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明日すぐに実践できる!アクティブラーニング【自己紹介編】

こちらの記事では、日本語教師のためのクラス授業アイデアを紹介します。

学習者が主体となって能動的に活動する、協働学習のためのアクティビティ、難しそうに聞こえますが、これを読めば明日からすぐに実践できます!

今回は自己紹介編です!




💡想定している授業形態と日本語レベル


【想定授業形態】対面・オンライン(Zoom)
【想定日本語レベル】初級・中級・中上級

※ここでは、初級をN4~5相当、中級をN2~3相当、中上級をN1~2相当とします。




🌱対面授業



💡パターン①「Aさんの隣のBさんの隣のCです」

【想定日本語レベル】初級前半~中級

【事前準備①】
誰が話しているのか分かりやすいように、おもちゃのマイクやボールなどを用意する。

これ、コロナ禍の授業あるあるなのですが、マスクをしていると、誰が話しているのかとっても分かりにくいんです。
慣れてくれば、声で誰が話しているか分かるようになるのですが、初対面同士のクラスですとそうもいきません。
ですので、自己紹介の時間に限らず、初めのうちは、話している人に何か目印を持たせるのがおすすめです。

100円ショップのボールでも、おもちゃのマイク(私はいつもラムネが入っているあれを使います!)でも、割り箸に口の絵を貼り付けた物でも、分かれば何でも良いと思います。

用意するもの


私は絵を描くのが苦手なので、いつもいらすとやというサイトにお世話になっています!

【事前準備②】
机を端に避け、輪になって座れるように椅子を並べる。
先生もぜひ一緒に座ってくださいね!

準備はこれだけです!

【活動内容】
教師が隣に座っている人の名前を聞きます。
そして、「Aさんの隣のB(教師の名前)です」と言って隣の人にバトンを渡します。
次の人は「Aさんの隣のB先生の隣のCです」と言ってまた隣の人にバトンを渡し、
次の人は「Aさんの隣のB先生の隣のCさんの隣のDです」と言って・・・

というように繋げていきます。

そうです。強制的に名前を覚えさせるのです

名前を覚えるって、単純なことのようでやはりとても重要です。
その後の授業でも学習者同士で協働的に学習してもらうためには、名前を覚え、学習者がお互いのことを知る、ということが大変重要です
これは、そのための準備でもあります。

また、教師が学習者の名前を覚えるということも、とってもとっても重要です。
名前を覚えているだけで、学習者は教師に親しみを覚え、信頼してくれます。
授業への態度・姿勢が変わります。

名前を覚えることは本当に重要なことなのです。

さて、話を戻します。

これだけだと簡単なので、学習者の日本語レベルに合わせて難易度を上げてみる必要があります。

こんな感じです。

【レベル1】
「Aさんの隣のBさんの隣のCです」

【レベル2】
「●●から来たAさんの隣の、▲▲から来たBさんの隣の、■■から来たCです」
と、出身地もセットで言う。

【レベル3】
「●●が好きなAさんの隣の、▲▲が好きなBさんの隣の、■■が好きなCです」
と、趣味などの好きな物や苦手な物をセットで言う。

などなど・・・

最初のほうに順番が回ってくる人は難易度が低いので、席替えをして何度かやってみてもいいと思います。

席替えも、普通に入れ替わるだけではつまらないので、
「誕生日を聞いてください。ここが1月1日、ここは12月31日です」
と言って誕生日が早い順になるように座ってもらうと楽しいです。

思いがけず「え!明日誕生日なの!?おめでとう!」と盛り上がることも。

この初日に聞いた誕生日、学習者は意外にちゃんと覚えていて、学習者同士が仲良くなるきっかけの一つになったりします。




💡パターン②「他己紹介」

【想定日本語レベル】初級前半~中級

【事前準備】なし!

【活動内容】
まずは2~3名のグループに分かれます。

仮に、この2~3名のグループが4つあるとします。
グループの名前をA~Dとします。

まずはA~Dの4つのチームに分かれて自己紹介をし合います。

次に、AとB、CとDが合同で活動します。
ただし、自己紹介ではなく、他己紹介をします。
最初のチームが同じだった人について、紹介をします。

次に、AとC、BとDが合同で活動し、
終わったらAとD、BとC、というようにメンバーを変えて他己紹介を繰り返します。

グループに分かれて何度も他己紹介をすることで、だんだん慣れてきて滑らかに話せるようになってきますし、聞く側も人数が少ないほうが集中できたりします。

「他己紹介」と言っても学習者には通じません。
ですので、2~3名のグループで自己紹介をさせ、合同グループになった際に、
T「皆さん、次は、『自己紹介』ではありません。『他己紹介』をします。知っていますか」
S「わかりません」
T「『私は○○です。日本人です』これは、自己紹介です。『こちらは、○○さんです。中国人です』これが『他己紹介』です。わかりましたか」
といった感じで説明をする必要があります。




💡パターン③「他己紹介クイズ」

【想定日本語レベル】初級後半~中上級

【事前準備】
紙(白紙や裏紙でOKです)をグループの数+α用意する。
これだけ!

