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グレープフルーツムーン

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完結 【小説】グレープフルーツムーン#1〜14最終話 大学生バンドマンとレコード女子(?)のお話です。
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【小説】グレープフルーツムーン#5

【小説】グレープフルーツムーン#5

 とは言え、やっぱり冷静に考えると絶好のチャンスをオレは逃したかもしれない。

 次のスタジオ練習後に英理奈さんとの事をバンドのメンバーにしつこく聞かれたのでしぶしぶ話すと想像していた以上に呆れられた。
 挙句スマホを強引に奪われ勝手にメールを作成される。 

【この前はありがとうございました。週末また一緒にどうですか?】

 いや、オレ今週末はバイトだし…。
 10分後くらいに返信が来た。

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【小説】グレープフルーツムーン#9

【小説】グレープフルーツムーン#9

 それからしばらくは穏やかな日々だった。とはいえ、彼女は仕事、オレは大学にバイトにバンド。ゆっくり会える時間はほとんど無かった。少しだけ変わったのはそれまでは週末の予定の合う日を選んで会っていたが、曜日は関係なしに、たとえ平日の夜遅い時間でも、どんなにわずかな時間しか無くても、オレが会いたいと言えば部屋に入れてくれた。出来ればこのまま居座ってやろうと思っていたが、さすがにそれは叶わず、合鍵も頑なに

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【小説】グレープフルーツムーン#10

【小説】グレープフルーツムーン#10

 初めて出るライブハウスのステージに少し緊張気味だったが、結論から言うと最高に気持ち良かった。キャパシティは約350人でインディーズからメジャーのアーティストまで使用する人気のハコだ。プロ仕様なので音の抜けも良く照明も凝っている。主催のバンドは特にこのエリアでは人気のバンドで残りの2バンドもオレたちよりキャリアが長く固定客もしっかり付いている。今回はオレたちも必死でチケットを売った。大学の友人から

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【小説】グレープフルーツムーン#11

【小説】グレープフルーツムーン#11

 彼女の部屋のインターフォンを鳴らす。3回鳴らしても応答はない。電話にも出ない。まだ帰っていないのか、居留守か、どちらかはわからないが、とりあえず今はオレに会いたくないという事なのか。ギターケースとエフェクターケースを両手に抱えてオレは駅へと引き返す。
 今しがた電車が到着したらしい、大勢の人が改札を潜り抜けそれぞれの目的の方向へ散っていく。その中に彼女の姿がないか目を凝らしていたが、見つける事は

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【小説】グレープフルーツムーン#12

【小説】グレープフルーツムーン#12

 ベッドの上でオレに背を向けて横たわったまま、まだ荒い呼吸をしている彼女の髪を撫でる。

「……ごめん」

 細くて白い両手首が少し赤くなっていた。

「……大丈夫…、お水取ってくるね」
「いいよ、オレが行く」

 起き上がろうとした英理奈さんを制し、乱雑に脱ぎ捨てられていた下着だけを身につけ、慣れた手付きで冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを取り出して手渡す。

「……ありがと」 

 

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【小説】グレープフルーツムーン#13

【小説】グレープフルーツムーン#13

 明け方近くになって、オレの腕に抱かれたまま眠っていた英理奈さんが目を覚ます。

「大丈夫?」
「私、寝てた…?」
「うん」
「……ごめん」
「いや、もともと無理させたのオレだし…」

 オレの腕の中から抜け出し、ベッドの上で膝を抱えて座る。

「ずっと、起きてたの?」
「……うん」

 寝顔を見つめながら、ただひたすら英理奈さんの告白を思い返していた。

「……ほとんど話したと思うけど、他に何か

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