見出し画像

ブルベ夏と診断され、驚いて鼻血が出た話

日本で最近流行っているのが、パーソナルカラー診断だ。様々な色を、黄味が強いか青みが強いか、濃いか薄いか、の二軸で分類し、2x2の四章限に振り分ける。できた4種類の色のグループを、春、夏、秋、冬の4つの季節に当てはめて、青味が強い2グループをブルーベース夏/冬、黄味が強い2グループをイエローベース春/秋と呼ぶ。そして、一人一人の肌の色味に最も似合う色のグループを当てはめて、「あなたはブルベ夏ですね」「イエベ秋ですね」などと診断する。

普段メイクをする人なら聞いたことがある人がほとんどだと思う。

出典:オルビス パーソナルカラーの基本


最近ではパーソナルカラー診断をプロがやってくれるサービスも増え、それに加えて骨格診断と言って、その人の骨格に合う服の形をアドバイスしてくれるようなビューティーサロンも数多くある。

こういう診断は実際のところ血液型占いと似たようなもので、そこまで厳密な科学に基づいている訳ではなさそうな気もするが(調べてみたところ実際に科学的根拠は薄いらしい)、でも血液型占いのように、人をざっくりとカテゴリ分けして診断占いみたいなのをするのは、遊びとしては面白い。

また確かに自分に似合う色、似合わない色があるのも本当で、私は昔からパキッとした白の服を着ると自分の顔色が悪く見えることを知っていたため、ワイシャツを着て就活をするのが嫌だった。逆に濃い赤とか緑とかは、自分でもそこそこ似合うような気がしている。そういう「確かに似合う色のカテゴリってありそうだよね?だって、明らかに似合う色の系統ってあるよね?教えてプロの人!」という気持ちがパーソナルカラーへの興味を後押しするのだろう。

というわけでしばらくの間、パーソナルカラー診断に興味はあったものの、私は自分の好きな色や似合う色の系統からどう考えても自分はイエベ秋だと思っていたので、相場3万円ほどのプロによる診断を受けるのは躊躇していた。

ところが、先日参加した街コンで、なんとパーソナルカラー診断のブースが出ていたのだ。なんて親切な!なんと巧みなイベント参加者の心の掴みよう!!しかも、本格的な感じの診断をしてくれるのに、お値段は驚愕の1,000円。私と、一緒に参加した友達は、喜び勇んで診断をしてもらった。

診断の結果はタイトルに書いたので、言うまでもないけれど、私は実際はブルベ夏だったようだった。

診断は、青空の下のテントブースでやっていると思えないほど、それはそれは丁寧だった。鏡を見ながらいろんな色の布を顔の下に当て、どの色で顔色がより良く見えるかを、普段はサロンで診断サービスを提供されているプロのお姉様とひとつひとつ見ていくのだが、これが本当に嘘みたいに色によって顔色が変わって見えるのだ。YouTubeとかでユーチューバーの人がやっているのを見ると分かるが、ぱっと顔色が明るく見える色と、一瞬でくすんでどんよりした顔色になる色があるのが明白で、うわあああ!全然違うー!!とか言いながら、私は先に診断を受けた友達の顔色が明るくなったり悪くなったりするのを見ていた。友人は明るい爽やかなピンク色がよく似合い、とても可愛かった。

友人の後に私が椅子に座って診断を始めてもらったのだが、パッパッと布をめくって見ていくうちに、お姉様も友人もああ、明らかにブルベだな、みたいな雰囲気の反応をするのが分かった。そして確かに、鏡の中の私の顔色は、青味の強い色をあわせた時に、より元気そうに見えるみたいだった。

28年間あまり、自分に似合う色はベージュやらカーキやら、黄味の強い色だと思っていた私は、内心驚愕していた。

大人になってから「あなたはね、自分ではこう思っていたようですが、実際は違うんですよ」と明白に根拠を目の前に突きつけられて、自分にとっての新事実を発見することって、そうそうない。大げさなようだが、似合う色って、服を選ぶたびに考えることなので、そこに新たな事実が発覚したことは私にとっては結構革命的だった。街をぶらぶらして友達と男の人と話すためにきたこんなところでまさか自分に関する新事実を発見するとは思いもよらなかったので、私はびっくりした。

びっくりした顔の私を鏡の中で見ると、鼻血が出ていた。

「あらら、ちょっとショックだったかしら!」とにこやかに言うお姉様にティッシュをもらい、血を拭った。その後、診断の後のサービスの一環で、自分のパーソナルカラーに合わせた色のリップを塗らせてもらえたのだが、そこでも自分では絶対に選ぶ勇気がない青みの強いピンク色のリップを渡され、実際に塗ってみたら顔色がめちゃくちゃよくなり、アイシャドウまで何だか綺麗になじんでいて、なんだなんだこれは!!と追加で衝撃を受けた。鼻血も追加で出ていた。

帰り道も、私はパーソナルカラーのことを考えていたのだが、山手線の中で、いろいろなことが急に腑に落ち始めた。
なぜか自分に似合わないはずの青いピンク系のアイシャドウが一番しっくりくること。首をかしげながらそればっかり使っていたこと。
なぜか薄いグレーや淡いブルーの服ばかりを持っていること。気を抜くと全身グレーとブルーになってしまうこと。
なぜかオレンジ色のリップを塗ると顔色がめちゃくちゃ悪く見えて、ピエロみたいになってしまうこと。

もちろん、こういう診断結果だからといって、イエベ秋に分類されるような好きな色は着続けるだろうし、大好きなゴールドのアクセサリーはこれからもつけ続けるだろうが、自分に似合う系統の色を追加でまとめて教えてもらったことで、メイクも服も、幅が広がったような気がした。

また、私が勝手にイエベ系統だと思い込んでいた濃い赤や緑でも、色の微妙な加減によってはブルベにも分類される。色に関してはど素人の私の、色の認識が甘かったことも間違った思い込みに寄与していたと思う。

自分はこうだという思い込みがパリンと音を立てて割れ、割れたガラスの向こうに新たな色彩の世界が広がっているのを発見したようだった。

というわけで、もしも面白そうだなーと思った方がいたら、占いのつもりでパーソナルカラー診断を受けてみるのもいいかもしれない。手軽に自分の固定観念が壊せるかもしれないし、新たに似合う色が見つかるかもしれないので。ただびっくりすると鼻血が出るかもしれないので、ティッシュは持っていくことをおすすめします。

この記事が参加している募集

#やってみた

37,294件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?