ユーザビリティが満点でも、UX(ユーザーエクスペリエンス)は普通!? じゃあ、どうしたら満足してもらえるの?

使えるだけじゃ満足できない! ユーザビリティの向こう側

ユーザーの感情が、ユーザビリティに影響を与える。
『エモーショナルデザイン』 BY ドン・ノーマン


どんなにユーザビリティを追求しても、それだけではユーザーから最高の評価は得られないようです。(ユーザビリティに関してはこちらの記事を参照してください。)
単純に”使える”というだけでは感動は与えられないということですね。

どんなに使い勝手が良くても見た目の魅力が乏しければ、尊ばれるということはない。(※)
つまり最高の評価を得るためには、”見た目の魅力”などユーザビリティことを超えたところにある満足感が大事なのです。
※ : TEDでのドン・ノーマンによる講演


ユーザビリティを超えたところにある満足感=圧倒的に優れた「エクスペリエンス(体験)」 

ではユーザビリティを超えたところにある満足感とは一体どのようなものでしょうか?
結論から書いてしまうと、それは圧倒的に優れた「エクスペリエンス(体験)」だということです。

分かりやすい事例としては、まずスターバックスが挙げられます。
”ラテマネー”などと言われるように、スターバックスを始めとしたコーヒーショップは、しばしばその値段の高さが話題に登ることもあります。
同じコーヒーでもコンビニなら100円ですが、スターバックスなら多少高くても支払う価値があると考えてしまいますが、それはなぜか?

それはスターバックスが単純にコーヒーだけを売っているわけではなく、コーヒーも含め、店舗の内装やイス、BGM、バリスタの接客など”コーヒーを味わうための居心地の良さ”を提供しているからに他なりません。


大事なのは全体を通したエクスペリエンス

さらなる事例として挙げたいのが、こちらも有名なアムトラックというアメリカの高速鉄道のエクスペリエンス改善のエピソードです。
当初サービス改善プロジェクトは列車そのものや座席のデザインのみに照準が当てられていました。つまり列車の中での体験の良さだけを追求していました。
ところがユーザーが鉄道を利用する時のプロセスをきちんと把握してみると、いざ列車を利用するのは、全体で10あるステップのなんと8番目だったそうです。
つまり1〜7までのステップは、”駅に向かう”、”駐車場を探す”、”きっぷを買う”など座席や列車自体には関係のない行動だったというわけです。
その後すべてのステップを見直したことにより、アムトラックを利用する際の”全体のエクスペリエンス”が良くなったということです。

もし座席や列車だけの”改善”にこだわって他のポイントを見過ごしていたとしら、どうなっていたでしょうか? それでも旅をすること自体は可能だったと思いますが、全体のエクスペリエンスを向上させることはできなかったでしょう。

エクスペリエンスの価値はコモディティや製品の数十倍から数百倍

他社と比べた時や過去と比べた時に、”エクスペリエンス”の違いがなければ、お金を支払う価値に差が生まれないというわけです。
他の店よりも居心地良くコーヒーを楽しめるからお金を払う価値があり、以前よりも快適に旅ができるようになったから、それに見合う代金をはらうことにも納得できるというわけですね。

エクスペリエンスの価値はコモディティや製品の数十倍から数百倍である
BY ジョセフ・パイン、ジェームス・ギルモア
※参考 : ジョセフ・パインによるTEDでの講演

要するに高い価値を生み出すことができるのは”製品(サービス)”だけではなく、製品(サービス)をも含む”エクスペリエンス”だということです。

よくUI / UXとひとくくりにされるのを目にしますが、表層のUIを変更するだけでエクスペリエンスが向上するというわけではないようです。
むしろ最高のエクスペリエンス提供を目指して、サービスや製品の戦略から積み上げていくという考え方がしっくり来るようです。

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『The elements of User Experience』by ジェームス・ギャレット

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