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JR東日本の社内起業家に聞く! イノベーションを生み出す組織づくりに人事としてできることとは?【横浜人事カレッジ#6】

こんにちは🌸
ダイバーシティ&インクルージョン推進を組織と人の側面から支援するAn-Nahal(アンナハル)です。

2024年6月に、An-Nahalが企画・運営する横浜人事カレッジの第6回を開催しました🎉

📝横浜人事カレッジとは?
昨年度から始まった横浜人事カレッジは、2年目を迎えました!
イノベーション推進が加速する企業において、「人事」としての役割・視点・知識をゲストや企業の垣根を超えた参加者との越境体験のなかで共に学びあう、横浜未来機構主催のコミュニティです。

毎回異なるテーマに関連するゲストの経験やリアルな事例を学べるイベント、様々な企業の人事担当者との交流や情報交換ができるオンラインコミュニティに参加できます。

前回は旭化成の三橋さん・大山さんをゲストにお招きし、キャリア自律の取り組みと経験をお話しいただきました。

詳しい内容はこちら👇

今回のテーマは、イノベーション創出につながる「イントレプレナー(社内起業家)」。イントレプレナーとは、企業の中で起業家精神を持ち、新しい事業やプロジェクトを立ち上げる社内起業家のことを指します。

多くの企業が新規事業開発に積極的に取り組む一方で、新規事業開発が成功している企業は30.6%、成功に至っていない企業は36.4%と非成功企業の方が多い実態です。
(参考:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/New-Business-Development.pdf)

ゲストに東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の小西好美さんをお招きし、JR東日本が新規事業開発に力を入れる理由や、育休復帰後キャリアで悩んだご自身の経験をもとに新規事業を立ち上げたストーリーをお話しいただきました。

イノベーションを生み出す組織づくり、人材育成のために人事としてできることとは?そのヒントを探った当日の様子をお届けします🎤


ゲストスピーカーの紹介

東日本旅客鉄道株式会社 マーケティング本部 くらしづくり・地方創生部門 新規事業UT(ON1000) イントレプレナー 小西 好美さん

駅や運転士など鉄道現場を経験後、支社にて人事(採用・ダイバーシティ推進)、本社にてSuica事業を担当。
第1子の育休後、仕事と育児の両立に悩んだ自身の経験をもとに、2019年度に新事業創造プログラム、ON1000に応募。実証実験を経て、事業化審査後、事業創造本部(現マーケティング本部)へ異動。第2子の出産を経て、2023年7月~大手企業向けワーキングマザー向けキャリア形成支援サービス、PeerCrossをスタート。現在30社を超える企業様にご導入いただき、事業推進を行っている。

JR東日本がイノベーション推進に力を入れる背景とは

JR東日本といえば鉄道のイメージが強いですが、地方の人口減少をはじめとした課題を踏まえ、多様なニーズを的確に捉えることを経営戦略として、新規事業開発に注力しています。

事業を鉄道起点からお客様起点へとシフトし、新たな価値を創出することに注力していることを教えて頂きました。

グループ会社合わせて、4600件の応募があるON1000

JR東日本では、新規事業を社内で育てる施策として「ON1000」プログラムを実施しています。このプログラムは今年で7年目を迎え、駅・乗務員といった現業からの応募、グループ会社からの応募といった多様なバックグラウンドの社員が応募しています 。

これまでのべ4600件の応募があり、そのうち6件がサービスをローンチしました。ちなみに「ON1000」という名前は、社員の熱意とアイデアが間欠泉のように湧き上がる様子が由来になっているそう。素敵ですね。

新規事業にチャレンジしやすくする3つの仕組み

なぜ4600件もの応募があるのか?ON1000への応募から、事業運用に至るまで3つの大きな特徴があると紹介いただきました。

1.誰でもエントリーしやすい仕組み作り
エントリーのハードルをできるだけ下げることで、アイデアを出しやすくする仕組みがあります。応募者を増やすために、募集開始前に社内でワークショップを開催しているといいます。

また具体的な数値目標や事業計画を提出するのではなく、実現したいアイデアを記載するといったシンプルなフォーマットにすることで、本社で働く社員だけでなく、駅社員や乗務員など現場社員やグループ会社に勤める社員も提出しやすい仕組みを意識しているとのことでした。

2アイデアの実現に向けてサポートする体制
通過しなかったアイデアに対しても、1on1やフィードバックなど丁寧なサポートを行うことで、再挑戦しやすい土壌を作っているといいます。

また人事部門と事業部門の連携により、通過者に対するフォローアップがスムーズになるように取り組まれています。他にもメンター制度などの伴走支援によって、複数人で事業内容をサポートをする体制を整えていることなどを、挙げていただきました。

3トップのコミットメント
事業化を後押ししたのがトップのコミットメントでした。小西さんの場合は、上司からプログラムの各フェーズで積極的なサポートを受けたことで、スムーズに事業化を進めることができたそうです。

