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O先輩の事件簿リターンズ

わたしの夏は終わった……イケメンバレーという夏が。
わたしの夏は終わった……体操という美しい男性たちの競演が。
わたしの夏は終わった……堀米くんの腹筋ry

暫くちょっと現実のイケメンロスが続くので、心の中で新たなる萌えを補充しようと思います。


ストレスとの上手な付き合い方

ここからが本編です。

後輩Uちゃんが「最近、よくわからないんですけど不安に駆られるんです」と衝撃的な悩みを打ち明けてきた。
彼女は見た目絶対に漫画を読まない、好きなものは文学小説と英語ですとか言いそうな顔をしているのに、私よりもアニメと漫画オタクだった。これがいわゆるギャップ萌えというやつなのだろう。

彼女は20代のイケイケなお年頃。でもこのギャップ萌えに気づかない人は多分わたしと同じく、彼女はきっと敷居が高くて文学の話でもできないときっと相手にしてもらえない……とそっと距離をとっていただろう。
しかしだ。ドSな妹に罵倒されることを望むちょっとMな感じもにおわせている(今日の話だけだとそんな感じでした)彼女。
推測だけではよくないので、彼女の母親の意見も聞いた。妹さんの性格は前回聞いた感じと今回の話も加味して確認したところ、「私は妹がいないと生きていけないんです」と告白した。まるでうちの小説に出てくる麻衣ちゃんみたいな危ないゾーンに入りかけている。
うちの麻衣ちゃんはハッキリ言って現実にいたら相当ヤバイ奴なんで、そういう危険な道に可愛い後輩が沼るのだけは避けたい
さらに妹さんは将来的な目標があるからいずれ実家を出ていくのだと言う。彼女は妹さんが居なくなったらきっとこころが生きる屍になってしまうだろう。
そこまで考えたわたしは幾つか彼女に提案をしてみた。

不安の原因の究明

いつ、どこで、どのタイミングで「不安」を感じるのか。
24時間なのか、不安の種類、持続時間。それによって生じる症状についての模索。
すると彼女は「仕事は楽しいんです。でもなんだかずっと続けられるのか不安で……」と漏らしたので、わたしはぴんときた。
そうか、彼女はユニフォームを脱いだ後も仕事のことを抱えて帰宅しちゃってるんだな。わたしなんて、脱いだらもう萌えのことしか考えてないのに。
「母に仕事のことを言うと、一度働いたらやめるなって言われるんです。別に私は今の仕事楽しいのでやめたいと思ってはいないんですけど……」と結構深刻な様子。やりたいこと色々あったけど、今日は彼女の話を聴くことに専念した。


不安が与える日常生活への影響について

次に、彼女が不安を感じた時に実際思い当たる症状について確認してみた。
彼女は実家暮らしなので、ひとりでいることがない。つまり、常にだれかと共存しているわけだ。
家族背景をさらに確認すると、良妻賢母な母親と、無口でとっつきにくい父親がべたべた犬と一緒に過ごしている。
「私は、誰かと話をしたいけれどもそういう親をみて育っているから、なんか結婚というものがそうやってずっと一緒にいなきゃいけないものかと思うとじゃあ(彼氏)いらないかなって……」
勿体ない。勿体ないぞギャップ萌えの君!!!
こんなに可愛い外見で、見た目と真逆なM気質。最高じゃないですか、フェチには堪らない。
不安という概念が、彼女の中で家庭における男が居なくても別に困らないという価値観を植え付け始めていた。
そしてさらに母に最近不安があると相談したところ、「そんなの誰だってあるよ。私だって不安だもん」と言われてしまいそれ以上母に相談できなくなってしまったらしい。そりゃそうだな、一般人にSOSの傾聴は難しい。

そもそも不安って何?

精神看護論ですね、ええ論文以来久しぶりに入りますよ。ただしわたしは専攻ではなくかじった程度ですので具体的な話は一切しません。
何かが気がかりで、落ち着かない(安らぎが得られない)心の状態のことをいいます。
なので、原因究明とひとつひとつ目の前の課題をクリアしていくのですが、これについてはその人がどこで悩んでいるか十分に話を聴くことからスタートします。
わたしは傾聴についてはハッキリ言ってど下手です(研究で精神専攻してたくせに無能すぎる)傾聴って、沈黙の共有という技術を使うのですが、本当にこれが難しい。ただ黙っていると段々苦痛になってきます。わたしが今まで沈黙の共有をして辛くなかったのはこの41年間でたった4名だけです。(うち唯一女の親友含む)
今は舘様(似の友人)がいるので、つらい時は彼から定期的に萌え補充しないとこころが持たない。

一例として総括してみる

話が脱線しました。彼女の話を一例として総括しますと
①ユニフォームを脱いだのに仕事のことを頭の片隅に置いているので家まで持ち帰ってしまった。
②家に帰ると両親が四六時中一緒にいる姿を目の当たりにしてこれが夫婦の形であるという妙な刷り込みをされている。
③妹がいないと生きていけない(強依存の関係になりかけている。ただ唯一の救いは妹側は姉が居なくても困っていないので、片側依存)

