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下肢の筋カード (起始・停止・支配神経)

1 下肢帯の筋

■ 内寛骨筋

腸腰筋(腸骨筋+大腰筋)

腸腰筋(iliopsoas)|大腰筋(psoas major)+ 腸骨筋(iliacus)

腸腰筋
腸腰筋は大腰筋と腸骨筋よりなり、股関節を屈曲させる作用をもちます。

大腰筋
大腰筋の浅頭は第12胸椎から第4腰椎までの椎体と椎間円板から起こり、深頭は全腰椎の肋骨突起から起こります。浅頭と深頭は合して鼠径靭帯の下、筋裂孔をくぐって大腿骨小転子につきます。腰神経叢の枝により支配されます。

【起始】全腰椎肋骨突起, T12〜L4椎体, 椎間円板
【停止】小転子
【支配神経】腰神経叢
【作用】股関節 屈曲, 下肢を固定すると体幹を前に曲げる


腸骨筋
腸骨筋は腸骨窩から起こります。大腰筋とともに鼠径靭帯の下、筋裂孔をくぐって小転子につきます。大腿神経に支配されます。

【起始】腸骨窩
【停止】小転子
【支配神経】大腿神経
【作用】股関節 屈曲, 下肢を固定すると体幹を前に曲げる

■ 外寛骨筋

大殿筋

大殿筋(gluteus maximus)

大殿筋は殿部を形成する強大な筋で、腸骨外面(後殿筋線より後ろ)、仙骨後面、仙結節靭帯から起こって斜め外下方に向かい大腿骨上部の殿筋粗面と腸脛靭帯につきます。股関節を伸展させる主動作筋として働くほか、若干の外旋作用があります。大殿筋の上部だけが働けば、股関節を外転させる作用もあります。また、腸脛靭帯を緊張させることにより膝関節を伸展させ直立姿勢を保つ働きもあります。直立歩行に重要な役割を果たす筋で、ヒトで特に発達しています。下殿神経の支配をうけます。

【起始】腸骨外面(後殿筋線より後ろ)、仙骨後面、仙結節靭帯
【停止】殿筋粗面、腸脛靭帯
【支配神経】下殿神経
【作用】股関節の伸展、腸脛靭帯を緊張させ膝関節を伸展させ直立姿勢を保つ、股関節の外転と外旋

中殿筋と小殿筋

中殿筋・小殿筋(gluteus medius,gluteus minimus)

中殿筋は大殿筋におおわれ腸骨の外面から起こり、外下方に向かい、大腿骨大転子につきます。小殿筋は中殿筋のさらに下層にあり、同じく大転子につきます。股関節を外転させるほか、直立時や歩行時に骨盤を支える作用があります。上殿神経により支配されます。

中殿筋
【起始】腸骨外面(前殿筋線と後殿筋線の間)
【停止】大転子
【支配神経】上殿神経
【作用】股関節の外転、前部の筋は内旋


小殿筋
【起始】腸骨外面(前殿筋線と下殿筋線の間)
【停止】大転子
【支配神経】上殿神経
【作用】股関節の外転、内旋

大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋(tensor fasciae latae)

大腿筋膜張筋は大腿筋膜に包まれ上前腸骨棘から起こり、大転子の前方を経て腸脛靭帯にうつり、大腿の外側縁を下り、膝蓋骨の外側で内前方に向かい脛骨粗面につきます。股関節を屈曲・外転・内旋させ、膝関節を伸展・外旋させます。上殿神経により支配されます。

【起始】上前腸骨棘
【停止】腸脛靭帯
【支配神経】上殿神経
【作用】股関節の屈曲・外転・内旋、膝関節の伸展・外旋

梨状筋

梨状筋(piriformis)

梨状筋は仙骨前面から出て外下方に走り、大坐骨孔を通り前方に向かい、大転子につきます。股関節の外旋させます。股関節が屈曲している時は股関節の外転に働きます。仙骨神経叢の枝をうけます。梨状筋により大坐骨孔は梨状筋上孔と梨状筋下孔に分けられます。

【起始】仙骨前面外側
【停止】大転子
【支配神経】仙骨神経叢
【作用】股関節の外旋、股関節が屈曲している時は股関節の外転

上双子筋・内閉鎖筋・下双子筋

上双子筋・内閉鎖筋・下双子筋(gemellus superior, obturator internus, gemellus inferior)

