読書まとめ『わかめ』→学ぶ姿勢で見方が変わる

『わかめ ~およいで そだって どんどんふえる うみのしょくぶつ~』
青木 優和(文)畑中 富美子(絵)田中 次郎(監修)

一言でいうと

学ぶ姿勢で見方が変わる

どんな人にオススメしたいか

・わかめが好きな人
・わかめが嫌いな人
・食育に興味がある人
・海の情景に癒されたい人

タイトルのとおり、わかめの絵本である。『海のナンジャコリャーズ』シリーズの2作目。娘に読み聞かせるために図書館で借りてみたところ、なかなか興味深い内容だった。わかめの一生を描いた絵本を中心に、人間との関わり、食べ方(てんぷら食べてみたい)・養殖の方法など、ピンポイントにわかめ情報を投げかけてくる。時にやさしく、時にビビッドに描かれる海の世界の情景も魅力的だ。
大人が読んでも楽しめる本であるが、子どもの教育にどう役立てられるか、という視点で学びを3点紹介する。

① 色と光の科学を知るよい教材

・海藻がカラフルなのは、光が届きにくい海の中で太陽光を手に入れるための工夫。ひとつひとつの色素は同じ色の光を吸収できないため、複数の色素を持つことで吸収できる光を増やしている。
・海の中では、赤の光は深いところまで届きにくい。緑藻は緑の光を吸収できないため、赤の光も届きやすい浅い海に生えている。一方、赤い色素を持つ褐藻であるわかめは、広い範囲に生息することができる。
・赤い色素は、熱を加えると黄色の色素に変化する。全体でみると茶色から緑色に変化する。

② 生命の神秘と多様性を体現

・季節によっては、一日に2~3センチメートル伸びる。成長すると2メートルを超すことも。
・品種や育つ環境によって、茎の太さや葉の切れ込みなど、形が異なる。もちろん、同じ品種でも、まったく同じ形のわかめは存在しえない。みんな違ってみんないい。
・1年しか生きない、一年生の植物。死んだわかめは海中に飛散し、他の生き物の栄養になる。

③ グローバル視点では「侵略的外来種」

・「世界の侵略的外来種ワースト100」にランクイン。

・1970年ごろ、北東アジアから世界中に広がる。船が取り込む海水(バラスト水)、船底や養殖用のカキにくっついたりして世界に広がった。
・繁殖力が強く、海外の海藻に影響を与えている。日本や朝鮮半島以外では食用にする習慣がなく、上記Wikipediaでは「単なる害藻」と書かれてて草生える。

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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。