わたしが提案してみたこと

①ユニフォームを脱いだら一般人のUに戻りなさい。
わたし達の仕事は、はっきり言ってどこでも出来る仕事だ。それでストレスを抱えるのであれば正直「仕事を変える」という選択肢は幾らでもある。わたしが今の職場にかじりついているのは、左手が動かないから注射が出来ない、もう病棟で働けないというひとつの理由に過ぎない。後は忙しくても「葵さんが必要なんだ」と言ってくれるお客様がいるからこそ働いている。
ただ、わたしはユニフォームを脱いだらはっきり言って推しとnoteと小説のことしか考えていない。
もしも考えるのをやめられないのであれば、帰りに「今日の晩御飯は何にしようかな?」「ちょっと疲れたから、今日は自分にご褒美買って帰ろうかな」とか少し違うところに思考を置いてみるのもいい。

②お母さんが一度仕事についたらやめるなと言うのはあくまで一例に過ぎない。要するに、履歴書が汚くなると、「ああこいつは次もすぐやめるだろうな」というレッテルを張られるからでありそれにこだわる必要はない。履歴書に傷がついたとしても、あなたのこころが病んでしまったらそちらの方が取返しがつかないのだから。
またあなたは今の仕事でお客様としゃべることを楽しいと言っている。そして友達とごはんにいったり、会話したり。そこでリラックスできているのだから、家という箱に縛られずにこれからも遊べる時は外で発散すべき。
家から出るという選択肢が難しければ、まずは実家の近くに安い家を借りて、寂しくなったら定期的に帰るなど、まずは『ひとりの空間』を構築することが重要。四六時中両親が一緒にいるのが当たり前という刷り込みと、自立できない子として成長した後にいきなり結婚です、という選択肢を迫られた時に自分で出来ることはあったほうがいい。わたしの例を挙げると自分は23歳で一人暮らしをしたが、父親が大好きで実家で母に怒られていないか心配だったので、夜勤明けの日にシュークリームを届けに実家に帰った。これでこころのバランスを保ち、母の愚痴を定期的に聞きつつ自分の時間を有効に使って自分を何とか保っていた。
③妹さんがいずれ実家から出るのは明白なので、今のうちに妹がいなくても大丈夫という練習をした方がいい。それもまだ不安の材料であれば、まず箱を借りて、ごはんやお風呂、洗濯は実家に戻り寝るだけをひとり暮らし用のワンルームでも何でもいい。お金の管理も実家にいるより間違いなくうまくできるようになる。あれの値段はどう、この契約だとどれくらいかかる。という自分なりの家計簿が見えてくるので、ひとり暮らしを一度してみるのは悪い選択ではないと思う。

あくまで一意見だが、彼女にこれを伝えたところ、彼女は相談できる人が本当にいなくてつらかったようで、感情の消えた目に涙が浮かんでいた。よほどつらかったんだよな。彼女はとある先輩に嫌われている(しかも目に見える明らかな態度の違い)わたしもその先輩には好かれていないのと、彼女の感情の起伏で若干八つ当たりもされてきたので、そういう人なんだな、と割り切って考えていた。彼女はナイーブなのでまだ先輩を割り切って見られずに「私だけが嫌われている」という思いから不安をさらに倍増させていたらしい。

ここで登場我らがO先輩

一緒に飯を食っていたO先輩がすごく真面目な顔で人生を語ってくださった。

ユニフォームを脱いだらそれっきり!
仕事は色々変えてきたし、主人のことや娘のことで色々大変なこともあったけど、全部いい経験になった。Uちゃんはまだ若いんだから、仕事がここだけじゃないんだよ。我慢しちゃいけない。だってさあ、私達は生きる為に働いているだけで、ぶっちゃけるとここ以外にも仕事なんていっぱいあるじゃない?

おお、天然O先輩が総括してくれた。しかもわたしよりも15年年上なので言葉の重みが違う。
最高の締めくくりじゃないか。とわたしはそっと残ったパンをかじっていると、

「でもOさん、こないだ帰る時にユニフォーム抱えて帰りましたよね?」




はい?

何だそのトンデモ事件簿は。

要するに事件簿の経緯はこうだ。
先輩はさっさと着替えて帰りたかった。服を脱いでユニフォームをいつも業者が洗ってくれるかごに入れようとしたが、全く無意識のまま自分のバックにひっかけてそのまま外に別の先輩と出てしまった。
もう一人の先輩は「もうここまで出てきたんだから、事務所帰らないで家まで制服持って帰りなさいよ」とあきれたように言ったそうだ。

どんだけタバコ吸いたかったんだ!
あれだけプチプラ服をおしゃれに見せる人なのに、どうしてそんなにすっとぼけた天然を披露しちゃうんだ。
かごバックなのに、何故真逆の色をしたユニフォームが引っかかっていると気が付かなかったのだろう。これ、先輩に指摘されなかったら電車でうちの会社のユニフォームがぶらぶらしてたってことですよ。宣伝なのか?

折角いい話で終わろうとしたのに、もはや最後のO先輩が強烈すぎてUちゃんに何処までわたしの話が伝わったのかはわからない。

#なんのはなしですか



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