上双子筋は坐骨棘から、下双子筋は坐骨結節から起こり、骨盤側壁内面の閉鎖孔の周囲(閉鎖膜の内面)から起こる内閉鎖筋を上下から挟み込むように走行し、3つの筋は転子窩につきます。股関節の外旋させる作用があります。仙骨神経叢の枝をうけます。

上双子筋
【起始】坐骨棘
内閉鎖筋
【起始】閉鎖膜の内面
下双子筋
【起始】坐骨結節

【停止】転子窩
【支配神経】仙骨神経叢
【作用】股関節の外旋、股関節が屈曲している時は股関節の外転

大腿方形筋

大腿方形筋(quadratus femoris)

大腿方形筋は坐骨結節から起こり外方に向かい、大腿骨転子間稜につきます。股関節を外旋させます。仙骨神経叢の枝をうけます。

【起始】坐骨結節
【停止】転子間稜
【支配神経】仙骨神経叢
【作用】股関節の外旋

2 大腿の筋

■ 大腿前面の筋(伸筋群)

縫工筋

縫工筋(sartorius)

縫工筋は上前腸骨棘より起こり大腿前面を外側より斜め内下方に走り、大腿骨内側上顆の後ろをまわり脛骨粗面の内側につきます。薄筋、半腱様筋とともに鵞足を構成します。股関節の屈曲・外転・外旋させ、膝関節の屈曲・内旋させます。あぐらをかく動きです。大腿神経により支配されます。

【起始】上前腸骨棘
【停止】脛骨粗面の内側(鵞足)
【支配神経】大腿神経
【作用】股関節の屈曲・外転・外旋、膝関節の屈曲・内旋

大腿四頭筋

大腿四頭筋(quadriceps femoris)

大腿四頭筋は4頭からなる強大な筋です。大腿直筋は下前腸骨棘から、内側広筋は粗線内側唇から、中間広筋は大腿骨前面から、外側広筋は粗線外側唇から起こり、4頭合して強い腱をつくり、膝蓋骨をつつみ膝蓋靱帯となって脛骨粗面につきます。大腿四頭筋は全体として膝関節を伸展させる作用のほか、大腿直筋は股関節の屈曲作用も有します。大腿神経により支配されます。

【起始】
 – 大腿直筋:下前腸骨棘
 – 内側広筋:粗線内側唇
 – 中間広筋:大腿骨前面
 – 外側広筋:粗線外側唇
【停止】4つの筋は合して膝蓋骨につき、膝蓋靱帯を経て脛骨粗面に終わる
【支配神経】大腿神経
【作用】膝関節の進展(大腿直筋は股関節の屈曲作用もある)

膝関節筋

膝関節筋(articularis genus)

膝関節筋は大腿骨下部前面から起こり、膝関節包の上部(膝蓋上嚢)につきます。膝関節包を上方に引く作用があります。大腿神経により支配されます。

【起始】大腿骨下部前面
【停止】膝関節包
【支配神経】大腿神経
【作用】膝関節の関節包を上方に引く

■ 大腿内面の筋(内転筋群)


恥骨筋

恥骨筋(pectineus)

恥骨筋は恥骨櫛から起こり、大腿骨上部内側の恥骨筋線につきます。股関節の内転・屈曲させます。大腿神経により支配されます。

【起始】恥骨櫛
【停止】恥骨筋線
【支配神経】大腿神経
【作用】股関節の内転・屈曲

長内転筋と短内転筋

長内転筋と短内転筋(adductor longus, adductor brevis)

長内転筋は恥骨体から、短内転筋は恥骨下枝から起こり、粗線内側唇につきます。股関節を内転・屈曲させます。閉鎖神経に支配されます。

長内転筋
【起始】恥骨体
【停止】粗線内側唇
【支配神経】閉鎖神経
【作用】股関節の内転・屈曲


短内転筋
【起始】恥骨下枝
【停止】粗線内側唇
【支配神経】閉鎖神経
【作用】股関節の内転・屈曲

大内転筋

大内転筋(adductor magnus)

