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書くことがないときに僕の書くこと2024

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読むこと、書くこと、教えること、生きることについて
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#詩

20240613 すなおに、ずばりと、大胆に率直に

岡崎裕美子『発芽/わたくしが樹木であれば』の粉飾された赤裸々さの感じが嫌になって手に取った『啄木歌集』だが、寡聞にして存じなかった薮野椋十なる人物の序文が、(当時の感覚はわからないが)軽快でおもしろく、そこに「こんな事をすなおに、ずばりと、大胆に率直に詠んだ歌というものは一向にこれない。」とある。「すなおに、ずばりと、大胆に率直に」! まるで岡崎裕美子ではないか……などと思って、そういえば岡崎の歌

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5/28 2つの赤裸々さ

岡崎裕美子『発芽/わたくしが樹木であれば』を読んでいるが……嫌な言い方をすれば「赤裸々系」とでも呼べようか、鋭さと呼べそうなものはあるのだが、深さ、と呼べそうなものを感じない。私が深く読めていないのだ、というのはそのとおりなのだが、深く読もうという気にならない、気がする。うーむ。

妻がNHK「理想的本棚」を録画したものを見ていて、笹井宏之の『えーえんとくちから』が紹介されており、やはり良い歌集だ

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5/21 歌集が読めない

岡崎裕美子『歌集 発芽/わたくしが樹木であれば』を読んでいる。この文庫が出るまで単行本が手に入れにくい状態で、雑誌や短歌の本などに載った幾首かを読んで「これはすごい!」と思っていた時期もあったのだが、こうして歌集で続けて読んでいると、何というか、映画のワンシーンとかの方がよほど詩だなぁという気持ちになってしまった(ここで映画が思い浮かぶのは、世に評判の「したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤

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5/16 雨の日の椅子取りは/現代の詩人の主戦場を聴く

雨の日、我々が教室で勤しんでいた椅子取りゲームは、満員電車の予行練習なのであった。それは学歴奪取の、キャリア形成の象徴であり、人の世で生きるということの始まりなのであった。

満員電車に押し込まれて突っ立っていると、当然読書どころではなく、音楽でも聴くほかないのだが、思うに、現代の詩人の主戦場はポップスにあるのである。と思ってJ-POPを聞き取っていると、新しい言語使用とイメージを開拓せんとする意

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