見出し画像

ユキミ・オガワ/大滝瓶太・訳「百々目鬼」

◆作品紹介

「わたし」の腕は目に覆われていた。ある時「わたし」は、人面樹の実に「ニン」と名付け、ともに暮らしはじめる。線香の煙が立ち昇り、涙とともに目玉が零れ落ちる──かわいらしくも物悲しい怪異譚。「わたし」はいくつもの目で世界を盗み見て、人々はいくつもの目で「わたし」を睨み返す。どちらが先だったのかなど、もはや知る由もない。ただ、見ることは見せられることであり、見られることは見せることでもある。そこでは常に、互いが互いに視線を取り憑かせ合っている。その応酬の先で「わたし」は何を失い何を手に入れたのか、何を与え何を取り戻したのか。ぜひそれぞれの答えを探してみてほしい。
(編・青山新)

ここから先は

10,487字
〈anon press〉ではビジネスとフィクションを接続することを目指し、SF作家・文筆家・エンジニア・研究者・デザイナー・アーティストといった多様な方々のテキストを配信していきます。マガジンを購読いただくと過去の記事を含むすべてのテキストをお読みいただけます。

未来を複数化するメディア〈anon press〉のマガジン。SFの周縁を拡張するような小説、未来に関するリサーチ、論考、座談会等のテキスト…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?