育休復帰後のキャリアで悩んだ経験がサービスのきっかけに

産休・育休から復職した当時の感情や状況などをお話しいただきました

小西さんが立ち上げたサービス「Peer Cross」誕生のストーリーを教えていただきました。
産休・育休から復職する際に、仕事と家庭を両立したいと考えていたそうですが、フルタイムでの両立は想像以上に厳しいものだったといいます。

コロナ前だったため、社内にテレワークが浸透していなかったこともあり、子供の突発的な体調不良や急な呼び出しなどの対応から仕事に思うように時間を割くことができず、両立に悩み、悶々とした時期が続いたそうです。「周囲のアンコンシャスバイアスに悩んだこともありました」と、当時を振り返りお話しいただきました。

自身の経験から、両立に悩んだ際、社外のワーキングマザーで同じような境遇の人とタイムリーに相談できる場があればと思い、ON1000のシートにアイデアをまとめて提案したのがサービス立ち上げのきっかけだったといいます。

ワーキングマザー向けキャリア支援サービスPeerCross

小西さんが自身の原体験から立ち上げた「PeerCross」は、大企業のワーキングマザー同士が相談できるキャリア形成支援サービスです。1対1での相談や、複数人での座談会を提供しています。

①マッチングサービス
大手企業のワーキングマザー同士が、PeerCrossが定期的にレコメンドする候補の方から会いたい人を探して、価値観・境遇の近い方と簡単にマッチング。1対1で相談することができます。

②座談会への参加
「キャリア」「ライフ」をテーマにしてサービス利用者が座談会を企画したり、企画された座談会に参加することができます。オンライン・オフラインの両方で開催しているとのことです。

多くの企業が抱える女性のキャリア形成に関する課題に対して、PeerCrossを通じて課題を解決していきたい」とお話しいただきました。

イノベーション創出のために必要な組織と個人のアクション

最後にイントレプレナーであるご自身の経験から、組織のイノベーション創出を促進するために意識すべき3つのポイントを教えて頂きました。

1.事業部門と人事、経営企画の意思統一を図ること
各部門が連携しながら意思統一をすることで、ON1000がより良いプログラムへブラッシュアップしてきたと教えていただきました。

2.トライ&エラーを容認できるようなプログラム設計
新規事業は壁にぶつかることもたくさんありますが、失敗を恐れずにむしろ失敗を容認する風土作りが大切だといいます。

3.チャレンジする社員を応援する、チャレンジを歓迎する風土醸成
2と合わせて、チャレンジする社員を応援する風土作りを同時に行うことが重要だとお話しいただきました。

個人ができるイノベーション創出のアクションとして、最初は小さく事業を作りトライアンドエラーで検証して、失敗を恐れないこと。そして事業を大きくしていきながら事業のビジョンを大きく描くことだといいます。

また、仮説検証を恐れずに繰り返すことが成功への第一歩に繋がるそうです。

「交流会でも様々な方の意見や組織の悩みを聞けて自身のプラスになった」「エネルギーをもらえた」

自社の取り組みや課題などを共有している様子。共通の課題も上がり解決策を話し合っているのが印象的でした。

小西さんからのお話のあとは参加者同士でグループディスカッションを行い、組織のイノベーション創出を促進するために、個人・組織の観点から何ができるかアイデアを共有しました。

人事や新規事業開発など様々な部門の視点や、個人の考えから様々なアイデアが出てきました。当日参加いただいた方からのコメントを紹介します!

  • 企業に属していると、アントレプレナーシップを持って活動するのは難しいと思っていましたが、自身の経験や失敗を聞くことができて非常に学びの多い時間だった

  • 制度をつくるだけではなく、経営層の意識も制度やそのストーリーに組み込んでいくことが重要だと感じた

  • 様々な企業の視点を学ぶことができて、とても充実した時間だった

  • 新事業創出に必要な体制づくり・組織風土・人事としての関わり方のヒントが得られた

当日ご参加いただいた皆さんと

まとめ

小西さんのお話から新規事業は、イントレプレナーと周囲のサポーターの両者が揃うことが大切だと学びました。最後に小西さんが、なぜ自分がこの事業をやりきるのかという理由を明確に持つことが大切だとお話しされているのが印象的でした。自分の意志が明確であれば、困難な状況でも前進し続けることができると力強いアドバイスをいただきました。

アイデアをたくさん出すための施策はもちろん、アイデアを具現化させるために使える社内のリソースの洗い出しや、人事としてできること、経営層や意思決定者を巻き込むための方法など様々なサポート方法があると勉強になった2時間でした。


An-Nahalは、ダイバーシティ&インクルージョン推進に役立つ情報とヒントをさまざまな方法でお届けしています。

  • note: D&I推進に関するノウハウやプログラム参加者のインタビュー記事など

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