大内転筋は恥骨下枝、坐骨枝、坐骨結節より起こり、外下方に向かい、扇状に広がります。そして一部は腱となり下方に向かいます。扇状の筋線維は大腿骨粗線全長に、腱部は内側上顆につきます。股関節を内転させます。筋の上方は股関節の屈曲、下方は伸展作用も有します。閉鎖神経により支配されます。

【起始】恥骨下枝・坐骨枝・坐骨結節
【停止】粗線内側唇、内転筋結節
【支配神経】閉鎖神経
【作用】股関節の内転、筋の上方は股関節の屈曲、下方は伸展

薄筋

薄筋(gracilis)

薄筋は恥骨下枝より起こり、大腿内側を下り、脛骨上端、脛骨粗面の内側につきます。縫工筋や半腱様筋とともに鵞足を構成します。股関節を内転させ、膝関節を屈曲・内旋します。閉鎖神経により支配されます。

【起始】恥骨下枝
【停止】脛骨粗面の内側(鵞足)
【支配神経】閉鎖神経
【作用】股関節の内転、膝関節の屈曲・内旋

外閉鎖筋

外閉鎖筋(obturator externus)

外閉鎖筋は閉鎖膜の外面およびその周囲の骨部より起こり、大腿骨頸の後ろを通り大腿骨転子窩につきます。股関節を外旋、内転させます。閉鎖神経により支配されます。

【起始】閉鎖膜の外面
【停止】転子窩
【支配神経】閉鎖神経
【作用】股関節の外旋、内転

■ 大腿後面の筋(屈筋群)

大腿二頭筋

大腿二頭筋(biceps femoris)

大腿二頭筋はは長頭と短頭に分かれ、長頭は坐骨結節から、短頭は大腿骨後面の粗線外側唇から起こり、大腿後面を下方に向かって走り両頭合して膝窩の外側を通り腓骨頭につきます。股関節を伸展させ、膝関節を屈曲・外旋させます。長頭は坐骨神経(脛骨神経)支配で、短頭は坐骨神経(総腓骨神経)支配です。

【起始】長頭:坐骨結節, 短頭:粗線外側唇
【停止】腓骨頭
【支配神経】坐骨神経(長頭:脛骨神経, 短頭:総腓骨神経)
【作用】股関節の伸展, 膝関節の屈曲・外旋

半腱様筋と半膜様筋

半腱様筋・半膜様筋(semitendinosus, semimembraneous)

半腱様筋と半膜様筋は共に内側ハムストリングスを構成します。半腱様筋は表層で坐骨結節より起こり、脛骨粗面の内側につき、縫工筋、薄筋とともに鵞足を構成します。半膜様筋は半腱様筋の下層にあり、坐骨結節から起こり、脛骨粗面内側顆の後部につきます。半腱様筋、半膜様筋はともに股関節の伸展、膝関節の屈曲・内旋に作用します。坐骨神経(脛骨神経)により支配されます。

【起始】坐骨結節
【停止】
 ・半腱様筋:脛骨粗面の内側(鵞足)
 ・半膜様筋:脛骨内側顆の後部
【支配神経】坐骨神経(脛骨神経)
【作用】股関節の伸展、膝関節の屈曲・内旋

3 下腿の筋

■ 下腿前面の筋(伸筋群)

前脛骨筋

前脛骨筋(tibialis anterior)

前脛骨筋は脛骨外側面と下腿骨間膜から起こり、上下の伸筋支帯の下を通り、足背に出て内側楔状骨と第1中足骨底の下面につきます。足の背屈かつ内反をします。深腓骨神経の支配をうけます。

【起始】脛骨外側面・下腿骨間膜
【停止】内側楔状骨、第1中足骨底
【支配神経】深腓骨神経
【作用】足の背屈, 内反

長母趾伸筋・長趾伸筋

長母趾伸筋・長趾伸筋(extensor hallucis longus, extensor digitorum longus)

長母趾伸筋
長母趾伸筋は腓骨内側面、下腿骨間膜より起こり腱は上下の伸筋支帯の下を通り、足背に出て母指末節骨底につきます。母趾の伸展させ、足の背屈・内反をおこないます。深腓骨神経の支配をうけます。

