【オリジナル脚本】スペース・ランデヴー【短編】

タイトル:スペース・ランデヴー  執筆日:2024年2月24日

シナリオセンターで書いているオリジナル脚本
原稿用紙10枚分:約10~15分の短編 or 作品冒頭 or 作品の一部シーンの切り出しのような形

脚本の読み方は特殊なので、こちらを一読して頂けると幸いです。
https://note.com/animaarca777/n/n13eb66234b0d

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【登場人物紹介】〈名前+(年齢)+簡単な人物紹介 or 職種〉
フィオナ(27)女泥棒シャドー・キャット
スニーク(33)賞金稼ぎ
ヤマト(45)スニークの相棒
シルバ(46)宇宙刑事警察機構の刑事
ゴルド(35)シルバの側近
住民 月面都市の住民
スタッフ 美術館のスタッフ

【あらすじ】
近未来。月面都市で賞金稼ぎをしているスニークは、女泥棒フィオナを追いかけている。ある日フィオナは月面都市で盗みを働き、宇宙刑事警察機構のシルバに追い詰められる。

以下、本文

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スペース・ランデヴー
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○月面に近い宇宙空間
   翼のないエアバスサイズの宇宙船・ヤマト号が航行中。
 
○宇宙船・ヤマト号内
   ソファーでくつろぎながらスニーク(33)がフィオナ(27)の顔写真をタブレットで見ている。
   フィオナの写真にはシャドー・キャットと書かれ、下に賞金5億ムーンドルと表記。
   ヤマト(45)が後ろから近づく。
ヤマト「まぁたその女の写真見てんのか」
   ヤマトは腕を組み呆れ顔。
   スニークは微動だにせず呟く。
スニーク「……かわいいよなぁ……」
ヤマト「……惚れんなよ?」
   スニークがヤマトの方を向く。
スニーク「……わーってるよそんな事……」
   
○月面都市・美術館・外観
   看板に英語で『華麗なるヴィクトリア王朝ジュエリー展』と書かれている。
 
○同・館内
   色付き眼鏡をかけ、気品のあるマダムのような服装のフィオナがしばらく館内を回り、展示されたヴィクトリア王朝時代の様々な宝飾品を見て回る。
フィオナM「あら……これも素敵……」
   宝飾品を見ながらフィオナはスタッフや警備員、防犯カメラの位置を把握。
   フィオナは大きなエメラルドやサファイアが装飾された黄金の王冠の展示の前で立ち止まる。
   フィオナがスマホを開き、操作する。
   突如、停電が起きる。館内から悲鳴。
スタッフ「た、大変申し訳ございません!只今停電が起きました!皆様、落ち着いて、その場で立ち止まって下さい!」
   ざわめく館内。
   フィオナの色付き眼鏡は暗視ゴールグルとしての機能を果たす。
    ×    ×    ×
   電気が点くと、黄金の王冠とフィオナの姿が消えている。
 
○月面都市・どこかの路上
   シルバ(46)とゴルド(35)がパトカーの中でトランシーバーからの指令を聞いている。パトカーにはタイヤがなく、ホバーで浮いている。
シルバ「了解」
   シルバはアクセルを踏み込み、パトカーを発車。サイレンを鳴らし、急ハンドルを切って猛スピードを出す。
   住民がビックリして叫ぶ。
住民「あ、あぶねーなっ!」
   他の車も急ブレーキを踏んだり、シルバのパトカーの乱暴な運転が目立つ。
   パトカーは徐々に高度を上げ、ウイングが飛び出し空を飛ぶ。
 
