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富永夏海「天使」

◆作品紹介

音もなく崩れるTV塔、想いソウツ、瞬間移動するシャインマスカット、イマシガタ・パーク、緑色の鳥人、記憶屋……無数のモチーフが飛び交う中を事故るギリギリで走り抜ける語りに悪酔いしたならきっと、吐くよりうつくしい夢を見られるはずだ——どうせ忘れてしまうだろうが。決壊した言葉の濁流に洗い流された脳は、すべてを経験していると同時にすべてを忘れている。あまねく世界を満たす光はあらゆる情報を含んでいるからこそ真白くて、そこから欠落したものたちの影だけが現実を描き出す。過ぎゆき、忘れ去られたものだけが真実で、だからこそわたしたちは、ほんとうのことなんて何ひとつ知らないのだ。(編・青山新)

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