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ティール組織をはじめて1年、社員3名から100名を超えるグループ会社へ

私の会社では、働き方改革によって社員3名の中小企業でありながら、1年で100名を超える人たちと仕事をするグループ会社へと成長しました。

私の会社では、
・パートナー制(3人1チーム)
・プロフェッショナル(専門)
・プロジェクト(事業)
という3つの考え方を取り入れています。

簡単にいいますと、「正社員となって働く」のではなく、「みんなで働き合う」というスタイルです。

その基になったのが、ティール組織の考え方です。

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<参照>プロミネンス ❘ フロー組織実現コンサルティング.より。

ティール組織では、会社の成長や社長のために働くというのではなく、事業の成長やミッションの成果を分かち合うために働き合うともいえます。

具体的にいうと、多くのパートナー(社長チーム)と一緒にプロジェクト(事業)を成長させ、みんなの会社が自然と大きくなるような「働き方」へと変えていきました。

そもそも、この働き方を採用しようと思ったのは、2018年頃から「ティール組織」が注目されるようになり、当社のホールディングス化を機にグループ会社5社を統合してティール組織の考え方を導入することを決めました。

今回はティール組織の考え方を取り入れてしてから1年が経ち、その結果と、取り組みによるメリットやデメリットを紹介します。


1.私の会社とは?

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私の会社は、元々、創業80年を超える駅前旅館を発祥とする会社です。

バブル崩壊後、20年ほど前(父の代)には40名以上いた正社員を整理し、10年前には会社の倒産危機のため社員数名で再建に乗り出し、15億円を超える債務超過の状態でしたが5年前に事業再生が完了し、現在は黒字会社となりました。

私自身も15年を超える経営人生のなかで、社員の裏切りや分裂を経験しましましたし、そもそも私は「コミュニケーションが苦手」で、オレンジ組織のように1人の力で社員を導いていくことに限界を感じたため、皆に支えてもらいながら成長する働き方に変えていきました。

2.ティール組織とは?

ティール組織とは、

社長や上司がマイクロマネジメントをしなくても、目的のために進化を続ける組織のこと。そのため指示系統がなく、メンバー一人一人が自分たちのルールや仕組みを理解して独自に工夫し、意思決定していくという特徴が見られる。(2014年、フレデリック・ラルー著書「Reinventing Organizations」

という考え方が基となっています。

とはいえ、このティール組織への理解は、実は社長だけが分かっていればよいというものではありません。メンバー(パートナー)にも組織への理解が必要なのです。

つまり、「ティール組織を浸透させること」です。

とはいえ、パートナーも自分で会社を持っていたり、別会社に勤めていたりするので、2つ以上の組織のマネジメント(管理方法とタスクのPDCA)を理解するには、けっこうハードルが高いことが分かりました。

まずは、この働き方をみんなが理解して、行動し、成果を出すまでには、世の中に疑問に対して新たな考え方(仕事への価値観)を提示していかなければなりません。

主に3点です。

①「正社員」の働き方

ひとつは正社員の働き方です。

この20年で「働き方」は大きく変わりました。

・正社員で働きたくない
・副業がしたい
・財テクや投資も必要

といったように、働く人の考え方が少しずつ理解されるようになった一方、経営者(特に中小企業)は会社への忠誠心があり、身も心も捧げ、決められた時間に働く、いわゆる「優秀な人」に働いてほしいと思っています。

いま、どんなことが起こっているかというと、会社への忠誠心があり、身も心も捧げ、決められた時間に働くけど、正社員として3、4年が経っても給料は上がらず、無能な上司が居座り続けることに疑問を感じて、会社を辞めるという流れがあります。

②「正社員」の採用基準

次に正社員の採用基準です。

多くの会社(特に中小企業)では、何でも優秀で、学歴が高く、コミュニケーションに長けた人を採用したいという考え方が色濃く残っています。

この考え方は、オレンジ組織(個人の力で支配する)とか、アンバー組織(役割を厳格に全うする)といった組織で採用される基準ですが、社長に力がなかったり、成果を出しても昇進できない中小企業では、働く人の能力の方が高い場合は、会社を辞めてしまうという流れがあります。

③「正社員」に求める仕事量

お前は正社員だから何でもやれよ。

つまり、「正社員だからなんでもやる」という日本の企業風土があります。これは「正社員=ひとりの人間が複数のタスク(職務)をバランス良くこなす」という考え方ともいえます。

今では、専門職という考え方がだいぶ優遇されるようになりましたが、私(40歳)が就職した氷河期世代では、「一部の能力に長けているが変わった人」くらいにしか思われませんでした。

3.ティール組織を導入して1年

まずわかったことを列記します。

①働き方

ティール組織に適した採用基準がありません。社会保険や雇用保険の適用にもなりませんし、成果と報酬が結びつかないと働き続けられないため、最適な人材配置がマネジメントレベルで問われます。

②採用基準

最後まで仕事をやり遂げない、責任感が薄い人も多いです。実際に即採用して、やってみせて、させてみて、能力を図るという、3~6カ月の試用期間が必要です。

③仕事量

どれだけ働いたらいくらなのか?に基準がありません。そこで実際に内部でA~Cに分けて、このA~Cが揃わないとプロジェクトがうまく機能しないということを多々経験しました。

Aランク=知識と経験が豊富 → アドバイザーへ

Bランク=知識や経験もほどほどにある → ディレクションへ

Cランク=知識や経験は少ないがとにかく働ける → タスクをこなす

実際に私も、執筆レベルはCランクのため、Bランクのプロに誤字脱字修正をお願いし、Aランクのアドバイザーに方向性を聞くことを心がけています。経営者だから何でもできるという自負を捨てることが大切です。

次回はその取り組み(ケーススタディ)について紹介します。


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