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高橋アンテナ
2016年11月27日 14:52
女は、朝9時に部屋にやってきた。ブルーのニットワンピースがよく似合っていた。長らく専業主婦をしていた彼女だったが、今は地元の広告制作会社でパートを始めていた。ダンナと小学生の娘を送り出し、仕事に行く用意をして、ここにやって来た。少しやせた手足はスラリと長く、表情にもどこか気品が漂っていた。ベッドサイドの狭苦しいイスに腰を下ろし、昨夜買っておいたビールをグラスに注ぐと、「朝から飲
2016年11月26日 21:39
ほの暗いビジネスホテルの一室で、女の残り香にもたれていた。眼下には、夕闇に包まれた富山市街のまばらな夜景。昼間はきれいに見えた立山連峰は、シルエットだけを残して、闇に紛れてしまった。会社にウソをついて、出張の予定を1日延ばし、昔好きだった女と会った。女は、「富山は狭いから」と言って、ホテルで会うことを望んだ。「子どもが帰ってくるから」と言って、女は夕方4時に去っていった。そ