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家族であり友達。心のバリアフリーを体現することが役目。|一般社団法人tsunagari代表理事・松川力也さんにインタビュー!

「行きたいけど、行けない」を実現するプロジェクト、AOi。当事者であり、起業家でもある、AOi共同代表の松川力也さんにインタビュー。AOiの立ち上げの経緯や、これからの展開。また松川さんが考える社会課題について伺いました。

【AOiのひとたち。】

松川力也(まつかわ りきや)さん
株式会社RESTA代表取締役
一般社団法人tsunagari代表理事

福島県須賀川市出身。14歳のときに脳内出血を発症し、後遺症を抱えながらも進学。

言語聴覚士免許を取得後、総合病院・就労支援施設を経験。

現在は起業家として、自身の目指す世界を創るため、日々奮闘している。


AOiはサービスであり、サービスでない。家族であり友達の感覚。

ーAOiを立ち上げたきっかけを教えてください。

松川:最初は僕がディズニーに行きたいと話したことがきっかけでした。一緒に事業を行っているメンバーのなかに、ディズニー好きなメンバーがいて、一緒に行こうよって話になって。でも「どうせならみんなで行く方が面白いよね」って話をしたんです。

そう考えたのと同時に、「行きたいと思っても行けない経験が自分にもあったな」ということを思い出して。ただ洋服を買いに行きたいのに行けないとか、本当にそのレベルなんだけど、自分が片麻痺だから行けないこともたくさんありました。

「行きたいと思っているのに行けない」ことは、当事者の多くの人が感じています。その問題を解決したいと思いましたね。僕はもともと医療の現場にいた人間だったということもあり、医療者がいないとどこに行くにも不安な気持ちも難しいことも感じています。

ならば、医療従事者を巻き込む必要があるなと考え、AOiを立ち上げました。

ー実際にAOiに参加してみて、率直な感想はどうでしょうか?

松川:今までのディズニー企画は、本当に面白い!楽しかった!に尽きます。また、参加してくれたみんなが学びを持って帰れたのが嬉しいですね。

当事者と行かないと知ることのできない世界を体験することができる環境がAOiです。一般の人は「このアトラクションに、自分は乗れるのかな」と考えないですよね。でも僕たちは、常日頃からそのような考えを持って生きています。

キャストさんに自分でアトラクションを利用できるかをで確認する。たとえ、利用することが難しくても交渉をトライすることが大切だと思います。

AOiはサービスですが、サービスではない感じがします。愛がありますよね。いろいろな形の愛があるけれど、旅行支援や誰かのサポートでついて行くことは、深い愛にはならない。

でもAOiは、家族みたいな雰囲気で迎えてくれるし、愛があります。家族とか友達と一緒に行っているような感覚。イベントを終えた後でも、みんなで出かけられる環境を作っている雰囲気がつながりを感じられますね。

そのつながりを感じられる点が、めちゃくちゃ良い。僕はそんな社会を創りたいです。AOi代表の吾妻もそのような社会を創ることを強く思っています。

同じような想いを抱いているからこそ、その社会を創るためなら彼の背中を押したいって思いますね。

AOiはゼロからイチを、みんなで創りあげるプロジェクト

ー共同プロジェクトから、新規事業へ移行した理由はなんでしょうか?

松川:メディシェアJAPANとの共同企画という形も好きでした。プロジェクトメンバーの役割分担や、チームとしての動きも面白かったので。

ですが、メディシェアJAPANが活動を停止することになり、このAOiはどうしていけばいいんだろうって雰囲気がありました。メンバー内でも悩んでいる感じや迷いがありましたね。

でも、立ち上げメンバーや参加してくれるメンバーが好きだったので、AOiが迷子になるのは惜しいと思い、僕たちの事業として引き取らせてもらえないかと、新規事業に至りました。

ーメンバーが好き、すてきですね!AOiならではの自慢できるところはありますか?

松川:まだ事業が小さいからこそ、制度や一人一人の悩みや不安に対して柔軟に対応できるところは、良い点ではないかと思います。

コアメンバーや決定者が少ない分、臨機応変に対応ができます。試行錯誤もしやすい環境だと思いますね。行動から決定までのスピードが速い点もAOiならではかと思います。大きい企業は行動から決定までにどうしても時間がかかる。

AOiには臨機応変に対応できるスピード感があります。それはとても大切だし、良いところだと考えますし、僕たちだからこそできることだと思います。

障がい当事者と医療従事者がタッグを組んでいるからこそできること。ゼロからイチをみんなで創っているからできることですね。

ーゼロからイチ、確かにAOiはメンバー全員で創りあげている感じがありますね!今後はどんな風にAOiを大きくしていきたいですか?

松川:これは僕の野望なのですが、最終的には世界旅行をイメージしています。僕が17歳の時、初めて海外に行ったんです。「障がいがあっても海外に行けるんだ」と、価値観が変わりましたね。

将来的には「障がいがあっても場所にとらわれない、行きたい場所に行く」をビジョンに掲げ、事業を展開していきたいと考えています。

AOiは「行きたい場所にみんなで行ける、心のバリアフリー」を体現する場所

ー松川さんが考える社会課題はなんでしょうか?

松川固定概念の塊だと思います。たとえば、「障がい」という表記。僕は「障がい」「障害」どちらでもよいと考えています。文字なんて、読めるか読めないかの話なので。中身が重要じゃないですか。

僕たちはいわゆるマイノリティ(少数派)なんです。世間からみたら、障がい者は少ないから。でも「障がいがあるからできないよね」ではなく、「僕たちでもできるんだ」と社会に示していきたい。そしてマジョリティ(多数派)の人を巻き込んだ社会を創りたいです。

ー最後に!松川さんが伝えたいメッセージはなんでしょう?

松川:バリアフリーという言葉が世界には知られていますが、「じゃあ段差を失くしたらみんなが幸せなのか?」とは、違うと思うんです。

AOiは「行きたい場所にみんなで行ける、心のバリアフリー」を伝えたいです。それが可能なことを自分たちで体現していきたいと考えています。

それは僕たちにしかできないことだと思いますね。「行きたい場所があるなら、行きたい人と行く」いたってシンプルな考え方です。僕はそういう社会を創っていきたいです。この考えはtsunagariの「多様性」にも通ずる部分があります。

tsunagariを立ち上げた理由としては「人と人とのつながりで社会を変えたい」という想いを持っていたからなのですが、もう一つのテーマとして「挑戦者を応援できるプラットフォームでありたい」という想いもあります。

実際、起業めちゃくちゃ大変でした。幸い、僕は人脈に恵まれましたが、普通の人だったら人脈もないし、資金もないし、プロダクトも作ったことない。その状態から始まります。きっと方法も分からないですよね。

でも、いざそうなった場面でtsunagariで学んだことを活かして欲しいです。ここで得た知識と経験を持って、どんどん挑戦してほしいなと思います。もちろん想いがあれば僕たちは協力します。

tsunagariはこれからも、障がいのあるなしに関わらず、人とのつながりでみんなが活躍できるプラットフォームでありたいですね。

AOiやtsunagariの活動に参加して「誰だってやればできるんだよ!」と感じてもらいたいです。一歩踏み出すことができるなら、その人を応援したいと思います!


「AOiには愛がある」という松川さんの言葉は、実際に体験した私も感じています。初対面なのに、初対面ではない感覚。あの雰囲気は温かく、心地よかったことは忘れられないですね。これからAOiが大きくなり、社会に広まってく未来が楽しみです!

今回はインタビューありがとうございました!

◆取材:ハル 執筆・編集:ハル
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