コロナに負けず、働きながら博士号を目指してみる社会人のお話(前編)
前置き
働きながら博士号を取ろうとする人、世の中ではこういう人を変わっていると言うらしいですね?AnyTechでAIエンジニアという肩書を貰っております立浪です。
こんな私ではありますが、働きながら博士号を取ろうなどということにいたってしまった経緯、そして現在どうなのかについて、このエントリと続編のエントリでお話したいと思います。まず、自己紹介をさせていただくと、
と、こんな感じですが、前編のエントリではなんで機械学習分野の修士課程やら博士後期課程に入ろうと思ったか、ということに焦点をあててお話しましょう。
入学まで
エンジニアになって数年、社内ではそれなりに信頼されていたものの、どうしてもこの仕事をずっとやっていくとは思えない日々を過ごしていました。私の場合は、エンジニアという職種に元々憧れがあったわけでもなく、研究で食っていけないならメンタリティが一番近いという理由で選んでいました。通常のソフトウェアエンジニアは研究開発要素が薄いですから、大学時代にやっていたような頭の使い方もすることもなくなり、悶々としていました。
そんな頃、立教大学さんがAIの研究科を新設するということをSNSで知りまして、しかも池袋キャンパスで夜間対応してくれると聞きまして、現状の悩みを解消してくれるものが全部揃っているかもしれないと感じてしまったわけです。入試もあったのですが、数学科時代は統計学などの応用数学の類を一切捨てていたので、統計くらいは勉強し、入試を受けて特に問題なくパスしました。その後も機械学習やその関連分野を少しは勉強した感じですが、この年は非常に多忙だったので、そこまでガッツリはできませんでした。
コロナ禍の入学
入学が決まって間もなく、通う気まんまんで池袋の隣駅に引越しましたが、突然新型コロナウィルスがやってきて幻想が打ち砕かれました。研究室の活動や授業の開始が遅れるといった困難はありました。とはいえ、大学側が元々ZoomやSlackの準備をしていたらしく、引越しにお金がかかっただけで、大きな障害なく初年度を迎えることはできました。フルリモートになって通勤時間が減ったので、むしろ良かったという感じです。
機械学習はかんたんに研究レベルに到達できる
通常の大学院とは違い授業が多めに用意されている環境でした。ところが、私は昔から講義調の話を聞くのは苦手で、結局本ばかり読んでいました。講義聞いてもわかった気にしかならないんですよね〜。講義ほったらかして、本を真剣に読んだらすぐ気づくんですよね、機械学習とかディープラーニングは敷居が低い、と。こんなこと言ったら周りに怒られてしまうかもしれませんね。でも実際、純粋数学、とくに私がやっていた代数幾何のような分野は、高校から大学数学ばりばりやってましたよ〜、みたいな超エリート校にいるような人間じゃないと修士でもまともに研究できないんですよね。こういう分野は前提知識が非常に多く、その一つ一つを理解するには凡人の頭では難しいんです。それに比べて機械学習界隈は教養課程レベルの数学・統計がわかれば、後は必要なところが出てきたらそれに応じて都度勉強すればできてしまう。もちろん学習理論などを突き詰めれば必要となる数学も多くはなりますが、ディープラーニングに限ればその程度で問題ないんですよね。むずかしい数学の、スキームやらコホモロジーやらという道具はどっかに置いてきました。
社会人ドクターに俺はなる!!!
研究レベルまでの距離が短いと知ると、この分野で自分がどこまでできるのか、突き詰めたくなるんですよね。これは私が元々アカデミアに憧れていたというのが大きいかもしれません。明確に博士後期課程まで行こうと思い始めるわけです。そして、この頃になると、研究内容と職務内容を近づけないと不合理だなと思い、転職を試みたりもしました。
さいごに
このエントリでは博士後期課程に入学しようと決意したところまで紹介しました。次回は、今何やってるかとか、どうやって両立しているのか、他の大学は考えなかったのかとか、そんな話を書いていくことにしますね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?