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小中一貫教育 テキスト 夢TRY科 の課題 - 東大阪市

夢トライ科の概要

 東大阪市では、2019年(令和元年)度から、全中学校区で「東大阪小中一貫教育」を実施しています。

 総合的な学習の時間のうち年間15時間、市独自のテキスト「未来市民教育 夢TRY科」を使って学習をします。

 小学3年から中学3年(9年生)まで7年間、このテキストを使い続け、防災、金融、社会保障等を学びます。

 このテキストは東大阪市教育委員会が作成しました。

 教科書検定を受けていません。教科書という呼び方をしておらず、テキストと呼んでいます。


課題

1.検証なきテキスト

 このテキストは学校に置いたままであり、家に持ち帰りません。
 なので、保護者がこのテキストの内容を読み、知る機会はありません。
 東大阪市教育委員会だけが作成に関与しているため、テキストの内容の検証・妥当性の評価が独善的になっている可能性があります。
 なお、東大阪市教育委員会には学校の教員も勤務しており、テキスト作成に参画したので、教育委員会としては、内容について特段問題は無い、というスタンスです。

2.ラグビー偏向教育

 本テキストには「夢を追い求めるラグビー」(106ページ。ステージB)という項目があり、ラグビーを礼賛する内容になっています。
 テキストのあらゆる箇所にマスコットキャラクターのトライくんを配置し、ラグビーへの愛好を促す、刷り込み教育になっています。
 保護者が知らない間に、子どもがラグビーファンになっていた、という事態が発生することになります。

 東大阪市では、実態として、ラグビーは普及してませんし、野球やサッカーの方が人気が高いです。このことは、実際に、東大阪市に住んでみればわかることです。

(参考)ラグビーの将来性 東大阪市民の観点から

 このような状況にも関わらず、東大阪市役所は「ラグビーのまち」を標榜ひょうぼうし続け、東大阪市教育委員会は政治や行政に迎合し、ラグビーを愛好するように子どもを教育しています。

3.学習できるページは少ない

 本テキスト1冊で、小学校3年生から中学校3年生(9年生)まで使います。
 小学校3年生の立場からすればステージCのページは読みませんし、9年生の立場からすればステージAは幼い内容になっています。

4.有名人が一部地域に偏っている

 「夢ひらくプロジェクト」(3ページ)には、東大阪市出身の有名人が3名紹介されていますが、彼らの出身が枚岡ひらおか孔舎衙くさか石切いしきりと記され、いずれも旧枚岡市(山の手地域)で、旧布施市や旧河内市(下町地域)出身者はいません。下町と山の手との社会的格差がはっきりしてしまいます。下町の者の立場からすれば、望ましい教育の書物とは言えません。

 日常生活には関係の無い分野(早く走ることなど)で偉大な賞を受賞することが望ましいという内容になっています。非日常の世界で名声を得た人物を英雄視する教育のあり方については、異論はあると思います。

※山の手(やまのて)とは、低地にある下町に対して、高台にある地域を指す言葉である。


テキストの構成

テキストの内容は、次のとおり3個のステージで構成されています。

「ステージA ある日のできごとから」は小学校3年生と4年生、
「ステージB 日常生活の中から」は5年生から7年生まで、
「ステージC 社会の動向から」は8年生以上が学習することになります。

テキスト 夢TRY科 もくじ その1

 もくじに示されているように、A、B及びCの各ステージには次の共通したテーマがあります。

1 よりよい社会をきずくために
2 災害へのそなえ
3 生活を支えるしくみ
4 くらしを豊かにするもの

テキスト 夢TRY科 もくじ その2

 もくじだけをみても、トライくんが数多く掲載され、ラグビーへの愛好を促していることがわかります。本文でも頻繁に登場します。


意見

 私(筆者)はこれまで、東大阪市役所に対して、何故ラグビーのまちなのか?という趣旨の投げかけを何度もしてきました。

 しかしながら、合理的な回答は全くありませんでした。

 「ラグビーの聖地だから」、「有名な試合が行われたから」という、ラグビー愛好者にしか分からない回答しかありません。

東大阪市のラグビー事業に対する考え方

 実態として、東大阪市において、一般市民がラグビー愛好者であるとは言えません。

 そのような状況から、私には、ある確信が生まれました。

 「東大阪市はラグビーのまち」というプロパガンダは、市役所の権力をラグビー愛好者が握ったため引き起こされた、ということです。スポーツマンを気取っていますが、全く公正ではありません。

