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力任せの技とは?テクニカルな技とは?(全文無料)

 今日も今日とて柔術が楽しい。ここ2週間、仕事の関係で練習を抑えめにしていたので、昨日は久々にがっつりと練習で来て幸せです。

 今日は力任せの技について。先日書いた肩固めの教則のレビューの際に気づいたことがあったのでまとめます。


1.前提:(試合は)力任せでもいい

 力任せでも試合で決まれば正解です。力こそパワー。どうも日本人は(?)「柔よく剛を制す」が好きですが、強い柔術家の方は力強い人が多いです。
 階級制を採用していることがフィジカルの重要性を示しています。「力なんて関係ない、テクニックだ!」というなら無差別級以外の試合はやらないと思います。技術も大事だけど力も大事。

2.練習での力任せについて。お互いの練習になるように

①格下相手

 練習で体重差、実力差、女子相手の時に力任せになるのはナンセンス。相手のケガのリスクが上がります。そして格下相手だと「技術的に精度が低くても、力で決まってしまう」ことがあるため、自分も相手も成長にもつながりません。「同じカテゴリー相手に使えるか」を基準に力の使いどころを考えましょう。

②格上相手(技術的に)

 格上相手の場合も力任せに行くのはナンセンスです。ガムシャラにいっても潰されて終わり。黒帯相手とやるときは相手のいい技を引き出せるよう、いいリアクションをすることを心がけましょう。こっちがいいリアクションをすると相手がいい対処、いい技を見せてくれます。ガムシャラだといい動きを引き出せないし、せっかく相手がいい動きをしてくれてもそれを見る余裕がありません。

③同格、明らかに重い相手

 力任せに行っていい場面(全力で力を出す場面)もあります。試合のために全力を確かめることも必要。重い人=自分が思いっきり当たっても壊れない人や同カテゴリーの同じくらいの実力の人には「技術的に精度が低くても、力で決まってしまう」ことが少ない(技術的に正しくしかけないと技がきまらない)です。フルパワーで当たってもお互いの練習になることが多いです。ただ、ケガのリスクがあがるので注意しましょう。

3.力任せの技とは?

 相手の力を利用する技はありますが力を使わない技はない、と思います。しかし、フィジカルの要素が大きい技、小さい技というのはあると思います
この項で図を使って考察していきます

 簡潔に言うとこんな感じです

<力任せな技(と言われがちな技)>
・テクニックよりフィジカルの割合が大きい技(タックル、キムラロック)
・手順が単純な技(ヒップスロー、シザースイープ)
・派手に見える技(背負い投げ、大外刈り)
体重を使う技(密着系パス)
足や体幹より、腕を使う技(フロントチョーク、アキレス腱固め、肩固め)
・やられたときに苦しい技(密着系パス、肩固め、担ぎパス)
正面からお互い五分五分の状態で力と力の勝負をする技(相四つからのテイクダウンなど)

上手い人は腕の筋力ではなく、腹筋背筋や足の筋肉や体重を上手に使うイメージ

<テクニカルな技(と言われがちな技)>
・手順の多い技、複雑な技(ベリンボロ、ラペラ系)
・コントロールした状態で出せる技(バックからのサブミッションなど)
・柔軟性が必要な技(軟体ガードリテンション、ラバーガード)
・力よりタイミングの技(後転スイープ、出足払い)
・腕ではなく足や腹筋背筋で極める技(三角絞め)
・体重を使わない技(ステップ系のパスなど)
・力と力の勝負をしない、正面から入らず角度を変える技

手順の少ない方がディティールを求められて、手順が多い方がディティール雑でも決まったりすることもある。
オレンジの部分が多いと力任せな技と言われがち

 例えば出足払いとタックルならタックルの方が力任せな技と言われがちです。

あくまでイメージ。実際の技は力とテクニックの組み合わせなのでこんな単純にはならない。
体重をうまく使えると消費が少ない

 体重を使う技でも「体重を利用する技(トレアナパスなど)」と「体格差を利用する技(クローズド上からつっこみ絞めなど)」があって、後者の方は力任せと言われがちです

キムラのフィニッシュは腕力が必要だが、ポジションコントロールとしてめちゃくちゃ優秀

 サブミッションは、腕の筋力を使うサブミッションは力任せの技と言われがちです。例えば腕十字(アームバー)は背筋も使って腕を伸ばしますが、キムラロックは腕力を使う部分が多いです。

どの技も最後は力で極める。腕を使うか、足や体幹を使うか。

 腕力を使う技は筋力不足で技が極まらないことがありますが、足や体幹を使う技の筋力不足は少ないです。足の筋肉は強いので。その経験から腕を使う技は「これは力がないと決まらないんだ」と考えてしまうことがあるのではないでしょうか。

 あとは、「正面からいってダメだった時に角度を変えることができるかどうか」も力任せかどうかの判断基準になります。正面からいくと力と力のぶつかり合いで力の強い方が勝ちます。これは文字通り”力任せ”ですね

まとめ テクニックとは、力を効率よく伝えるためのもの

・どんな技も力は使う
・「力任せに見える技」と「力任せな技」がある
柔術のテクニックとは「力を効率よく伝える技術」。力とテクニックは相反するものではない。相乗的なもの
・「
タイミング、角度、クラッチ、位置取り、姿勢、相手の重心や力の方向、自身の体重、腕力以外の足や体幹の筋肉」などをうまく使って、力を効率よく伝えることがテクニック

 また、自分が力があるのならば、それを活かすための戦略を取るのは正解です。↓

・四つ組みが強いから何としてでも組み付いてテイクダウン
・袖車が強いので上下どこからでも極める
・無差別級で階級下の相手に強引につっこみ絞めでアドバンを取る。

自分の力が相手に優っているのならばあえて”力任せ”にするのは戦略

 注意するべきなのは「力があればテクニックは必要ない」「テクニックがあれば力は必要ない」のように極端な思考ならないこと。「テクニックのための力、力のためのテクニック」

テクニックも力もあるに越したことはない。がどちらかに偏るのは✖
上級者になると腕の力ではなく、腹筋背筋の力で極められる。「力を効率よく伝える技術」

 例えばフロントやストレートフットロックは初心者のからは腕力で極めにいきますが、うまくなると角度と背筋で極めます。

上級者になると技は、力よりテクニックの割合が増える。「力を効率よく伝える技術」

 まとめると、「力任せな技やテクニカルない技がある、というよりも力任せな人やテクニカルな人がいる」です。テクニックも力も大事にしましょう!

2023/10/24 アンディ

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