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離婚への葛藤は、いろいろな価値観との対峙

熟年離婚の葛藤を描く、
「もう別れても良いですか?」という本を読みました。
今日はその紹介をしたいと思います。


垣谷 美雨さんとは


著者は、垣谷 美雨(かきや みう)さん。
映画化された「老後の資金がありません」の著者でもあります。

1959年生まれ。
ソフトウェア会社勤務を経て、2005年「竜巻ガール」で第27回小説推理新人賞を受賞し、小説家デビュー。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9E%A3%E8%B0%B7%E7%BE%8E%E9%9B%A8

46歳で小説家デビューしているんですね。
(ほぼ)50代からのリスタートですね(笑)!

作品一覧

今の世相を突いている作品が多く、とても共感します!
タイトルだけでも、作品性がうかがえます。

定年オヤジ改造計画
リセット
姑の遺品整理は、迷惑です
老後の資金がありません
七十歳死亡法案、可決
子育てはもう卒業します!
『夫の墓には入りません』
うちの父が運転をやめません
結婚相手は抽選で
うちの子が結婚しないので


もう別れても良いですか

※ネタばれ含みます。

主人公は、田舎町に住む58歳の主婦です。
娘二人が家を出て、今は夫婦二人暮らし。
夫は59歳、あと1年で退職です。
将来夫が家にいると思うだけで、主人公の女性は憂鬱です。

離婚したい。でも、お金がない――
『老後の資金がありません』の著者が女を奴隷扱いする男たちとの決別を描く、ベテラン主婦のハッピー離婚戦線。
決断は、幸福のはじまり! 
50代、女の再出発を描いた傑作長篇。


離婚へ至るまでの葛藤


こんなキーワードが出てきます。

夫源病
男のプライド
夫や回りの男尊女卑
夫の顔色ばかり気にする生活
飼いならされた自分への嫌悪

世間体
良妻とは?
卑屈になる自分
女同士の優劣争い
男の目からは高評価の女

離婚って悪いことなの?
夫を見捨てることの罪悪感
あきらめが賢明かもと揺れる心
結婚に「失敗」することの敗北感
捨てきれない「幸せな結婚」の幻想
結婚前に既にあった夫への「違和感」
いい夫婦でなかったことの子供への罪悪感

会社員を辞めた後悔
自立できない歯がゆさ
パートと正社員の格差への憤り
本当に女一人では暮らしていけないのか?
行動出来る人は「恵まれている人」と自分を納得させる

年を言い訳にする
明るい未来があると思っていた高校時代
こんな気持ちで人生を「浪費」していく焦り
子供は成長するけど、自分は成長しないのか?

離婚した人、離婚したいと思っている人は、
かなり思い当たるのではないでしょうか?

私も離婚した頃は、この「ほとんど全て」の葛藤を経験しました。
知らずに囚われている、いろいろな価値観との対峙です。


一歩を踏み出す力強い言葉


この中で、強く共感したフレーズを紹介したいと思います。

親が思う以上に、子供というものは親のことをよく見ているものだ。
異常な家庭で育った子供は、男と女が喧嘩しながらも譲り合い、互いに思いやりを持ち、寄り添い合うという当たり前の夫婦の形、家族の形を知らない。
相手を毛嫌いして無視しながら、世間的には夫婦という形を続ける。そういう異常な状態家族の形だと思い込んでしまう。
考えてみれば、日本の家庭の多くがそうなのではないか。
日本の家族は、それを延々と何世代にも亘って続けてきたのではないか。

自分だけを大切にする人間は、最初から家庭を持つ資格なんてなかったんやないの?

「皆婚」は、決して「良いこと」ではなかったのでは?
同意見です。


次に、主人公の女性が離婚に向けて立ち上がるときの決意です。

確固たる自分を持っている女、人の意見に右往左往することのない芯のある女、男どもの心ない言葉にいちいち傷ついたり落ち込んだりしない強い女。そういう女になるのだ、私は。

そして、私が最も共感したフレーズです。

弁護士に離婚の相談をしに、
普段は行ったことのない遠くへと、車を走らせた時の場面です。

大きな道路に出て信号を渡って建物の中へ入ると、あまりの広さに圧倒された。
少しのことで怖気づくこの性格はどうにかならないものか。
狭い田舎町から一歩も出ずに暮らしていると、人間誰しもこうなってしまうのだろうか。
そのまま死ぬまで田舎町で安泰に過ごせれば問題はないかもしれないが、晩年になって都会に住む息子や娘の家に引っ越していく人も少なくない。施設に入れば環境も変わってストレスも溜まる。
この先どうなるかわからないと思えば、あちこち出かけて行って何でもかんでも見て聞いて体験を増やしていった方が良いのではないかと思えてきた。それは何歳になっても老体に鞭打ってでもやるべきことのような気がする。

そして、離婚が成立し晴れ晴れとしたスタートを切るシーン。

さあ、人生の再出発だ。
誰の人生でもない一度しかない自分の人生だ。
もう二度と誰からも抑圧されない暮らしが始まる。偉そうに指図されることもない。
ひとつひとつの物事を自分で判断し、自由に行動できるのだ。

誰のためでもない、自分の人生を生きるために
自分の責任で、自分で行動する。
覚悟は必要だけれど、自由です。

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