【起始】腓骨内側面・下腿骨間膜
【停止】足背の母指末節骨底
【支配神経】深腓骨神経
【作用】母趾の伸展, 足の背屈・内反

長趾伸筋
長趾伸筋は腓骨内側面、脛骨の外側顆、下腿骨間膜から起こり、下方に向かい途中で腱となり、伸筋支帯の下で4分して足背に出て指背腱膜(趾背腱膜)に移行し、第2~第5指の中節骨と末節骨につきます。第2~第5指をのばし、また足の背屈・外反を行います。深腓骨神経の支配をうけます。

【起始】腓骨内側面・脛骨外側顆・下腿骨間膜
【停止】第2〜5指の指背腱膜(趾背腱膜)に移行し、中節骨と末節骨に終わる
【支配神経】深腓骨神経
【作用】第2〜5指の伸展、足の背屈・外反

第三腓骨筋

第三腓骨筋(peroneus tertius)

第三腓骨筋は長指伸筋の分かれたもので、腓骨内側面、下腿骨間膜より起こり伸筋支帯の下を通り、足背に出て第5中足骨底の背面につきます。足の背屈・外反をおこないます。深腓骨神経の支配をうけます。

【起始】腓骨内側面・下腿骨間膜
【停止】第5中足骨底(背面)
【支配神経】深腓骨神経
【作用】足の背屈・外反

■ 下腿外側面の筋(腓骨筋群)

長腓骨筋・短腓骨筋

長腓骨筋・短腓骨筋(peroneus longus, peroneus brevis)

長腓骨筋は腓骨頭、腓骨上部外側面から起こり、その腱は外果の後を通り、前方に向かい足底に出てそこを斜めに横切り、内側楔状骨、第1中足骨底につきます。短腓骨筋は腓骨下部外側面からら起こり、その腱は外果の後方を通り、第5中足骨底につきます。長・短腓骨筋ともに足の底屈、外反を行います。浅腓骨神経の支配をうけます。

長腓骨筋
【起始】腓骨頭・腓骨上部外側面
【停止】内側楔状骨、第1中足骨底


短腓骨筋
【起始】腓骨下部外側面
【停止】第5中足骨粗面


【支配神経】浅腓骨神経
【作用】足の底屈・外反

■ 下腿後面の筋(屈筋群)

下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)

下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)(triceps surae - gastrocnemius, soleus)

下腿三頭筋は浅在の2頭をもつ腓腹筋と深在のヒラメ筋よりなります。腓腹筋内側頭は大腿骨内側上顆より、外側頭は外側上顆より起こり、ヒラメ筋は腓骨頭と脛骨の上部後面(ヒラメ筋線)より起こり3頭合して踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起につきます。足の底屈を行い、腓腹筋は膝関節の屈曲にも作用します。脛骨神経の支配をうけます。

腓腹筋
【起始】内側頭:内側上顆, 外側頭:外側上顆
【停止】踵骨腱をつくり踵骨隆起に終わる
【支配神経】脛骨神経
【作用】膝関節の屈曲、足関節の底屈

ヒラメ筋
【起始】腓骨頭・ヒラメ筋線
【停止】踵骨腱をつくり踵骨隆起に終わる
【支配神経】脛骨神経
【作用】足関節の底屈

足底筋

足底筋(plantaris)

足底筋は大腿骨外側上顆より起こり細長い腱となり、踵骨腱内側縁につき腫骨隆起に停止します。下腿三頭筋の働きを助ける働きをします。脛骨神経により支配されます。

【起始】外側上顆
【停止】踵骨腱の内側縁に癒合
【支配神経】脛骨神経
【作用】下腿三頭筋の働きを助ける

膝窩筋

膝窩筋(popliteus)

膝窩筋は大腿骨外側上顆より起こり、脛骨上部の後面(ヒラメ筋線の上)につきます。膝関節を屈曲・内旋させます。また膝窩筋は外側半月にも付着しているので、膝を屈曲する際に、外側半月を後方へ引き寄せることにより、挟み込みを防ぐ働きもあります。脛骨神経により支配されます。

【起始】外側上顆
【停止】脛骨上部後面(ヒラメ筋線の上)
【支配神経】脛骨神経
【作用】膝関節の屈曲・内旋

後脛骨筋

後脛骨筋(tibialis posterior)

