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イノベーションに繋がる”被”越境学習とは?【横浜人事カレッジ#2 石山恒貴教授】

こんにちは。ダイバーシティ&インクルージョン推進を組織と人の側面から支援するAn-Nahal(アンナハル)です。

2023年8月23日に、An-Nahalがモデレータを務める横浜人事カレッジの第2回を開催しました🎉

今回は、近年注目されている越境学習を研究されている「法政大学大学院政策創造研究科  石山 恒貴教授」をお招きし、組織や周囲へ影響を与える「“被”越境学習」をテーマに、個人の学びに留まらない越境学習の可能性についてお話し頂きました。

石山教授は日本の人事部HRアワード2023で2年連続となる書籍部門最優秀賞を受賞され、越境をテーマに様々なイベントで登壇されています。

越境学習によって組織がどのように変化するのか?当日の様子を紹介します!


横浜人事カレッジとは?

イノベーション推進が加速する企業において、「人事」としての役割・視点・知識をゲストや企業の垣根を超えた参加者との越境体験のなかで共に学びあう横浜未来機構主催のコミュニティです。
毎回異なるテーマに関連するゲストの経験やリアルな事例を学べるイベント、様々な企業の人事担当者との交流や情報交換ができるオンラインコミュニティに参加できます。

ゲストスピーカー:法政大学大学院政策創造研究科  石山 恒貴教授

まずは石山教授からの講演

一橋大学社会学部卒業、産業能率大学大学院修士課程修了、法政大学大学院博士後期課程修了、博士(政策学)。NEC、GE、米系ライフサイエンス会社を経て、現職。人材育成学会常任理事、日本女性学習財団理事、産業・組織心理学会理事、人事実践科学会議共同代表、フリーランス協会アドバイザリーボード等。

主な著書:『定年前と定年後の働き方』光文社、『カゴメの人事改革』(共著)中央経済社、『越境学習入門』(共著)日本能率協会マネジメントセンター、『日本企業のタレントマネジメント』中央経済社等

最近よく聞く越境学習とは?

「越境など新しい考え方を歓迎できる組織にするには」をテーマに
グループディスカッションを実施。大盛況でした!

越境学習は、普段馴染みのある場所(ホーム)から、未知の環境(アウェイ)へと移動し、そこで新しい知識や経験を得ることを指します。普段一緒に仕事をしているチームや組織を離れ、新しい環境で働くことで多様な視点の獲得やイノベーションのヒントを得ることができます。

組織の出向やプロボノ、ボランティアやワークショップへの参加など越境学習をする機会はたくさんあります。
越境学習から真の学びを得るためには、「どうすれば越境先での貢献ができるか」と真剣に考えることが重要になります。また、越境学習という言葉に「学習」と入っていることから、意識の高い人が行うものという認識を持たれていますが、どんな人でも様々な経験から越境学習者になることができます。

石山教授

越境学習者は2度死ぬ⁉

石山教授からのメッセージには、みなさん真剣にメモをとったり考えたり…
もっと学びたい!実践したい!という気持ちが伝わってきました。

「越境学習者は2度死ぬ」とは、「越境学習者は2度の葛藤を通して学ぶ」という意味で、2度大きな衝撃を受けることが多いそうです。1度目は、普段馴染みのある場所(ホーム)から、未知の環境(アウェイ)へと移動した時。
今まで行っていたホームでのやり方が通用せず、アウェイでのやり方を習得しなおす必要があります。

これまでと異なる仕事の内容、進め方、コミュニケーション…自分なりに習得するまでにさまざまな葛藤や苦しみといった精神的な試練(=死)に直面するのです。

しかし、3ヶ月すぎるとアウェイでの立ち回りや仕事のやり方を理解し自身の成長に繋がってきます。

そして、アウェイから元のホームへと戻った際に2度目の死=葛藤に遭遇します。アウェイでのやり方が身についているため、元々行っていたホームでのやり方や理論に疑問を抱くようになります。その違和感を解消するため、越境学習者は戻ってきたホームで組織変革を行っていくことが多いそうです。

組織や周囲へ影響を与える「“被”越境学習」とは?

越境学習は、越境する本人が学びを得るのはもちろんのこと、越境学習者を受け入れる側も影響を受けます。
越境学習者がホームから持ち込んだ様々なノウハウや技術を得ることだけでなく、“被”越境学習者(=受け入れ側)も新たな組織の変化からイノベーションを起こすことが期待できるのです。

また、越境は自分を見つめ直す機会として、目に見えない深層的な部分の多様性=個人内多様性(イントラパーソナルダイバーシティ)を生成する学びにも繋がります。越境を通して様々な価値観に触れることで、ものの見方が柔軟になり、周囲との分断が生まれにくくなるだけでなく、“被”越境学習者も越境学習者の影響により視野を広げることのできる機会になります。

ダイバーシティ&インクルージョンを推進する上で肝となるインクルーシブ・リーダーシップの要素にも、「好奇心」「謙虚・勇気」「コラボレーション」など越境に共通するキーワードが含まれています。

越境学習者・“被”越境学習者を、組織としてどのように受け入れ施策として取り組むのかは、ダイバーシティ経営にも繋がる大事なポイントだと思いました。

参加者の声

参加者からも積極的に質問や感想、ディスカッションの問いかけをいただきました

参加者の声を一部ご紹介します📝

  • 被越境者が存分に力を発揮できる環境づくりのヒントをいただけました。

  • 組織の中で違和感のあるものに触れるだけなく、いかに好奇心を持って取り組んでもらえるようにするかが課題かなと思いました。

  • 石山先生に実際にお会いして、越境冒険にワクワクし、航海を楽しみたいと感じました。

まとめ

いかがでしたか?越境学習・“被”越境学習は、組織の多様性を深めるための一つ方法です。
異なる文化や環境に身を置く越境学習は、学習者に従来と異なる視点や考え方に触れる機会を提供します。多角的な思考が促され、学習者の視野が広がると同時に、異文化間の相互理解を深める機会も創出されます。
また、組織に多様性のあるチームはイノベーションを生み出すというデータもあります。

多様な背景を持つ人々が集まることで、様々な視点やアイデアが生まれ、新たなイノベーションが起こりやすくなります。

越境学習は身近なところでも経験する機会があります。気になる分野の勉強会に参加する、部署をまたいでプロジェクトを行うなど。そして、意外にも実は同じチームメンバーは既に越境学習を経験しているかもしれません。その場合は被・越境学習者になれるチャンス。

もしかしたら越境学習を経験したメンバーがその経験を話せずにいる、まさに今葛藤をしている最中かもしれません。少し意識してメンバーの経験談に耳を傾けてみたいですね。

ご参加いただいたみなさまと📸

少しでも気になった方は、ぜひ越境学習に挑戦してみてくださいね。
次回の横浜人事カレッジは、1月頃に実施します。
組織を超えて学び合う場=越境学習の場として使っていただけたら嬉しいです!


An-Nahalでは今後もダイバーシティ推進に役立つ情報を発信していきます📣

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