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大阪IR計画に、スポーツ論議で参戦した
大阪IRに対して、府民(公述人)として意見を述べる機会がありました。
そこで、反スポーツの観点から意見陳述を行いましたので、報告させていただきます。
1.場面
大阪府・市は、令和4年(2022年)2月16日「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」を策定しました。
この計画の策定に先立ち、府は公聴会を開催し、府民(公述人)が意見を述べる場が与えられました。
私は、2022年1月28日(金)第3回公聴会に公述人として書面提出による出席をし、職員に代読していただきました。
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/42249/00000000/kotyokai-1-28-iken-kangaekata.pdf
上記PDFファイルの公述人11(21~22ページ)です。
(参考)大阪IRの説明動画は次のとおりです。
2.該当箇所
大阪IRに対する中核的な意見は、他の府民(公述人)が提起するだろうと予想しましたので、私は、スポーツに関して意見を述べました。
私が意見を述べた主な箇所は、【要求基準17】の「2.認定都道府県等入場料納入金・認定都道府県等納付金の使途(府市共通)」の「(3)観光の振興に関する施策」の「(d)世界に誇れるスポーツ推進都市の実現」(44ページ)です。
(d) 世界に誇れるスポーツ推進都市の実現
大阪が誇るスポーツ資源を活かしたスポーツツーリズムや、国際的なスポーツイベントの誘致・開催、新たなスポーツの拠点づくり等を推進する。また、「する」機会の提供や「ささえる」人材の育成等、スポーツを通じて健康と生きがいを創出するスポーツに親しめる都市をめざす。
3.私が述べた意見 - 本題
大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画(案)の43ページ【要求基準17】の「2.認定都道府県等入場料納入金・認定都道府県等納付金の使途(府市共通)」の「(3)観光の振興に関する施策」について意見を申し上げます。
この中の「(d)世界に誇れるスポーツ推進都市の実現」という項目を削除してください。
音楽・映画などの、ヒトのココロを魅了するコンテンツは多様化しています。
これらを創作する民間のコンテンツ事業者は創意工夫を凝らしています。そのひとつにイースポーツがあります。イースポーツで取り扱うのは、仮想的なデータです。楽しむことに特化した競技ルールの設定が無限に可能です。今後も、新たなコンテンツが数多く創造されていくでしょう。
これに対して、スポーツは、競技ルールが固定されています。ルールを変更しようとしても、選手への影響が大きいため、変更することはできません。身体能力には限界があります。
スポーツは、過去の記録を越えることを目標としています。目標を過去に置いているのですから、未来指向ではありません。勝ち負けにこだわり、負けた者は注目されません。スポーツをやりすぎたため、カラダをコワスことはよくあります。
今後、スポーツは衰退し、イースポーツなど多数の新たなコンテンツが成長することは明白です。スポーツが盛んであるかのように見えますが、それは、スポーツと政治・行政が結託し、スポーツに税金が流れるようになっているからです。スポーツが税金によって保護されることは、公平性に欠け、競合する産業の成長を阻害することになります。
スポーツをプレイするには、経済力や体力が必要です。
市民がスポーツをしていない理由は、スポーツ施設が無いためではなく、経済的に貧しいためです。貧困をなくし、スポーツができるぐらいの経済的なゆとりを市民に与えることが先決です。アスリートに特別な公的資源を割り振ることは不公平です。
スポーツをしたくない市民や嫌いな市民、スポーツをまったくできない市民、そしてホカのコトガラに関心を寄せる市民は多数存在します。これらの市民にとって、スポーツは不要不急であり、無意味です。
スポーツが市民に与えるものとして感動があります。感動という実態の存在しない主観に対して、公的資源を割り振ることは不当です。市民の主観に直接作用する施策は、行政に対する見方・考え方をゆがめ、恣意的な行政の運用がなされてしまいます。スポーツは、趣味娯楽として、その感動を享 受する個人が経費を負担すべきです。
IR事業で最も懸念されるのが、国際的な競争環境です。
仮にIR事業が成功した場合、他の国においても、国際競争力の極めて強いIR事業を始めるでし ょう。日本は自然災害が多く、厳しい規制をする必要があるため、日本のIR事業が国際競争の中で生き残れるわけがありません。
IR事業は収益が不安定であることは十分想定されます。基金を創設し安定化を企てたとしても、スポーツ施設の維持管理費を支払えなくなるリスクがあります。
基金という制度は、予算・決算という制度が無く、議会等による使途の合意形成ができず、公開さ れず不透明です。民間企業が介在し、多額の資金が取り扱われることから、基金という制度を利活用することには反対いたします。
IR事業のネウチを端的に示すのが、7ページの「三道体験スタジオ」です。華道・茶道・香道などの日本の伝統的な芸道を提供する事業です。
