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私が「本当に」やりたいことと向き合うStory⑦<休職中の日々とNetflixの話>

休職中に私がしていたことと言えば、ただひたすら行きたいところに出かけた。
雑誌、Instagram、人伝てで知った場所を、Google mapに行きたいところリストとしてピンするのが私の習慣だった。だから私のマップにはピンがぎっしり。まるで木が密集しているみたいになっていた。

幸い車を持っていたから、遠いところへも行くことができた。
私は2日に1回くらいのペースで、愛車と一緒に外へ繰り出した。気になっていたカフェ、ベーカリー、公園、道の駅、海岸、山…。

働いていないのに、こんなにお金使っちゃっていいのかな…と不安になることもあった。それでも、「いや、これは私が元気になるために必要なことだ。」と思い直した。

そうやって、ただひたすらやりたいことをしていった。先のことは考えずに。今私が感じたことをそのままやってみた。

これで自分の心が回復しているのかどうかは正直わからなかった。
でも、前みたいに訳もなく涙が出るという症状は出なくなっていた。


そんな矢先、またしても私のメンタルが落ちかけることが起きる。

友人の一人と電話をしていた日。
(その友人にはすでに私が休職していることとその経緯については話していた。)
私は、新卒で入社した会社を辞めて転職しようかな、とボソッと言ってみた。
それは、この休職中にいろいろ考えて、そうする方がいいんじゃないかと自分でも思い始めていたことだった。

すると友人はこう返してきた。

「半年で辞めちゃうの?」

友人に悪気はなかったと思う。多分素直に軽い感じで聞いてきたんだと思う。
それでも私は、この言葉が刃物のように鋭く、大石のように重く感じた。私の中で心が崩れそうな音がした。

私の中で、友人の言葉は
「半年で辞めちゃうなんて早すぎるでしょ。なんでそんなことですぐ辞めちゃうの?甘えているんじゃないの?そんなんじゃ社会で生きていけないよ。」
というふうに聞こえてしまった。
これは私のあまりよくない癖。人からもらった言葉を自分勝手に拡大解釈してしまう。

私は黙り込んでしまった。わざとじゃない。何も言葉を返せなかったのだ。
頭の中がぐわんぐわんした。心の中に黒色の何かが滲み出てきてざわついた。

友人にこの感情をぶつけることはできないし、したくもなかった。だから、悟られないようにいい感じに電話を切り上げた。

そして、この感情をどうにかしようと試みた。
深呼吸を数回した。うまくいかない。
目を瞑ってみた。余計に黒色のやつが襲い掛かってきた。

どうしよう。このままじゃまた泣いちゃう。

私が好きなものは何かあったっけ。私の心を落ち着けてくれる何か…。
すると、頭の中でパッとFull Houseが思い浮かんだ。

小さい時、テレビで初めて観てからずっと好きな番組。
ハートフルストーリーというタグがぴったりなドラマだ。
大学生の時に、英語の勉強になりそうだと思って、一時期Netflixではまっていたことを思い出した。

あれなら、この嫌な感情を忘れさせてくれるかもしれない。

それからの私の動きは早かった。
すぐにパソコンを開いて、Netflixを再契約した。
私が元気になれるのなら、月額料金990円(ベーシックプラン)なんて安いもんだと思ってしまった。

契約完了後、「Full House」と検索をかける。
シーズン1の第1話を見つけてクリックする。

ここまでに、おそらく15分とかかっていなかったはず。

なぜ私がこんなにFull Houseを好きなのか。
それは多分、全てのエピソードがハッピーエンドで終わるから。
だから、ドラマの次の展開を心配しなくていい。
何が起こっても、最後はテレビの中のみんなが笑顔になると分かっているから、安心して観ていられるのだ。
人の優しさ、家族への愛情、ピンチも笑いに変えるユーモア。
この番組を見ていると、現実を忘れることができる(こう書いて、これがいわゆる現実逃避か、と思ってしまった)。

結局、5つぐらいのエピソードを観ていた。
気づけば時計は深夜1時を回っていた。
さっきまで心の中に居座り続けていた黒色の何かは、ほとんど消えかかっていた。

ベッドに入ると、いつも通りスッと眠りにつくことができた。

今回は、ダニー、ジョセフ、ジェシー、DJ、ステフ、そして私のお気にいりのミシェルに助けられたのだった。

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