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男子大学生「20代で結婚、子供は2,3人!」

某企業の内定者懇親会で男子学生と話す機会があり、こんな声をかけられました。

「おつかれ!」(懇親会開始5分)

唐突の声に驚きましたが、体格の良いその男子学生は僕に声をかけてきました。挨拶もそこそこに、こんな発言をします。

「俺、20代のうちに結婚したい!子どもは2,3人ほしい!彼女はいないけどー!ブハハハハハハ‼」(80dB)

あんまり深い意味のない発言だと思います。思いますが、どうも気になる。この人はなぜ結婚をしたいのだろう、出会っていない相手の子供がほしいのだろう。

世の中には恋愛をしてから「この人と結婚したいな」と感じる人と、結婚するために恋愛をする人がいます。相手がいないうちから結婚願望があるということが、必ずしも後者であるとは思いません。刹那的な恋愛感情ではなく、じんわりと暖かな安心感を得られるような関係性。そんな関係にあこがれを持つことは、僕もありますし、理解できます。

ただ、結婚も出産も子育ても、夫婦双方にとって大変大きな「変化」が生じます(当然ですが)。しかし、上記のような男性の話を聞いていると、その「変化」の影響を自分はそこまで受けるはずがない、という確固たる自信を感じざるをえないのです。思い描いている自分にとっての影響は「所帯を持った明るい家庭生活」というなんともぼんやりした、楽観的なものというわけです。すみません、ちゃんと考えて発言してたら本当にすみません。しかし彼がそういう人でなくても、夫婦生活においてそのような考えの男性は本当に多いですし、夫婦になる前の独身男性(学生含む)にも多いのです。

ということで、気になった僕は少し話を聞いてみることにしました。

「へぇ、結婚したいんですね。なぜですか?」

「実は、地元の同級生がこの前結婚して、めっちゃうらやましくて!」

なぜそれがうらやましいのかを聞いているのだけれども。そこが大事じゃん。

多分、これから僕の周りは結婚して子供を持つ人が増えてくるでしょう。20代に入ったころなので、晩婚化非婚化とはいうものの、早い人は結婚しだします。さて、そのときにようやく卑近だった「結婚」が現実的になります。自分はまだしていない。自分の得ていない大きなものを周りは得ている。自分も欲しい!という具合です。それがなぜ自分の求めているのかを突き詰めようとせず、周囲が家庭を持ったことにただ憧れる姿勢。

これは非常にリスクのある姿勢だと思います。

この考え方の主な問題点は、「結婚した後のビジョン」があまりにもぼやけている点です。結婚をするというのは時間も費用もかかります。キャリア形成は多大な影響を受けます。その点を考えることなく男性が結婚(子供)願望だけを加速させると、結婚をするだけして相手にすべての「変化」を押し付けるという、たいへん不公平なパートナー関係を生む危険性があります。(女性の場合は、相手がすべての「変化」を押し付けるパートナーだと結婚してから気づく可能性がありますね。その場合事態はより深刻です)また、仮に結婚できなかったらどうでしょう。相当な喪失感と絶望感に襲われます。ちなみに、結婚率は男性の方が女性より低く、願望があっても結婚できない男性は少なくないです(収入の低い男性は特にその傾向)。

もちろん、「たまたま」結婚生活における相性がよく、「たまたま」結婚にこぎつけられ、「たまたま」子供を2人以上産んでくれて、「たまたま」仲良く子育てをして行ける人もいるでしょう。しかし、多くの場合は、漠然とした結婚観を早めに鮮明にしておかないとツケが回ってきます。それは、家庭内不和という逃れられない精神的負担です。(男性の中には、家に子どもと妻を置いて逃れてしまう人もいますね。それは女性より経済的に優位な場合が多いからです)

さて、僕はまだ若いですが、そんな鮮明な結婚観、人生観などまだもてていません。何を偉そうなことを今まで語っているのか、一番見なければいけないのは自分の求める幸せなのに!

少なくとも、僕は結婚や子供を相手がいないうちに強く意識することはないかと思います。もちろん今の時点ではですが。恋愛関係なしに、自分の理想だけを膨らませることは、別に悪いことではないですが、危険があるとも思うのです。もし大事に思う相手ができて、その相手が結婚を望まない場合、子供を望まない場合、望んでいてもつくれなかった場合、膨らませすぎた理想は、相手のいないところで一人せっせと紡いでいた単純なエゴイズムだったと気づいてしまうかもしれません。僕はそれが怖いのです。




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