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シャムロック・ローヴァーズ:リーグ・オブ・アイルランドの歴史

翻訳記事:text by Sean Creedon「World Soccer: March 2024」

 1921-22シーズン、セント・ジェームズ・ゲートFCが初代王者となったその時、シャムロック・ローヴァーズはアイルランドリーグ創設メンバーの8チーム(the eight founding members)の一つではなかった。しかしその1年後、フープス(※訳注:Hoops: チームの愛称)はリーグ加盟後、初めてのシーズンにして初めての優勝を果たし、その後の100余年でアイルランド共和国において最も成功したクラブになったのだ。

 昨シーズン、ローヴァーズは史上2回目となるリーグ4連覇を達成したが(1980年代にも彼らは成し遂げた)、一人の同じ監督によってこの偉業が成し遂げられたのは今回が初めてだった。監督は、スティーブン・ブラッドリーだ。これはローヴァーズにとって21回目の優勝で、2位のダンドークに7回の差をつける(moving them seven clear of the next best side)。ローヴァーズはまた、FAIカップ最多記録となる25回の優勝をほこり、これも2位のダンドークに2倍以上の差をつけている。
 ローヴァーズの覇権は、彼らが惹きつけている大衆にも反映されている。リーグ全体で観客数は上がり調子(are on the up)だとは言え、ブラッドリーは語る。
「私が2016年に来た時、平均的な入場者数は1,300人程度だった。それが昨年は平均7,000人だ。」
昨年はパンデミック以前の水準を超え(beyond pre-pandemic level)、観客数はリーグ全体で20%増加の見せ、ローヴァーズのタラー・スタジアムは5季連続で最も多くの観客が訪れたグラウンドとなった。このトレンドは続いていきそうだ(It is a trend that looks set to continue)。監督が付け加える。
「我々の新設するスタンドはキックオフに向けて準備万全だ。11,000人弱のキャパシティーを持てるはずだよ。」
※訳注:2019年に増設した南スタンドに続き、北スタンドの増設も2022年にスタートした。

 ローヴァーズはその歴史とファンベースを持っているが、しかし、ブラッドリーは近年の成功による功績を強調するだろう(can claim much of the credit for)。2016年の11月に彼がローヴァーズの監督になった時、チームは22年間で2回のタイトルしか取れていない状況だった。今では同国史上初の5連覇に王手をかけている。「難しい戦いになるよ。昨年よりかはもっと良いスタートを切らないといけないだろうね。」
そう語る彼のチームは、2023年序盤戦で、一時期勝ち点10差でトップを追いかける羽目となった(his side trailed top spot by ten points at one stage in 2023 campaign)。
パフォーマンスとスタッツは素晴らしかった。ただ、我々は勝ち点を得るのに苦労したね。力強く、そして集中していなければいけなかった。

 ローヴァーズのリーグでの浮上は、彼らの他のコンペティションからの脱落のお陰にもよっていた。このアイルランド王者はFAIカップでは初戦敗退し、CL予選、カンファレンス・リーグ予選でも、夏の数週間のうちに敗退していた。この落胆から、ブラッドリーは必ず修正しようと決意した(disappointments that Bradley is determined to rectify)。そして、何にも煩わされることなく、彼らは残りのリーグ戦を無敗で乗り切り、デリー・シティに10ポイント差、セント・パトリックス・アスレティックに7ポイント差をそれぞれつけてトップの座を獲得したのだった。

 ブラッドリーはこれら2チームを今季も主たるライバルになると見ている。特にFAIカップで優勝を飾ったサント・パトリックスだ。そのチームから―このリーグがこれからもアイリッシュ海を渡り、もしくは越えて、タレントを送り出し続けるように―今は2人の若手がEFLへ去った。(アダム・マーフィーはブリストル・シティへ、ジェイ・マクグラスはドンカスター・ローヴァーズへ移籍した)
 昨季15得点で得点ランキング1位タイのジャック・モイランとジョナサン・アフォラビはそれぞれ所属していたシェルボルン、ボヘミアンズを去った。前者の移籍先は英リンカーン・シティ、後者はコルトレイク(ベルギー1部)だ。その他で言えば、昇格組のウォーターフォードで昨季、アイルランドリーグ・ファースト・ディビジョン(2部相当)で35ゴールを記録したロナン・コグランは、ブルーズの姉妹クラブである英フリートウッド・タウンへ加入した。
 もちろん、去った選手の全員が成功するわけではない。ダラー・バーンズは2022年にセント・パトリックスで活躍したのちに英MKドンズと契約したが、リーグ1から降格したドンズと同じように印象を残すことなくことなく、2023-24シーズンはリーグ2に名前を見つけることができない。
 ブラッドリーが「エキサイティングなウィンガー」と表現し実際2年前にも獲得しようとしたように、バーンズはローン加入したシャムロック・ローヴァーズで今季を過ごすことになる。アイルランド代表であるジャック・バーンも昨季の手術を経てファーストチームに戻ってきた。4連覇においてカギとなる役割を果たした重鎮、ロナン・フィンが2部のUCDへと去っていったことを差し引いても、ローヴァーズのスクァッドは他のチームの羨望の的だ(the envy of the rest of the league)。
「多くの監督たちは長いことピッチで仕事をしていてもそれほど多くのトロフィーを勝ちえないんだ。」
ブラッドリーは言う。
「私たちは長らくトップにいた。そして今では、他の全てのチームが私たちを倒そうとしてくる。これは至極当然なことなんだよ。」

 リーグ戦は11月1日に幕を閉じる。ブラッドリーの40回目の誕生日の一週間前だ。フープスにとっての5年連続のタイトルが確定したとすれば、それはこの元アーセナルの練習生だった監督にとって理想的なプレゼントになるだろう。
「素晴らしい偉業となるだろうね。でもそれにはたくさんのハードワークが必要だ。」
彼は言う。
「我々ならできると思ってるよ。」

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