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週末ごはん(2月中旬)


■2月〇日(土)中旬


【夜ごはん】

まぐろのづけ丼
ふきの煮物
大根と油揚げのお味噌汁


ふきの煮物が食卓にあがると、ああ、春だわ、と思います。
それから今日は娘の体調がよかったんだな、とも。

まぐろの漬け丼は、こどもたちも大人も、みんな大好きです。
そのうえ簡単なようなので、娘もすこしはらくができたかしら。
白いごはんの上に、刻み海苔、大人には大葉、それから漬けまぐろ、最後に白ゴマがかかります。
夏だったら、みょうがを添えられていることもあっておいしいですよ。

食べ盛りのこどもたちをかかえながらも、お刺身も楽しめるように、びんちょう鮪がお安く手に入るときに買っているようです。


ふきの煮物は、わたしの母の得意料理だったもの。
寝たきりになった母に、娘が作り方を聞いたようです。

何度か味ききをしてもらいながら、最後は
「ちょうどええ、おししい。ようできとるね。おいしいよ。ありがとね」
そう褒められたんですって。

あれから毎年、どんな波乱があった年でも、娘がふきを炊かなかったことはないんじゃないかしら。


大根と油揚げのお味噌汁も、みーんなが大好き。
とくに長女が学校の調理実習で習ってきてからは、この組み合わせのお味噌汁は、わが家の定番のひとつになりました。
こどもたちがおかわりするんですよ。

ふっくらしたお揚げと、すきとおってみずみずしい大根のやわらかさ。
大根の素性がいいだけで、格段とおいしくなりますね。

「この大根あたりだね」
うれしそうな娘に、
「いい大根ね」
そう答えると、娘婿も
「おいしいよ」
とおっとり言います。

「よかった」
満足そうに娘が笑うと、ああ、今日は平和だったと、わたしも安心するのです。
平和じゃない時も、結構ありますから。


娘は敏感な体質で、月経周期や月の満ち欠けによっても体調が変わってしまいます。
本人も努力しているのですが、なにかこう、そういうものの及ばない力が、押し寄せてくるらしくて、意志のちからではどうにもならないようなんです。
わたしは嵐がくるのを恐れつつも、どんと構えているしか、そしてそのときにできることをするしか、できません。
あとは嵐が過ぎるのをじっと待つだけ。

いままで何度も経験してきて、それでもいつも味わうんです。
嵐の後の、「あれは、なんだったのかしら」の、きもち。

それでも、ここ数年は穏やかになってきたほうです。
まえはね、まえは、ジェットコースターに乗っているような日々だったんですよ。
とくに長男の産後はね。

最近はさすがに、ジェットコースターからはおりているかもしれません。
夫婦の仲が良いのが、なによりの薬ですね。


おとうさんとわたしも、昔から仲良しだったわ。
うらやましがれるような夫婦だったの。
おとうさんは、やさしくてやさしくてね。

ああ、思い出すとあのころのきもちが戻ってくる。


おとうさんの口にごはんをはこびながら、わたしは言いました。

「わたしたち毎日待ち合わせしてたのよね。
『まりも』っていう喫茶店、覚えてる? おとうさん」



おとうさんは顔を、にぱあっ、としたのでした。



おばあちゃんより




■2月〇日(日)


【よるごはん】

鶏のから揚げ
チャウダー
きゃべつの千切り
れもん
ひじきの煮物


おかあさんが、わたしの大好物の鶏のからあげを作ってくれたよ。
おとうさんも弟も唐揚げが大好きなので、たくさんあった。
おかあさんは、
「もも肉5枚分も揚げたよ~」
と言って、油の匂いのついた割烹着をぬいでたけど、
油臭くても、おかあさん好きだよ。

おかあさんのからあげはとくにおいしいよ。

生姜とお醤油の味と、すこしだけニンニクの匂いもする。
そとがカリッとしてるのに、噛むとじゅわぁ~って肉汁がでてきて、柔らかいんだ。
お肉を漬けるときに、生卵をつかうと、柔らかくなるって本当みたいね。

あと、たま~にだけど、塩こうじからあげにしてくれるときもあって、それがすごくおいしいの!
「いつもこれにして~」
って、弟とふたりでお願いしたんだけど、塩こうじがないときや、
節約してるときは、ふつうのからあげが出るんだ。

でもおいしいからいいよ!
またすぐ食べたい!


