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【情報源】M&A時における知的財産デューデリジェンス
「知財情報を組織の力に®」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。
今回はM&A(企業買収)やベンチャー・スタートアップへ出資検討している際に行うデューデリジェンス、その中でも知的財産に関する知的財産デューデリジェンスに関する書籍やお役立ち資料の紹介をします。
ちなみに当社イーパテントでは知的財産デューデリジェンスに関するご依頼・ご相談は年1~数件程度で、それほど多くはありません。また知的財産デューデリジェンスといってもほとんどの場合は、特許をベースとしたデューデリジェンスになります(意匠・商標などを調べることもありますし、より広義に無形資産という点では経営者やCTO・研究者・技術者などの人についいて調べることもあります)。
1 知的財産デューデリジェンス関連書籍
まず、知的財産デューデリジェンス関連書籍について取り上げますが、私が購入してプロジェクトの際に参考にさせていただいたものを紹介します。
TMI総合法律事務所とデロイトの共著である、こちらの書籍が辞典的で良いと思います。2016年に第3版が出版されましたが、現在は絶版となっています。特許情報分析についても解説されています(M&Aに特化しているかというとそうでもなく、一般的な特許分析的な解説でありますが)。
第1章 知的財産デューデリジェンスの概要
第2章 法律面からの調査
第3章 M&Aに伴って必要となる法的手続
第4章 ビジネス・技術・財務面からの調査
第5章 価値分析
第6章 スキーム、契約上の留意点
次に弁護士の﨑地康文氏による書籍。M&A系の本というと、だいたい買収側の方の視点で書かれることが多いのですが、この本は買収される側の方についても解説されています。ちなみに特許情報分析という点ではあまり記載がありません。
Chapter 1 INTRODUCTION
Chapter 2 知的財産の基礎知識
Chapter 3 各種の知的財産権
Chapter 4 ソフトウェア・プログラムと知的財産
Chapter 5 その他の知的財産の応用領域
Chapter 6 知的財産の基本戦略
Chapter 7 契約の基礎知識
Chapter 8 オープン・イノベーションと契約
Chapter 9 知的財産デュー・デリジェンス
Chapter 10 知的財産デュー・デリジェンスの手順(基礎編)
Chapter 11 知的財産デュー・デリジェンスの手順(応用編)
2 知的財産デューデリジェンス関連報告書
知的財産デューデリジェンスに関する報告書としては特許庁の「平成29年度産業財産権制度問題調査研究」の成果報告である「知的財産デューデリジェンスの実態に関する調査研究」が役立ちます。
報告書の要約版・全体版もありますが、実務的に役立つのは「標準手順書(SOP)及び解説資料」の方です。
よりコンパクトな手引書を求めるのであれば「知的財産デュー・デリジェンスの標準手順書 “SKIPDD”」が良いでしょう(以下が知財DDの調査項目)。
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3 知的財産デューデリジェンス関連論考
論考としては、以前に私がアドバイザーをやっていた3i研究会で知的財産デューデリジェンスを取り上げたグループの論考「知財部員が取り組む,知財デューディリジェンス実務の検討~総合化学企業S社によるT社出資事例~」があります。
実際に知的財産デューデリジェンスを実施する際は時間的な制約が厳しいので、限られた時間でどのように効率的に知的財産デューデリジェンスを行うべきかという視点でまとめられています。
日本知的財産協会の情報検索委員会(現在は情報活用委員会)においても知的財産デューデリジェンスについて研究した論考「時間制約下における知的財産デューデリジェンス実務指針の探索」が発表されています。
こちらも3i研究会同様、時間的な制約を意識した内容となっています。
まとめ
M&Aは年がら年中発生するようなイベントではありませんので、いざ起こった際に知的財産面でどのように対応すれば良いのか、知的財産デューデリジェンスは何をどのように行えば良いのか、をクイックに確認する際に本note記事が役立てば幸いです。
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