あこがれの観光列車に乗って、いろいろ考えた ~ べるもんた(富山県)~
これまで、列車の旅番組で海辺をゆったり走る、モスグリーンの列車「Belles montagnes et mer」を見るたびに、いつか乗りたいなぁ~と思いを馳せていましたが、ついにその時が到来!!
全席座席指定ですが、無事にきっぷもゲットでき、夢を叶えに富山へ足を伸ばしました。
❚ 今年2度目の訪問で成就!
今年の2月に高岡を訪れた時は、JRのローカル線ではなく、路面電車の万葉線の移動がほとんどでした。今回は土曜に別の用事を終えて、日曜は完全フリーだったので、念願のベル・モンターニュ・エ・メールにチャレンジ!
さて、この長い列車名、実はフランス語で「美しい山と海」という意味。でも、繰り返し書くのは面倒なので「べるもんた」の愛称で呼びますね。
べるもんたは、富山県にあるJR氷見線と城端線を走る観光列車です。毎週土日のみの運行で、しかも曜日によって運行する路線が異なります(今は土曜が城端線、日曜が氷見線です)。車両はキハ40系(ディーゼル車)で、1両編成での運行です。
外観はご覧のとおり、光沢のある深いモスグリーンにゴールドのラインが入っていて、とても高級感漂っています。この車両を見るだけでも、自然とテンション上がってきません?
これから乗車されると思しき方々も、車両をあちこちから撮影しておられました。
❚ 車内は意外と普通だったり?
で、いざ車内に入ると、当然のように満席状態!以前、鳥取で「天地」という観光列車(鳥取駅~出雲市駅)に、ちょこっとだけ乗りましたが、その時はガラガラだったので車両をたっぷり堪能しまくりました。(^^ゞ
天地は2両で、べるもんたは1両だから、どうしても混んでるように見えるのかなぁーと思ったけど、いや違うぞ!これは全国旅行支援のせいだね、きっと。
ざっと車内を見た瞬間にまず感じたのは、
『意外と普通やなぁ・・・』
窓枠が金縁の大きな窓は、風景を絵画のように見立てるための意匠です。また、伝統工芸「井波彫刻」の展示や、「高岡銅器」をイメージしたつり革の装飾のデザインとか、何気におしゃれ。
ただ、天井は特に装飾もなく、むしろ通勤・通学列車っぽさが出てるなぁ。
むき出しのエアコン、扇風機・・・。つり革の下の座席が「優先座席」なのも、全席指定だったら関係ないはずじゃ??
ネット調べでは、完全な観光列車ではなく、ときに普通列車としての運用もあるみたいですね。今もそうなのか、ちゃんと確認できてないので知らんけど・・・
同じJRの観光列車でも、石川の「花嫁のれん」や、さっき話した「天地」は、かなり細かな部分のデザインまで凝ってると思います。路線の乗車率やら採算性を考えると、車両数や内装への投資に制約があるのかもしれないけれど。外観が凄すぎる分、内装に期待しすぎたかな・・・
それはともかく、車内でのサービスはとてもユニーク。事前予約すれば富山の海の幸を使ったお鮨やお酒のセットなど、目と舌で富山の食を堪能できます。ちなみに、提供されるお鮨は、車内にいる鮨職人さんが握ったものです!(今回は食事を予約してなかった・・・⤵)
あと、車内の前方にはボランティアガイドさんがおられ、車窓を流れる風景にまつわるお話をしてくれます。地名の由来や撮影スポットなど、ほっこりする語りが続きます。絶景の撮影スポットの雨晴海岸では、富山湾の向こうにそびえ立つ立山連峰を撮影できるよう、列車がスピードダウンしてくれます。あいにくこの日はまだ気温が高くて、立山連峰は見えませんでした・・・
車内のサービスにとどまらず、車窓からときどき地元の方々の姿が目に入るんですが、かならず列車に向かって手を振ってくれていました!何気ない光景ではありますが、通過する時間に合わせて集まってくれていると思うと、手作り感のある列車だなぁ~と心が温まりますね。
❚ 地域が抱える事情に合った運用形態
最近は全国各地で、「ななつ星 in 九州」や「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」のようなクルーズトレイン(豪華寝台列車)から、今回紹介したべるもんたのような庶民的なものまで、さまざまな観光列車が登場しています。また、運用形態も地域によって、
旅行商品として販売(例:ななつ星)
乗車料金と座席指定料金が必要(例:べるもんた)
特別料金が不要(例:和歌山電鐵貴志川線、若桜鉄道)
と多種多様です。3つ目の「特別料金が不要」といっても、地域特有の事情があるようです。例えば、若桜鉄道(鳥取県)では、観光列車が改造車両で会社全体として車両が増えていないため、車両運用上特別運用ができないらしい。
また地元の高校生の通学利用も多いことから、現有資産でやりくりするとなると、現状の形になるんでしょうね。
観光客の目線で観光列車を眺めるのは楽しいですが、「地域住民の生活の足」と「観光客誘致のツール」の両立が必要な地域の視点で、ローカル列車をとらえてみるのも大事だと思いました。
【豆情報】氷見のちょっと気になる・・・
日曜は終点が氷見駅なので、駅前をちょっと散策。実は、当日に氷見線を利用したことを証明する(=きっぷを見せる)と、駅前のレンタサイクルが無料になるんです!
帰りの新幹線の時間もあって、氷見での滞在は少しでしたが、電動アシスト車はかなり使えますよ!
あと、駅前のロータリーに4人乗りの電動自動車らしきものも。最近、全国各地で実証実験が行われている「グリーンスモールモビリティ」ってヤツですね。略して「グリスロ」っていうみたいですけど、な~んか覚えにくい。
車体の横には「MITSUOKA」とあるように、光岡自動車が販売しているんだとか(そういや、光岡自動車の本社は富山市でしたね)。グリスロは時速20㎞未満で走行する電動車のこと。ヒミカは3輪車なので、軽四より保安基準が厳しくなくて、税金も安いらしいから、導入コストは少し下がるかな。ちなみに、運転には普通自動車免許が必要ですよ。
次に氷見へ来た時にはゆっくり時間をとって、ヒミカに乗ってみるか・・・