ひじきの煮物は、わたしは食べないの。

学校ではがんばってたべるけど、おうちではいいよって、おかあさんが言うから。弟もね。

今日のひじきは、何日か前に作り置といといたんだって。

「れんこんが入っているだけで、食感最高だねー」
ママとおばあちゃんが、意気投合してたよ。


スープには、あさりをいれないでもらったの。
わたしも弟も、あさりが苦手なんだ。
弟なんかね、いまよりちいさい時だけど、
「むんむんいやー!むんむんこわいー!」
って泣いたんだよ。
そのきもちっていうか、言いたいこと、なんかわかるよ。

あさりはなくて、キャベツの黄緑と、ベーコンのピンクと、ジャガイモの黄色っぽいのと、みじん切りになってかくれている玉ねぎ。
春の色みたいで、綺麗なスープ。

見た目よりさらっとしてて、意外においしかった。
おかわりしちゃった。
弟もおとうさんも、おかわりしてたよ。

そういうとき、おかあさんは、うれしそうに笑うんだ。

わたしはね、おかあさんの笑ったお顔がかわいかったから、
このおかあさあんのところに決めて生まれてきたんだ。


だからね、おかあさん。

むりしなくていいんだよ。



わらってね。




長女より




■今月のお茶菓子のこと



①和菓子屋さんのあんドーナツ。



そこのお店のあんドーナツは、午前中で売り切れちゃうんだって。
それでママは、買えると
「ラッキーだった♡」
って言う。

ひとつがずっしりしてて、甘すぎなくて満足感があって、たまに食べたくなるみたい。

こどもたちは、もっぱら牛乳で、
「あんドーナツと牛乳はさいこう~!」っていう声が聞こえる。


②抹茶かすてら


ヤオコーのかすてら。

この時期になると、抹茶味がでる。
この抹茶かすてらが出るのを毎年楽しみにしている。
濃い緑色をしてて、味がぎゅっとしてて、みんなだいすき。

大人はお茶だけど、こどもたちはやっぱり、
「かすてらと牛乳さいこう~♡」
ってふるえてる。

薄い紙にくっついた、ざらめというお砂糖のところはみんな大好きで、
こどもたちは紙ごと噛んで味わっちゃうんだけど、
ママまで、紙についたのを残さず食べちゃう。

パパはもうわかってる。
でも、ママの食いしん坊まで、諦めてないといいんだけど。

パパだって、そこがおいしいのを知ってるしね。
がまんしてるのかな……?


③お菓子あれこれ

(パパとママがお散歩で買って来たもの)


ショコラケーキ
抹茶ショコラ
よもぎ餅
いちご大福
どらやき


みんな好きなのを選んで食べてた。

弟はいちご大福からいちごが出てきて、びっくりして喜んでた。
いちごのお汁が、じゅわ~ってたれてた。

甘いもの好きなおねえちゃんは、いろいろ食べたくて、おじいちゃんとわけっこ。
その結果、ショコラケーキがおいしかったって。

おばあちゃんとママは、よもぎ餅を楽しんでたよ。
緑の香りがするって。
この時期によもぎを食べるといいんだよって。

パパはいつも通りどらやきをほおばってて。
ママは自分のよもぎ餅を、パパにちょっと分けた。
おいしいをシェアしたかったんだって。



③たい焼き


パパとママがショッピングモールに行くと買ってくるみたい。
おばあちゃんは、それを楽しみにしてるんだって。


おとなは、つぶあん。
(でもいっぺんだけ、パパがお好みたい焼きを食べてたけど)

いつ食べても、ママが言うの。
「やっぱりたい焼き屋さんのはちがうね~。
ふっくらしてて、あんがいっぱい入ってて、粒があって。幸せの味~」
「ほんとね。冷凍だと、こうはいかないよね」
おばあちゃんも言う。

パパは、ものも言わずに夢中で食べる。

ああ!
独身の頃から、たい焼きを買ってひとりで食べていたというパパよ!

こどもたちは、『冷たい焼き』の抹茶とチョコ。

いろいろ試しているふたり。

おねえちゃんは、
「こんどはマンゴーのを食べてみたい」
弟は、
「俺はこんどはクリームのやつ」
とパパにお願いしている。



④『やわらかサブレ』と どらやき


パパが買ってきてくれた、梅林堂の『やわらかサブレ』。
これはみんなたいてい好きなのが決まってるみたい。

おばあちゃんとママはラムレーズン。
おねえちゃんと弟は抹茶。


そんなとき、パパは、どら焼き。

あるとき、梅林堂によく行くパパに、
「梅林堂のお菓子で、なにがいちばん好き?」
ってママが聞いたんだって。

そしたらパパがね、
「どらやき」
って答えたらしい。

それでママはパパのこと素敵だなぁって、もっと好きになったんだって。


ちなみにだけど、認知症になったおじいちゃんは、
やわらかサブレもどら焼きもどっちも食べるからね。

おじいちゃんはいままでずーっと、家族を大事にして、守ってきた、
かっこいいおじいちゃんだから、みんな大切にしているの。

あたしのことも、ずっとお世話をしてくれたよ。
病院も、シャンプーも、予防接種も、認知症になる前までは、おじいちゃんがやってくれたんだよ。

いまは、おばあちゃんがしてくれてるよ。
エサは、弟がくれるよ。


あたしは、おねえちゃんが生まれる前から、ここのおうちにいたんだよ。
こどもたちが生まれるまでは、あたしがパパとママのこどもだったの。

おねえちゃんが生まれたときも、
弟が育つのも、
ずっと見てきたよ。


こないだは、ひいおじいちゃんも、みおくったよ。


あたしはさいごまで、ここで見守るの。

見守られながら、見守るの。


ここのおうちと、だいすきな、みんなのことを。



愛犬より








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