後脛骨筋は下腿骨間膜の後面、ならびに下腿骨間膜に隣接する腓骨、脛骨上部後面から起こり、内果の後方を通り屈筋支帯の下を貫いて前方にまがり足底で腱に分かれて、舟状骨・全楔状骨・立方骨・第2〜4中足骨底につきます。足関節の底屈・内反を行います。脛骨神経により支配されます。

【起始】下腿骨間膜の後面
【停止】舟状骨・全楔状骨・立方骨・第2〜4中足骨底
【支配神経】脛骨神経
【作用】足関節の底屈・内反

長趾屈筋・長母趾屈筋

長趾屈筋・長母趾屈筋(flexor digitorum longus, flexor hallucis longus)

長趾屈筋は脛骨後面より起こり、腱は内果の後側で屈筋支帯を通り、足底に出て4分し第2~第5末節骨底につきます。第2〜5指の屈曲をさせ、足関節を底屈・内反します。
長母趾屈筋は腓骨下部後面より起こり下方に走り、腱は屈筋支帯を通り足底に出て、母指末節骨底につきます。母指の底屈をさせ、足関節を底屈・内反します。どちらの筋も脛骨神経により支配されます。

長趾屈筋
【起始】脛骨後面
【停止】第2〜5指の末節骨底
【支配神経】脛骨神経
【作用】第2〜5指の屈曲、足関節の底屈・内反


長母趾屈筋
【起始】腓骨下部後面
【停止】母指末節骨底
【支配神経】脛骨神経
【作用】母指の底屈、足関節の底屈・内反

4 足の筋

■ 足背筋

短母趾伸筋・短趾伸筋

短母趾伸筋・短趾伸筋(extensor hallucis brevis, extensor digitorum brevis)

短母趾伸筋は足背の踵骨上面より起こり、母指基節骨底につきます。母趾を伸展させます。短趾伸筋は足背の踵骨上面より起こり、第2〜4指の長指伸筋腱(趾背腱膜)に合して、中節骨・末節骨へつきます。第2〜4趾を伸展させます。どちらも深腓骨神経により支配されます。

短母趾伸筋
【起始】踵骨上面
【停止】母指基節骨底
【支配神経】深腓骨神経
【作用】母指の伸展


短趾伸筋
【起始】踵骨上面
【停止】第2〜4指の長指伸筋腱(趾背腱膜)に合して、中節骨・末節骨へ
【支配神経】深腓骨神経
【作用】第2〜4指の伸展

■ 母趾球筋

母趾外転筋・短母趾屈筋・母趾内転筋

母趾外転筋・短母趾屈筋・母趾内転筋
(abductor hallucis,flexor hallucis brevis,adductor hallucis)

足の母趾球筋は母趾外転筋、短母趾屈筋、母趾内転筋の3筋からなります。母趾外転筋は踵骨隆起より起こり、母趾基節骨底につきます。母趾を外転・屈曲させます。短母趾屈筋は外側楔状骨・立方骨より起こり、母趾基節骨底につきます。母趾の中足指節関節を屈曲させます。母趾外転筋、短母趾屈筋は内側足底神経に支配されます。
母趾内転筋は横頭が第3〜5中足骨頭の底側にある靱帯より、斜頭は第2〜4中足骨底より起こり、母趾基節骨底につきます。母趾を内転させ、母趾の中足指節関節を屈曲させます。外側足底神経により支配されます。

母趾外転筋
【起始】踵骨隆起
【停止】母趾基節骨底
【支配神経】内側足底神経
【作用】母趾の外転・屈曲


短母趾屈筋
【起始】外側楔状骨・立方骨
【停止】母趾基節骨底
【支配神経】内側足底神経
【作用】母趾の中足指節関節の屈曲


母趾内転筋
【起始】横頭:第3〜5中足骨頭の底側にある靱帯, 斜頭:第2〜4中足骨底
【停止】母趾基節骨底
【支配神経】外側足底神経
【作用】母趾の内転、母趾の中足指節関節の屈曲

■ 小趾球筋

小趾外転筋・短小趾屈筋

小趾外転筋・短小趾屈筋(abductor digiti minimi pedis,flexor digiti minimi brevis)

