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BLACKPINK『How You Like That』、残酷な世界をあざ笑う主人公の気の強さが表現

BLACKPINKの韓国語と英語が両方使用された楽曲『How You Like That』では一貫して変ト長調(G♭dur)で歌われ、全体の76%が四分音符または八分音符で構成されている。複雑な付点四分音符などが少なくリズムを取るのは簡単だが、リサさん担当のラップパートは息継ぎを許さないほど難解だ。

今月分析した=LOVE『あの子コンプレックス』の前奏は、1フレーズごとに音が下がっていく恋する人間の繊細さが描写されているから、『How You Like That』とは対照的。『How You Like That』は四分音符=130のテンポでフラットが6つも付く。最初ミ(E♭)を二分音符で聞き手に差し迫るような音で始まる。クレッシェンドで演奏するのが自然だ。

「네 두 눈을 보며 I’ll kiss you bye」(君の両目を見てキスをする。そしてさようなら)とあることからこの曲はラブソングとも取れるが、UtaTenの日本語ver.歌詞には「君」の言葉は1つもない。

韓国語ver.、日本語ver.両方の最後の歌詞に「날개 잃은 채로 추락했던 날/어두운 나날 속에 갇혀 있던 날/그때쯤에 넌 날 끝내야 했어」で「こんな羽失った私を/あんな闇に落ちた私を/終わらせば良かったのそっと」とある。

散々な世界で底のない暗闇まで落ちた私が「思いきりあざ笑いなよ。いいざまだね。次はあんたたちだよ」と言いながら自分を憐れんでいる。

韓国語ver.だけを聴けば別れを告げる前のカップルの曲だと解釈が可能。日本語ver.歌詞を読めば、散々な世界で夢を追いかけ叶えられなかった虚しさを表現している曲と読み取れる。

この曲の主人公は恋のライバルや何かに負けたはずなのだが、音楽を聴くとかなり強気でいることが分かる。楽譜には重低音が多く地面に響くような四分音符にはその人が気を張っていることが表現されている。

全然落ち込んでいないしむしろ世界をあざ笑うような歌詞と音楽にめちゃめちゃ感動した、とか大好きになったとかいう感情は筆者に生まれなかったが、音楽のスタイルとして学べることが多い曲だった。

※『How You Like That』はウェブサイト「kokomu」のピアノ譜中級を、『あの子コンプレックス』は「mucome」ピアノソロ譜を参考にした。歌詞は「語学学習関連の情報ブログ」と「UtaTen」から借りた。

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