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人は時代の中で生きている:島たび
瀬戸内の豊島(てしま)という島に、10日ほど滞在しています。
先日、犬島という島に行きました。
島の歴史と、人の暮らしと、アートを通して、
感じたことを書いてみたいと思います。
犬島とは
犬島は、瀬戸内海にある
周囲3.6km、面積0.54k㎡の、小さな島です。
岡山市東区の宝伝港から船で10分の場所にあります。
犬島は、古くは石の採石場でした。
「犬島みかげ」と呼ばれる花崗岩の産出で知られ、古くは江戸城、大阪城、岡山城の石垣の切り出し場となるなど、全国各地で犬島の石が珍重されています。
その後、採石は下火になりました。
次に1907年、現在の倉敷市にあった銅の精錬所が移転されました。
移転された理由は、公害問題でした。
銅を加工する際に有害なガスが発生するためだったそうです。
おかげで、島の木は全て枯れてしまったそうです。
しかしその精錬所も、たったの10年しか稼働しませんでした。
銅は金属加工に重宝されるそうですが、
需要が減り、銅が大暴落したためだったそう。
1914年から始まった第一次世界大戦が1918年に終わり、
武器などの生産の必要が無くなったためだったそうです。
人の暮らし
銅の製錬業や採石業が最盛期だった頃は約5,000名の人が暮らしていたと言われています。
島の人口は2020年11月末現在で43名です。
かつては5000人もいた人口が、
2022年の今現在は40名弱までに減っているそうです。
製錬所の周辺には社宅、会社専属の演劇場、請願駐在所や飲食店、料理店、旅館などが立ち並び、犬島は三味線や太鼓の音が夜遅くまで聞こえる、辺り一番の都会であったとされる。
同じような運命を辿った町は、他にもたくさんあったんでしょうね。
人は生まれる場所、生きる時代を選べません。
時代に翻弄されながらも、人は時代とともに生きるのですね。
アート施設として再生
使われなくなってから、90年もの間放置された精錬所は、
2008年に美術館として再生しました。
犬島精錬所美術館
「在るものを活かし、無いものを創る」というコンセプトのもと作られた美術館は既存の煙突やカラミ煉瓦、太陽や地中熱などの自然エネルギーを利用した環境に負荷を与えない三分一博志の建築と、日本の近代化に警鐘をならした三島由紀夫をモチーフにした柳幸典の作品、また植物の力を利用した高度な水質浄化システムを導入しています。「遺産、建築、アート、環境」による循環型社会を意識したプロジェクトといえます。
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街に溶け込むアート
犬島の町の中には、精錬所以外にもアートがあります。
犬島「家プロジェクト」
現在、「F邸」「S邸」「I邸」「A邸」「C邸」の5つのギャラリーと「石職人の家跡」に、さまざまなアーティストの作品を公開しています。
「F邸」
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こんな町の中を通りながら回ります。
基本的に車のない町のため、細いくねくねした路地が続きます。
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廃墟も多いです。
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「時間の経過」という要素が加えられ、
ここでしか見られないアートの出来上がりです。
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「打ち捨てられたもの」をアートに
もう一つ、「打ち捨てられたもの」に焦点を当てた作品がありました。
こちらは「豊島」の「針工場」
旧針工場は昭和の終わりに閉じられたメリヤス針の製造工場跡地であり、船型は愛媛県・宇和島の造船所にて本来の役割を一度も果たすことなく約30年間放置されていた鯛網漁船の造船用の木型です。別々の記憶を背負った二つの存在が、
作家によって重ね合わせられ、新たな作品として息づいています。
打ち捨てられたままでは、誰にも気づかれない。
軍艦島もそうですが、私たちに見せてくれるきっかけがないと、
私たちは知らないままです。
こうしてアートの舞台や遺構として保存されることは、
とてもありがたいことだと思いました。
ともすると、薄っぺらい日常の繰り返しになる私たち。
時には、違う視点をもつきっかけが必要です。
町と人と歴史を感じながら巡る。
その場所だからこそ感じられるアートのたび、
いかがでしょうか?
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