○月面都市・とある高層ビル・屋上
   黒ずくめの服装のフィオナがジュラルミンケースを開き、黄金の王冠を手にしてニンマリと笑う。
 
○同・ビル内
   既に特殊部隊が展開している。電子機器の画面を見ると、ビルのマップと、ターゲットマークが点滅。
 
○同・屋上
   フィオナは黄金の王冠の違和感に気付く。非常に小さいチップが取り付けられている。
フィオナ「しまった‼」
   どこからか複数のガスグレネードが投げられ、ボンッと音を響かせ煙たいガスが噴出する。
フィオナ「チッ‼」
   フィオナはすかさず首元からマスクを引き出し装着。ゴーグルを取り付け、素早くジュラルミンケースに黄金の王冠を入れ、ロックをかける。ガスで視界が悪く、うかつに動けない。フィオナは銃を構え、周囲を見渡し警戒。
   徐々にガスが薄まっていく。
   ガスが消えると、周囲をガスマスクとアサルトライフルを装備した特殊部隊に取り囲まれている。
   屋上の出入口から、コートを着たシルバが現れ、ガスマスクを外す。
シルバ「……シャドー・キャットだな⁉観念しろ~ぃ。……ブフッ!ゴホゴホゴホ‼」
   シルバはかっこよくキメたが、突然咳き込む。側近のゴルドが近づく。
ゴルド「シ、シルバさんっ!ま、まだマスク外すの早いっす!」
   シルバは再びマスクを装着する。
シルバ「う、うるせぇ!わかってんだよ!」
   フィオナは呆れた顔。
フィオナ「……こんな奴に追い込まれるなんてね……あたしとしたことが……絶対絶命ってやつね……」
シルバ「さすがのシャドー・キャットもここで終わりだな!」
   シルバはビシッと指を差す。
   フィオナは360度周囲を見渡す。冷や汗が流れる。
   突如、ボンボンボンボンッ!と音が鳴り響き、特殊部隊が次々と呻き声を上げて倒れる。ブーンと複数のドローンが飛来し、特殊部隊に銃撃。殺傷力は低いが破裂する特殊な弾丸。特殊部隊の一部はビルから転落しそうになるもロープで何とか転落を免れる。混乱が起き、特殊部隊は壊滅的。
   空から特殊なスーツとガスマスクを装着したスニークが飛来してきて、フィオナの近くに着地。
スニーク「シャドー・キャットとお見受けした!援護する!」
フィオナ「あ、あんた誰よっ⁉」
スニーク「そんな事言ってる場合じゃねぇだろっ⁉」
   スニークは屋上の縁(へり)までフィオナを連れて走る。
スニーク「飛び降りるぞ!」
   スニークは迷わず飛び降りる。
   フィオナは一瞬戸惑うも、続いて飛び降りる。シルバが起き上がる。
シルバ「ク、クソォッ!ま、待ちやがれ~!」
   ビルの下から、小型の宇宙船が飛んで来る。
 
○小型の宇宙船コクピット
   ヤマトが操縦している。
ヤマト「まぁ~ったく!無茶させやがって!」
 
○屋上から飛び降りた空中
   宇宙船の上部はクッション素材。スニークは上手くクッションに着地。宇宙船はフィオナを上手くキャッチする。
 
○小型の宇宙船コクピット
   操縦席の後ろの狭い空間にスニークとフィオナが入る。
フィオナ「……せまっ……。と、とりあえずありがとう……と言っておく……でも、あんたら何者?……信用はできない……」
スニーク「あぁ。信用はしなくて結構だ」
   スニークはフィオナに銃を向ける。
スニーク「俺達は賞金稼ぎだからな」
   フィオナは舌打ちする。
フィオナ「チッ……だろうね……」
 
○月面に近い宇宙空間
   宇宙船・ヤマト号が航行中。
 
○宇宙船・ヤマト号内
   後ろ手に縛られたフィオナをスニークが後ろで銃を構えながら誘導し、部屋に入らせる。
スニーク「座れ」
   フィオナをソファーに座らせる。
   向かいの席にスニークも座る。ヤマトは近くで腕を組みながら立っている。
   フィオナは少し涙目でスニークを睨みつける。スニークは少し顔を赤くして
スニーク「(小声で)……綺麗だ……」
   と呟く。フィオナは目を丸くする。
フィオナ「はっ?」
ヤマト「おいおいおい、スニーク……勘弁してくれよ……」
   スニークはヤマトの方を振り向く。
スニーク「でもよ~、俺達の事もバレてるかも知れないぜぇ?」
ヤマト「……そ、それを言っちゃあ……」
   スニークは再びフィオナをジッと見る。
スニーク「なぁ……、あんた……。お、俺と取引しないか……?」
   フィオナは少しイラついている。
フィオナ「……ハァ?……何なのよ……」
スニーク「あんたの腕前は業界でも有名だ……。お……、俺達の仲間になってくれ」
   ヤマトは少し慌てる。
ヤマト「お、おいっ!スニーク……!聞いてねぇぞ……‼」
   スニークはフィオナの目をジッと見つめる。
スニーク「最初からそのつもりだったんだ」
   フィオナは唾を飲み、少し考える。
フィオナ「あたしにとってのメリットは?」
スニーク「俺達はあんたをUCPOに突き出さない。それで十分だろ?」
   T『UCPO=宇宙刑事警察機構』
   フィオナは俯いて数秒間思案する。
スニーク「……な、何なら……、一生俺があんたを護ってやっても良いんだぜ……?」
   フィオナはスニークから顔が見えないくらい下を向き、ニンマリとする。
フィオナM「ぶぷっ!……この男……、あたしに惚れてる?……利用できそうね……」
   フィオナは真顔で上を向く。
フィオナ「(可愛い子ぶって)わかった。協力するから、縄を解いてよ」
   お互い見つめ合ってニヤリとする。


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