サイコロきっぷ✕北陸✕私①:「あさみゅー」編
【サイコロきっぷに北陸行きを賭けた話】の続き
福井駅に降り立ったあと、去年(2022年)の10月にオープンしたばかりで、まだ訪れていなかった「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(愛称:あさみゅー)」へ向かうことに。
JR越美北線でアクセスしようと画策しましたが、サンダーバードとの乗り継ぎ時間が合わず、バスでの移動になりました。
❚ できたてホヤホヤのミュージアム
まず向かったのは、昨年の10月にオープンした福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(愛称:あさみゅー)です。JR福井駅から、越美北線でわずか15分ほどなので、初めて乗れるー!と期待していたのに、本数が驚くほど少ないことが判明⤵😞
やむなく、路線バス(京福バス・一乗谷東郷線)で移動します。駅西口のバスターミナル5番のりばから乗車、30分足らずで到着です!最寄りのJR一乗谷駅は、あさみゅーから徒歩2分ですが、バス停は博物館のすぐ真ん前でめっちゃ近い!
まったくの余談になりますけど、路線バスを利用する場合は必ず小銭を用意しておいてくださいね!北陸新幹線開通に合わせて、ようやく来年(2024年)春に交通系ICカードが導入されるらしいので、それまでに福井でバスに乗る方はご注意を。
さて、バス停で降りて正面を見上げると、迫力のある建物が飛び込んできます。雪のない季節だと上の公式HP写真のように、田んぼや周囲の山々に紛れそうですが、一面雪に囲まれた冬に見るとまるで水墨画のよう。かなりのインパクトです!
道を挟んだ反対側にも建物があって、そちらは旧の資料館(現在は「分館」)です。ストリートビューであさみゅー本館の場所を見ると、まだ「田んぼ」のまま・・・。そうそう、以前はホントなんにもなかった!
眼前に迫ってくる建物について説明をすると、このスケール感、なんかどっかで体験したことがあるなぁーと思いきや、やっぱりそうだったか!若桜町にある「福井県年縞博物館」と同じ、内藤廣建築設計事務所による設計です(あさみゅーは、センボー設計との共同体)。
❚ 一乗谷朝倉氏遺跡とは
一乗谷朝倉氏遺跡は、応仁の乱をきっかけに5代100余年にわたって越前国を治めた戦国大名、朝倉氏が築いた城下町の跡です。1573年に、織田信長との戦いに敗れて焼き討ちに遭うまで、南北約1.7㎞ほどの細長い谷間には朝倉館をはじめ、武家屋敷や寺院、職人・商人の町屋が計画的に整備された道路の両面に立ち並んでいました(日本史に詳しくないので、ほぼ受け売りの知識です💦)。
最盛期には、1万人もの人々が暮らしていたというから驚きです。焼き討ちされた跡は400年もの間、幸いにも田畑の下に埋もれていたことで、当時の町並みがほぼ完全な姿で発掘!
そんな発掘の経緯から、ベスビオ火山の大噴火による火砕流で一瞬にして滅んだ、古代ローマの都市ポンペイになぞらえて「日本のポンペイ」と呼ばれることも。これほど大規模に町並みが残っているのは貴重なため、「特別史跡」「特別名勝」「重要文化財」という国の三重指定を受けた都市遺跡となりました。
国の三重指定は、観光資源としてポイントが高いと思うんですが、福井県民の控え目な性格のせいか(以前、ボランティアガイドさんがおっしゃっておられました💦)、あまり知られていないみたい・・・😢
ミュージアムショップで購入した御乗印状の右上にも、ちょこっと小さ目に書いてありますもんねぇ。北陸新幹線の延伸も間近ですし、県外からのお客さんに向けてもっとアピールしましょうよ~!🥳
今回は訪問していませんが、同遺跡の見どころの1つに「復原町並」があります。JR一乗谷駅から南へ15分ほど歩けば、南北約200mにわたって、中級武家屋敷や町屋群が見えます。発掘調査で見つかった塀の石垣、建物の礎石などをそのまま使って、かなり忠実に再現しているので必見です!
一見地味だけれど、そこに妥協を許さない。食に対するこだわりと同じく、福井の県民性というか、シビックプライドを感じますね。
復原町並のもう1つの特徴である「遠見遮断方式」も体験して欲しいポイントです。これは、道を湾曲させることで、侵入者(敵)からは先が見えにくく、守り手からは敵の全貌がよく見える仕組みのこと。当時の城下町ではよくみられた防護策らしいですが、遠見遮断方式が現在見られるのは、全国で一乗谷朝倉氏遺跡だけ!😲
私は4年ほど前に訪れましたが、口頭や文字では説明できない不思議な感覚でした。ぜひ、現地へ行って自分の目で確かめてくださーい。👀
❚ あさみゅーのスゴさ
あさみゅーは、遺跡から出土した資料の展示に加えて、1階の「遺構展示室」がユニーク。博物館を建設する際の事前発掘調査で、偶然発見された幅約6m、長さ約38mの「石敷遺構」を露出展示しています。戦国時代の川湊の「船着き場」、あるいは湿地の足場を固める「道路」という、2つの仮説がある遺構。それにしても、遺構をそのまま展示する心意気に圧倒!
残念なことに、私はこの貴重な展示を見落とす「痛恨のミス」をしてしまった・・・今度あさみゅーに来る口実にしておきます。💦
最後に、私があさみゅーに来た一番の目的といっていい、最大の見どころ朝倉館です。最初の外観写真にあった、大きな切妻屋根の建物の中に、室町幕府将軍・足利義昭を迎えた広間や庭園といった、館の一部を「原寸」で再現!
焼き討ちに遭った建物の礎石や庭石のほか、金属製品などがそのまま地中に残っていたからこそ、正確に再現できた館なんです。これぞ、まさに軌跡といっていいでしょう!
下の写真を見れば分かりますが、外観の重厚さと対照的に内部は木材を多用した温かみのある質感を演出していて、さほど威圧感はありません。でも、壮大さには思わずため息が出そうになります。
館の中庭には笏谷石で囲われた花壇まで・・・。実際の館跡の中庭部分にも四角い遺構が残っていて、日本最古の花壇といわれています。当時を偲ぶことができる、本当に素晴らしい空間です。
中でも、24畳の会所(接客座敷)は見事の一言。当主・義景の生活の場であり、足利義昭をもてなした部屋でもあったらしい。派手さはないけれど、武士らしい気品が漂っていました。
❚ 奥越の大野へ
あさみゅーを堪能したあと、一乗谷駅から列車に乗って大野に向かうことに。駅はすぐ目の前にあるはずなのに、雪が積もって靄がかっていたので、心理的距離が遠い・・・
足元に気をつけながら駅に到着。当然ですが、誰もいません。
ホームから大野・九頭竜湖方面を眺める。この先にはどんな光景が待っているんだろう、という期待と不安。ちゃんと歩けるかな?
10数分ほど待って、ようやく列車が入線。あぁー、これで暖が取れるぞ!越前大野まで40分足らずの列車旅が始まる・・・