 一般市民の立場からすれば、このような標榜を受け入れる必要はありません。

 NHKのテレビ「かんさい熱視線」で見たのですが、東大阪市内の小学校の教師が、子どもに対して、近鉄のラグビー選手を称える授業を行っていました。
 ラグビー選手という英雄がいて、それを教師や子どもが崇拝しているのです。
 この教師は、精神的に自律している大人だとは思えません。

 公的な学校教育をも巻き込んでまで、人工的にラグビー愛好者を作り上げていこうとする教育委員会のあり方には問題があります。


テキストの内容(一部)

 以下に、テキスト 未来市民教育 夢TRY科の内容の一部を掲載しておきます。各文に疑問を持ちながら読んでみましょう(教科書検定を受けていないのですから)。

//以下 テキスト引用*********************************************

(テキストの106ページ)

 わたしたちにやる気や満足感をあたえ、らしをゆたかにするものは、人によって、また、暮らしている環境かんきょうによってことなります。私たちが暮らす東大阪市では、ラグビーがその一つであるといえます。
 東大阪市のラグビー場は、1929年に日本初の専用せんようグラウンドとして開場して以来、全国高校ラグビーフットボール大会が開さいされるなど「ラグビーの聖地せいち」として、全国にそのみりょくを発信してきました。また、2019年ラグビーワールドカップの開さい地となり、東大阪市が世界から注目されることになりました。東大阪市にとってラグビーは世界にアビールできる財産ざいさんといえます。

夢TRY科 106ページ(テキスト)
夢TRY科 106ページ(写真)

(テキストの107ページ)

 世界では、850万人以上の人が定期的にラグビーをしているといわれています。それだけ多くの人を引きつけるみりょくがラグビーにはあるという表れでもあります。東大阪市も、マスコットキャラクターがトライくんであるように、ラグビーというスポーツのもつみりょくやイメージを生かしたまちづくリに取り組んでいます。
 このように、ラグビーが根づいている東大阪市について、みなさんはどう感じますか。周りの人と自まんできることを話してみましょう。
 そして、ラグビーのまちで暮らすみなさんも、ラグビーでボールを追うように、自分のゆめを追い求めていきましょう。

夢TRY科 107ページ(テキスト)
夢TRY科 107ページ(写真)

//以上 テキスト引用*********************************

 「世界では、850万人以上の人が定期的にラグビーをしている」と書かれてあり、人気があるかのような演出をしています。日本での人気の程度を書いていません。日本ではラグビーは人気はありません。子どもをミスリードさせようという悪意があります。

 「多くの人を引きつけるみりょくがラグビーにはあるという表れ」と書くことによって、「魅力が無いと感じることは少数派」であることを暗示させ、魅力を感じるように誘導しています。

 テキストでは「ラグビーをやろう」とは書いていません。ラグビーが一般市民のためのスポーツではないことは、このテキストの著者は知っていたようで、その点は私も同じ意見です。

 ラグビーを盛り上げる。盛り上がっているように思い込ませる。雰囲気を醸成する。ラグビーの普及には、政治も大きな関りを持っています。子どもが、公教育を通して、政治や行政の道具になっていることは明らかです。


本テキストの内容の詳細は次の記事に書きました。


改訂を予定

令和4年(2022年)度予算には、一貫教育推進事業として、令和5年度までの2年間で、本テキストの改訂を委託する経費18,600千円が計上されています。担当は、東大阪市教育委員会 小中一貫教育推進室です。紙媒体をコンピュータ用に電子化するようです。

本事業の開始から3年目(2019年が初年度)であるにも関わらず、高い経費(約1千8百万円)をかけて改訂をするのです。

この事業の他にも、東大阪市の公教育は、いろいろやらかしています。


以上

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#夢TRY科 #小中一貫教育 #ラグビーのまち #学校教育 #教師のバトン

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