最新技術で演出をしたとしても、このような、日本人にすらナジミの無い伝統芸に将来性や価値がある、と計画していること自体が、IR事業には未来が無いことを示しています。
4.府からの回答
大阪府・市は、納付金・入場料を、観光や文化芸術・スポーツの振興等大阪の成長・投資に向けて活用することなどにより、更なる都市魅力の向上や国際競争力の向上を図り、大阪・関西の持続的な成長につなげていきたいと考えており、「世界に誇れるスポーツ都市」の実現は、その方向性に寄与するものと考えております。
また、子育てや教育、健康・医療、福祉など住民福祉の増進にも納付金等を活用し、府民・市民の 暮らしの充実につなげていきたいと考えております。
大阪IRは、国内最大規模の国際会議場に加えて、展示場が一体となった複合型MICE施設が整備され、さらに、魅力増進施設、送客施設、宿泊施設、エンターテイメント施設が整備、運営される ものです。
投資規模等においても、世界最大級のIRになるなど、十分に競争力を有するものと認識しています。
「区域整備計画」(案)では、5つの魅力増進施設の1つである三道体験スタジオについては、華道・茶道・香道等の日本の伝統的な芸道を、先進的なテクノロジー等を用いた演出によって、五感を通じた体験として提供することとしています。
また、伝統的な芸道を、高精細な映像技術や立体音響技術等を用いて誰もが楽しめるコンテンツへと昇華させることで、訪日外国人旅行者に加え、普段こうした文化に触れる機会の少ない国内居住者にもその魅力を発信することとしています
5.回答に対する私の意見
上記回答に対する私の意見は次のとおりです。これは、府には申し入れていません。
(1)前提知識
大阪IR事業は、民間の資金を使って実施するため、公金を使わないことになっています。
しかしながら、その事業から大阪府として得られる納入金・納付金等は、府の財産であり、公金です。
この公金の使い道に対しては、府民として意見陳述の対象になります。私は、この公金の使い道について意見陳述したのです。
(2)府の施策の対象者
スポーツは、昭和の時代の産物であり、既に終わったコンテンツであり、衰退していきます。現在時点で、スポーツを、税(公金)の支出による補填で維持・拡張しているのです。
多くの人々が興味関心を持っているコンテンツは、SNSやスマホのゲームなどです。
生身のスポーツ選手(人間)が駒になって活躍するよりも、電子データが駒になる方が、経済面、労力面、誹謗中傷が無いという理由から、良いに決まっています。
スポーツ選手とは、実際には、スポーツしかやってこなかった人です。身体能力が無限に伸長するかのような幻想を持ち、「あきらめない」を合言葉とする同調圧力の中で育っているのです。「感動」を頻発させ、「誇れる」などの主観用語を多用します。
このような人物に魅力を感じる人がいるかもしれませんが、個人の趣味・娯楽として楽しめば良いのであって、また、民業が行えば良いのであって、公共機関が関りを持つことには意義はありません。
「世界に誇れるスポーツ都市」という手段が、「大阪・関西の持続的な成長」という目的に寄与する証拠はありません。
何故、「世界に誇れるスポーツ都市」を標榜するのでしょうか?
それは、大阪府が施策の対象としているスポーツを愛好する府民が、広告・宣伝(プロパガンダとも言う)に乗り易い・乗せ易いからです。「誇れる」というプロパガンダにより自尊心が高められ、その結果、成長などどうでも良いことになっていくのです。
「感動」とか「誇れる」などの主観用語を用いるのは、合理的に考えさせないことの常套手段です。
スポーツ愛好者を、大阪IR事業の受益者にすることによって、大阪IRへの支援者を増やそうという魂胆です。スポーツ愛好者はスポーツのことしか考えていないと想像されますので、「世界に誇れるスポーツ都市」には強い魅力を感じるでしょう。
公共のあり方についてほぼほぼ何も考えていない人に対してプロパガンダをして、特定の趣味・娯楽事業に公共の資源を投下することは不当です。
市民社会のために、公共機関は如何にあるべきかを考える必要があります。
(3)供給側だけの視点
「投資規模等においても、世界最大級のIRになる」とのことで、供給側の視点だけで考えています。投資規模が大きくなって喜ぶのは、事業にぶら下がっている業者です。
少ない投資で大きく儲けることが商売の鉄板です。
世界最大という規模感で周囲を圧倒させようとする姿勢が、コンテンツの貧弱さへの認識を一層深めさせてくれます。
(4)伝統的な芸道はウケるのか?
三道(華道・茶道・香道)に魅力があるならば、大阪IRにて実施するのではなく、今すぐにでも実施すれば良いのです。
何故、今すぐに、三道体験スタジオを実施しないのか。
それは、三道が、ウケないことがわかっているためです。
では、何故、ウケないことがわかっているのに、計画に載せたのでしょうか?
それは、いまだに、江戸時代の発想をする実力者が健在だからです。
スポーツは昭和の時代に流行った趣味・娯楽事業です。三道は江戸時代以前のものです。このような過去のコンテンツが、未来の世代に対して魅力にならないのは明らかです。
この明らかなことを無視して計画に盛り込むということが、大阪IR自体が終わったコンテンツだということです。
下の写真に写っている太陽は、朝日ではなく、夕日です。
液状化した地盤と共に、沈みゆく大阪府を暗示しています。
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