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砂の城(創作大賞投稿作品)

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6年前に小説家になろうで書く予定だった消された恋愛話を改稿して纏めております。【創作大賞2024初参加】 暗い部分も多いですが、人の感情揺れ動きとリアル重視。 ハッピーエンドです…
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#親友

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城「第3話 戻らない記憶」

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城「第3話 戻らない記憶」

「マキ、何かいい事あったあ?」

 店はまだ準備中。派手な同僚とは違い、私はメイクや服を整えるのに倍近い時間がかかる。
 鏡に向かい口紅を引く私の顔は、彼女の指摘通り昨日とまったく違っていた。目元に幸せオーラがはっきり出ている。この歳になって初めて彼氏とお付き合いしたような感じだ。

あの後、忍と2回触れるだけのキスをしてから電話番号とLINE、メールアドレスを交換した。
 何故か分から

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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第9話 弘樹sideー 親友

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第9話 弘樹sideー 親友

 麻衣ちゃんから連絡が来たのは、最後に店に行ったその2週間後だった。ところが店ではなく、中野にある喫茶店で話がしたいと持ちかけられた。
 元々彼女の売上貢献の為にお店に行っていたのだが、何か顧客でも掴んだのだろうか? 
 それはそれで喜ばしい事なのだが、知らない男が麻衣ちゃんにあれこれするのも気に入らない。これはただのお節介だと思われても仕方ないが、麻衣ちゃんは田畑の大切な妹だ。そして雪の親友でも

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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第10話 弘樹sideー 覚悟

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第10話 弘樹sideー 覚悟

 麻衣ちゃんはそのまま入院となった。俺は彼女の働くキャバクラの店長さんにどういう体調管理をさせているのかキツく追求した。
 予想した通り先方から返ってきた答えはとんでもない物だったが、俺は同行している医者や研修医と違ってそこまであの店に貢献している訳では無い。悔しいけど、結局それ以上何も言えなかった。
 あれをブラック企業と訴えるのは簡単なのかも知れないが、あそこで仕事をしている麻衣ちゃんが仕事を

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