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「軍艦島」で考える:町の「しまいかた」

人口減少時代、そろそろ町の「しまいかた」も考えるべきでは?
そんな話をしたいと思います。

少し前にテレビで、北海道夕張市のことをやっていました。
夕張の「財政破綻」は、皆さん記憶に新しいのではないでしょうか?
町の「しまい方」の「先進例」として、
全国の自治体が視察に訪れたり、勉強会を催したりしているとのことでした。
どこの自治体も他人ごとではないということですね。


夕張市の人口減少

夕張市の人口は、昭和 35 年(1960 年)の 107,972 人(住民登録人口としては、昭和 35 年4月 30 日時点の 116,908 人)をピークとして減少を続け、平成 27 年(2015 年)10 月1日には 8,843 人と、急速に人口減少・少子高齢化が進んでいます。

https://www.city.yubari.lg.jp/gyoseijoho/machidukuri/machidukurimast/rittitekiseika.files/siryou.pdf

2022年6月30日時点の人口が、6,918人 のようです。
ピーク時の1960 年の約 11万7000人が、今は約7000人。
62年間で11万人が町を出た、ということになります。

かつては石狩炭田の中心都市として栄えたが、1990年(平成2年)までに全ての炭鉱が閉山した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%95%E5%BC%B5%E5%B8%82

炭鉱があり栄えていたのが、閉山によって人が流出した、ということですね。


日本の人口減少


人口減少については、たびたび触れています。

単純計算して、2022年から2100年まで合計1億1576万人が死亡し、生まれてくるのはわずか4728万人程度。差し引き約6850万人の人口が消滅する。冒頭述べた2100年人口約6000万人が決して誇張ではないとおわかりだろう。

人口減少に伴い、消えていく集落も増えていきます。

限界集落

・人口減少
・産業構造の変化による人の移動
町は「永続的なもの」ではない
ということですよね。


軍艦島に見る町の「しまいかた」


少し前に旅行で、軍艦島を訪れました。
とっても興味深かったです。

軍艦島の歴史

1810年(文化7年)ごろ、端島(通称:軍艦島)で石炭を発見。
それから80年ほど経過した1890年(明治23年)、三菱社が島全体と鉱区の権利を買い取り、本格的に石炭の発掘が開始されました。
端島炭鉱の石炭はとても良質で、隣接する高島炭鉱とともに日本の近代化を支えてきました。
石炭出炭量の増加に比例するように島は急成長を遂げ、1960年(昭和35年)には5,267人が住んでいました。
当時の人口密度はなんと世界一。東京の人口密度の9倍以上とも言われるほどでした


たったの160m×480mの「岩礁」の島に、5000人以上が住んでいたんですね。

林立する高層マンション。
世界一の人口密度の記録は、今も破られていないそうです。
エレベーターのない時代に、9階建ての屋上にある保育所まで階段で通っていたそうです。

昔の暮らしの様子

この町の終わりはこうです。

繁栄を極めた軍艦島でしたが、主要エネルギーであった石炭が石油へと移ることにより衰退の一途をたどります。
1974年1月15日に閉山、この年の4月20日に全ての住民が島から離れ、軍艦島は無人島となりました。

閉山からたったの3か月間で、島民は全員退去しました。
島民が住んでいたのは、全て三菱社の所有していた「社宅」でした。
それもあり、退去はスムーズだったんでしょうね。

ちなみに、軍艦島がなぜ観光地としてスポットが当たったか。
「廃墟」が残った理由は、
無人で危険がなく、取り壊す必要が無かったからだそうです。


「土に帰った」島


今日の「しまいかた」のヒントは、実は軍艦島ではありません。
軍艦島の近くの島です。

軍艦島同様の、炭鉱のあった小さな島は、周辺にたくさんあったそうです。
島民が「順次」退去した島は、危険があるため建物も順次取り壊していきました。
今は完全に土(自然の姿)に戻ったそうです。

「あの島もそうなんですよ」
船上で言われ、そちらを向くと、
小さな、草が生えた島がありました。


高い建物はもういらない


私の好きなYouTube
以前、苗場のリゾートマンション群をやっていました。

まさにバブルの残骸です。
当時数千万から億の値の付いたマンションが、
今は数十万円で大量に売り出されているようです。

「損した」という話はあるでしょう。
しかし、「環境」面でも大きなマイナスです。
苗場の景色は、本来はきれいなはずです。
しかし、自然の中に高層マンションが林立する姿美しいですか

そして、あの巨大な建物を、
いつの日か、どのように取り壊すつもりでしょう?

今もあちこちで、高層マンションは作り続けられていますよね?

人口減少時代です。
土に返ったあの島のように
建物や町をいずれは「土に返す」ことも、そろそろ考える時代では?

将来の「しまいかた」も想定して町や建物を作る。
モノを捨てるのだって、もうタダではないのですから。

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