待ではなく折檻)などの言葉が平然と使われていた。1981年、4歳のぼくは実際に祖父が祖母を縄で石柱にくくりつけ棒切れで、折檻を目撃していた。
「ぎゃあー、ぎゃあー」
 いまでもぼくの耳に祖母の叫び声は残る。

 それはさておき、ぼくは2011年は北イタリアの精神医療センター、2017年は京都の第二北山病院の閉鎖病棟に入っている。
ちなみにイタリアは精神病院の概念がない。
 イタリアは、1978年のバザーリア法によって精神病院が閉鎖されて、いまでは国内には精神病院がない社会がつくられている。実際にイタリア全土で精神病院が閉鎖されたのは1999年のことだ。
イタリアには、素晴らしい社会運動があった。
「Si puo fare シ・プオ・ファーレ(やればできるさ)」
「やればできるさ」運動だ。
下記は、ネットから引っ張ってきた資料だ。

 懐かしい! ぼくは、北イタリアのガルダ湖の湖畔にあるアルコ精神心療センターに救急車で搬送された。まさに上記の写真にあるホテルのような居心地だった。ドイツ系の医師、アラブ系のスタッフ、スロバキア系の仲間、アラブ系のいつも下半身丸出しの少女、なぜかぼくはスロバキアの彼のジーパンを盗んだ記憶がある。明るい食堂で美味しいパスタアマトリチャーナを食べた。ブラッコ(トランプゲーム)をやった。天気の良い日はみんなで外で日向ぼっこをした。

 ぼくはイタリアのホテルのような閉鎖病棟と日本の牢獄のような閉鎖病棟を経験している。これは主治医曰く(世辞かもしれんが)、日本人で日伊両方の精神科閉鎖病棟経験者はぼくだけだそうだ。講演ができると言われた。

 話は逸れたが、これからぼくは本丸に攻めこむ。計画を立てる。

 閉鎖病棟に侵入作戦。目標は一週間入院だ。
「消えた小説」(第二稿・三章)にでてきた統合失調症の若い女のモデルは実在する。彼女は「自ら手続きをして閉鎖病棟に入った」とぼくに言った。
ぼくもやってみよう。

■閉鎖病棟に入院してやること。
⑴ 向精神薬を処方してもらう。
⑵ 取材。細部に至るまで描写できるように内部を観察、記録する。
⑶ 主治医との関係性の改善
⑷ 主治医とのインフォームド・コンセントの構築
⑸ 転院の模索

■閉鎖病棟にもちこめるものは?
■閉鎖病棟で生きる人の観察と京都(北山第二病院)では色々と目撃したがその確認。
■詐病(病を演じる)について考える。

病や周り(例えば家族の)の無理解が壁になって作家・小説家を断念せざるをえなかった人が過去に、どれほどいるだろうか?
他者に自分が理解されない、それが孤独だ。孤独は「ぼくを分かってくれ」と言葉で伝えようとしても伝わらない。猫に孤独が伝わると感じるのはぼくだけだろうか。

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