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奇岩シューズ

本文

山岳部の部長が履いていたシューズは、とりわけ奇妙な名前だった。


奇岩シューズという。



不思議な形の岩に登るためなのか。
はたまたその岩が用いられているのか。

真相は闇の中だ。




何はともあれ、これも山岳部の怪異に関係していると言えるだろう。


ひとつ、断崖絶壁を登るときに崩落に巻き込まれたが、そのシューズを履いていた部長だけが巻き込まれずに済んだ。

ひとつ、洪水に巻き込まれた時、部長だけが無傷であった。やはり部長は例のシューズを履いていた。

ひとつ、対して高くはない山へトレッキングに行った際、先頭の部長が通った後に突如崩落が起こり、我々後に続く者たちは難所へ行かざるを得なくなった。

何より、部長が例のシューズを履いていないときは何も起こらない。
通学は勿論、山脈縦断の時(例のシューズでは心許なかったためよりしっかりしたシューズを履いていた)などがあるからだ。




何故部長はそのシューズを履いていたのか?
本人曰く、「突然履けと言われた」らしい。

言われたとおりにしないと足を怪我するようだ。






何はともあれ、曰く付きの物品であることには間違いない。
専門家に診てもらおう。


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