ヘルタースケルター
今回は実体験ではなく、元風俗嬢の時事ネタ感想記です。
普段はデリバリーヘルス嬢だった過去のお話を書いていますので、是非そちらもお読みいただければと思います。
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先日薬物所持で話題になった女優さん。
何故か彼女は昔からやたら叩かれていました。立ち居振る舞いが傍若無人であることは間違いないのですが、女優としての実績の割に扱いが酷いなという印象。
勝新太郎氏や高嶋ちさ子氏は許されるのに、何故彼女はメディアに受け入れられないのでしょうか?
といっても、その当時は彼女に対してあまり関心がなく、テレビで断片的に得る情報で何となく立ち居振る舞いがよろしくない人。というイメージしかなかったのですが…。
しかし、自分が風俗業界を引退して数年後、たまたま鑑賞した蜷川実花監督の「ヘルタースケルター」にて、彼女の演技に鳥肌が立ちました。
今思えばそれは、演技を超えて実生活と溶け合った姿だったのかもしれませんが、兎に角彼女の女「性」を売り物にした人間の心情の移り気・破滅への道のり。これらが見事に視覚化されており、背筋が凍りました。
何よりも印象的だったシーン。
様々なものを失う中、屋上にて「もうやだよぉ。」とへたりこみながら泣きじゃくる彼女。まるで幼女のように辛い現実を思いのまま溢れさせて泣き喚く姿に、今まで出会った女の子達の姿が重なりました。
濡場や全裸のシーンも多く、監督の表現する世界観も妖艶なので全体的な印象はアダルトですが、シーンの端々に見せる心の未熟な主人公の姿が表裏一体となっていて、蜷川監督の映画の中では群を抜いて多面性のある作品だと思います。
ここからは私の勝手な想像ですが、現実の彼女は若い頃から沢山の大人に消耗されて生きてきたのではないかと。
幼少期から芸能界に身を置き、複雑な家庭環境の中で恐らく「子供であることを許されなかった」のではないかと思います。
最近の薬物報道中にお母様が元交際相手で同棲までしていた男性を「娘のキャリアには必要のない人間」と言い放ち、更に日頃から母娘の仲良し報道や、娘はあらゆる場面で母に対しての感謝を述べる姿を総合すると少し察しがつく気がします。
表面上は仲睦まじい様ですが、どんな人間であろうと子供の選んだパートナーに対して公に否定的な発言をする方はその子供を信頼していない方です。勿論1度くらいは引き止める声を掛けることはあります。が、それでも決断を子供が下すのであれば、それ以降は子供を信じて口を出さないのが賢明です。
事務所の方が解雇せずに一生を引き受けると豪語している点も、良い意味なのか悪い意味なのかは不明ですが、何らかの事情があるのでしょう。
彼女が身を置く環境は、昔から身の丈にあっていなかったのかもしれません。そのまま月日だけが流れ、年齢だけ重ねていく。
心が未発達な状態で今度は大人になる事・一般の型にハマる事を強要される。
恐らく彼女は生粋の職人気質。女優という職業には誇りを持っていたのではないでしょうか。
ベテラン・演技派の俳優さんや、映像作品を収益ではなく表現に使っている監督の元での彼女は嬉嬉として無邪気に振る舞う可愛らしさを感じます。
逆に、世の中受けするような感動作品や恋愛作品などの収益の為に生み出された作品の時のみ、あの態度のように感じます。
彼女は10代で消耗しきってしまったのかもしれません。
しかし、長らくその環境下にいたせいか、付き合う人間を選べるようになっても、つい癖で消耗目的の人間に引かれてしまうのかもしれません。
私は彼女をまた銀幕で見れればと思います。
彼女は消耗され、傷ついている女の子の希望の星です。
良くない現実に気づく為のきっかけを彼女の演技は与えてくれるから、私はひっそりと彼女の帰りを待っています。
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