足の小趾球筋は小趾外転筋・短小趾屈筋の2筋からなります。手の小指対立筋に相当する筋は足にはありません。小指外転筋は踵骨隆起より起こり、小趾基節骨底につきます。小趾の外転・屈曲をおこないます。短小趾屈筋は第5中足骨底・長腓骨筋の腱鞘より起こり、小趾基節骨底につきます。小趾の中足指節関節を屈曲させます。足の小趾球筋(小趾外転筋・短小趾屈筋)はともに、外側足底神経により支配されます。

小趾外転筋
【起始】踵骨隆起
【停止】小趾基節骨底
【支配神経】外側足底神経
【作用】小趾の外転・屈曲


短小趾屈筋
【起始】第5中足骨底・長腓骨筋の腱鞘
【停止】小趾基節骨底
【支配神経】外側足底神経
【作用】小趾の中足指節関節の屈曲

■ 中足筋

短指屈筋・足底方形筋

短指屈筋・足底方形筋(flexor digitorum brevis,quadratus plantae)

足底の皮下、踵骨隆起より第1〜5中足趾節関節まできわめて強い縦走線維が走っており、これを足底腱膜といいます。短趾伸筋は踵骨隆起より起こり、第2〜5趾の中足骨底につき、足底腱膜を裏打ちするように走っています。第2〜5趾の中足趾節関節(MP関節)、PIP関節を屈曲させます。内側足底神経により支配されます。足底方形筋は短趾屈筋におおわれ、踵骨隆起より起こり、足底のほぼ中央で長趾屈筋腱の外側縁につきます。長趾屈筋の斜め方向に向かう力を矯正して、趾の屈曲を助けます。外側足底神経に支配されます。

短趾屈筋
【起始】踵骨隆起
【停止】第2〜5趾の中節骨底
【支配神経】内側足底神経
【作用】第2〜5趾の中足趾節関節、PIP関節を屈曲


足底方形筋
【起始】踵骨隆起
【停止】長趾屈筋腱
【支配神経】外側足底神経
【作用】長趾屈筋の斜め方向に向かう力を矯正して、趾の屈曲を助ける

虫様筋

足の虫様筋(lumbricales pedis)

足の虫様筋は第2〜5趾に向かう長趾屈筋の個々の腱の内側縁より起こり、第2〜5趾の基節骨の内側と趾背腱膜につきます。第2〜5趾の中足趾節関節を屈曲させるとともに、IP関節の伸展を助けます。第1虫様筋は内側足底神経、第2〜4虫様筋は外側足底神経に支配されます。

【起始】第2〜5趾に向かう長趾屈筋の個々の腱の内側縁
【停止】第2〜5趾の基節骨の内側と趾背腱膜
【支配神経】第1虫様筋は内側足底神経、第2〜4虫様筋は外側足底神経
【作用】第2〜5趾の中足趾節関節を屈曲、IP関節の伸展を助ける

底側骨間筋、背側骨間筋

底側骨間筋、背側骨間筋(plantar interossei, dorsal interossei)

底側骨間筋は3個あり、第3〜5中足骨の内側より起こり、第3〜5趾の基節骨底内側につきます。第2趾に他の趾を近づける内転運動を行ないます。背側骨間筋は4個あり、2頭をもって第1〜5中足骨の対向面より起こり、第1背側骨間筋は第2趾基節骨の内側、第2〜4背側骨間筋は第2〜4趾基節骨の外側につきます。第2趾から他の趾を遠ざける外転運動を行ないます。両者が同時に働けば中足趾節関節を屈曲させます。どちらの筋も外側足底神経に支配されます。

底側骨間筋
【起始】3個あり、第3〜5中足骨の内側
【停止】第3〜5趾の基節骨底内側
【支配神経】外側足底神経
【作用】足趾の内転、第3〜5趾の中足趾節関節の屈曲


背側骨間筋
【起始】4個あり、2頭をもって第1〜5中足骨の対向面より起こる
【停止】第1背側骨間筋は第2趾基節骨の内側、第2〜4背側骨間筋は第2〜4趾基節骨の外側
【支配神経】外側足底神経
【作用】足趾の外転、第2〜4趾の中足趾節関節の屈曲

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この大変な時代に医療従事者を目指す方々へ。時代は変化していますが、いつの時代でも大切なことは不変です。それは勉強を続けること。今日という日、今という時間を大切にすること。解剖学は医学の最も基礎となる学問です。

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