【活動内容】
3~5名のグループに分かれ、1グループに1枚、紙を渡します。
そして、グループごとにクイズを考えてもらいます。

どのようなクイズかというと、そのグループのメンバー誰か一人に関するものです。

例えば、
「旅行が好きで、今までに25の国へ行ったことがあります」とか。
初級なら、「日本人の恋人がいます」とか、簡単な文でもOKです。


ただし、「中国人です」とか「眼鏡をかけています」とか、みんなが知っていることは×です。

「クイズですから、みんなが知らないことにしてください。
難しい問題をお願いしますね!」
とか言っておくと、意外性のあることをお互いに聞き出そうと頑張ってくれます。


クイズが完成したら、グループごとに出題し合います。

グループの代表者が立ち上がり、まずはグループのメンバーの名前を紹介します。
それから、代表者がクイズを読み上げます。
そして、代表者に
「もう一度聞きたい人はいますか。——では、3分とります。チームで話し合って考えてください。——3分経ちました。Aチームから答えと理由を言ってください」
と言ってもらいます。

クイズに答える側は、読み上げられた内容に当てはまる人物を、出題チームのメンバーの中から探し当てます。

今後の授業でも学習者が主体となって活動できるよう、基本的には学習者に仕切ってもらいます。
教師は事前にしてほしいこと・言ってほしいことを伝えておき、困ったときは学習者同士助け合う。
どーーーーしても難しいときだけ教師が助け舟を出す。
それが学習者主体です。協働学習です。

また、分かりやすく説明して相手に伝える力を養うため、答えと理由をいつもセットで話してもらいます。
答えだけ言って満足していたら、教師が「あれ?何か忘れてません?あれ?」と言って、他の学習者に「理由は?」と言わせます。
とても細かいですが、今後学習者が主体となってやり取りをし、助け合い、学び合うための布石です。




💡パターン④「他己紹介プレゼンテーション」

【想定日本語レベル】初級後半~中上級

【事前準備】(教師側の準備は)なし!

【活動内容】
2~3名のグループを決め、授業初日に行った自己紹介や他己紹介の内容を基に、他己紹介プレゼンテーションを行います。
プレゼンテーション、というとちょっと大げさですが、PowerPointやKeynote(MacやiPhone/iPadの場合)を使ってペア・グループの相手のことを紹介するだけです。
名前、ニックネーム、出身地、好きなもの、得意なこと、内容は自由です。

学校でインタビューをし、家でパソコンやスマホを使ってスライドに内容をまとめ、翌日、プロジェクターやモニターで映しながら紹介します。

作成したスライドは、せっかくなのでプリントアウトして教室の壁に貼ったり、Padletに残しておいてもいいと思います。




💡おまけ「Padlet」って?

Padletとは、オンライン上の掲示板のようなもので、クラスでURLを共有しておけば、Googleドライブのようスライドやワークシートなどのデータを保存して自由に閲覧・コメントしたり、SNSのように写真やイラストを投稿したり、作文やお知らせなどの短い文章を書きこむことができるソフトです。

ブラウザ(Google ChromeやSafariなど)でも、デスクトップアプリでも、スマホアプリでも利用可能です。

Googleのサービスは中国からアクセスすることができませんが、Padletはその心配もありません。


Padletの機能を分かりやすく紹介した記事がありましたので載せておきます。




🌱オンライン授業


こちらでは、Zoomを使った授業を想定した活動を書いていきます。


💡番外編 出欠確認

オンライン授業の場合、初日の出欠確認から大変です。

画像のように、PowerPointで学習者の名前(名簿に書かれたもの)を書いたスライドを予め用意しておき、Zoomの画面共有機能で表示しておきます。

その場で読んでほしい名前を聞いてメモしつつ、○、×、と出欠状況を書き込んでいくと便利です。
遅刻やインターネットの接続状況などにより呼んでも返事がなかった学習者が、「先生!私います!×じゃない!」と自分から言ってきてくれるのでおすすめです。

オンライン授業での出欠確認




💡パターン①「他己紹介」

【想定日本語レベル】初級前半~中級

【事前準備】なし!

【活動内容】
手順は対面授業の部分に書いた内容と同じです。
グループがブレークアウトセッションになる、という部分だけ異なります。

初級前半のクラスの場合、オンラインだとなかなか指示が通らない場合もあるので、2~3名のグループに分かれて自己紹介→全体に戻って他己紹介をして終了、でもいいと思います。




💡パターン②「他己紹介クイズ」

【想定日本語レベル】初級後半~中級


【事前準備】なし!

【活動内容】
対面の授業の部分に書いたものとほぼ同じです。

活動の内容を説明したら、ブレークアウトセッションで3~5名に分かれ、グループごとにクイズを考えてもらいます。

クイズが完成したら、全体に戻ってグループごとに出題し合います。

対面授業同様、まずはグループの代表者がグループのメンバーの名前を紹介します。
それから、代表者がクイズを読み上げ、読み上げた内容に当てはまる人物を、出題チームのメンバーの中から探し当ててもらいます。

対面授業と同じようにチームで答えを話し合ってもいいですし(出題後にグループに分かれ、しばらくして全体に戻って答え合わせ)、時間がなければ個人対決にしてもいいと思います。




💡パターン③「他己紹介プレゼンテーション」

【想定日本語レベル】初級後半~中上級

【事前準備】(教師側の準備は)なし!

【活動内容】
内容は対面授業の部分に書いたものと同じですので割愛します。




💡パターン④「『Padlet』で自己紹介マップを作成」

【想定日本語レベル】初級後半~中級

先ほど簡単紹介したPadletですが、画像のように世界地図に自由に書き込む機能があります。

自分の出身地にピンをつけ、そこにイチオシの地元の写真と自己紹介を載せ、みんなで見合う、なんてこともできます。

Padletで作成した自己紹介マップ



さいごに


授業についてもっと詳しく聞きたい!という方は👇👇コチラ👇👇


Zoomについてもっと詳しく聞きたい!という方は👇👇コチラ👇👇




最後までお読みいただきありがとうございました!


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