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寒い日の憧れ

数週間前に額と耳と首筋を覆えば案外寒くないことを知ったとき世紀の大発見のごとき喜びようだった私、外気温が3℃を下回るとあっさり打ち砕かれた 

口と鼻と目と、要は出てるとこがもれなく寒い どうしようもない

雪がちらつく寒空の下に佇んでいたら、ふとマッチ売りの少女な気分になってしまった 彼女は何本のマッチを擦ったんだっけ

ナターシャの妄想一本目に浮かび上がったのは焼き芋だった 正確に言うと焼き芋から連想されるサツマイモだ 素材の方 随分前に買ったサツマイモの上にジャガイモを置いてしまい忘却の彼方となっていたあの芋たち

サツマイモの消費期限ってどれくらいだろうか 無事を祈って二本目

二本目で浮かんできたのは読みかけのミステリー小説 アンソニーホロヴィッツのカササギ殺人事件だ 年内に読み終わりたいのに毎晩寝落ちで残り僅かにして先に進まずもどかしい

サツマイモとミステリー どちらにも後悔が宿る 

こんなに底冷えの日は全てをほっぽり出し部屋にこもりたい そして頭まで深く深く毛布をかぶり誰とも会わず喋らず本を読んで過ごしたいものだ  
 

冬空に憧れを抱く ナターシャ



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