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効率の良い暗記ツール 「Anki」 を用いた筋肉の覚え方

今回はデジタル技術を用いた勉強法についてご紹介いたします。

この記事はiPhone、iPadでのAnkiインストール、筋肉カード追加を解説しています。Androidはすこし画面やインストール法が違います。Androidでは以下を参照してください。

以下、iOSの画面です。

■ Ankiって何?

【単語帳をデジタル化】
暗記のコツは、問題形式にして「わかる」か「わからない」かを随時確認すること。だから昔から「単語帳」が使われています。
Ankiは単語帳といっても、ただの単語帳ではありません。面積の制限がないので、たくさん図を入れられます。

筋肉の起始停止を文字だけで覚えようとしても、なかなか覚えられません。イメージやストーリーを伴わない文字情報を覚えるのは、暗号の文字列を覚えるようなもので、なかなか覚えられませんし、苦痛です。

Ankiは画像や音声、動画などさまざまな形式を単語帳化できます。図とともにクイズ形式で出題されるので、記憶に残りやすく、覚えるのが苦痛でなくなります。

筋肉の起始停止を覚えるのが苦痛でない

図とともに学習する最大のメリットは、臨床に役立つということです。
解剖学を国家試験のためだけに勉強するのはもったいない。臨床に活かしてこその解剖学です。

図が一緒だから覚えやすい、臨床にも役立つ

【隙間時間にiPhone、教室や自宅ではiPadやパソコンで勉強できる】

iPad虫様筋1400-iPadでも勉強できる

Ankiは、iPhone、iPadだけでなく、Mac、Windows、Androidの好きな端末で勉強できます。そして各端末で学習データを同期させることができます。

暗記作業は繰り返しがポイントです。移動時間など日常生活の中で少しの空き時間を効率良く使って暗記をすすめ、じっくり机に向かって学習するときはiPadやパソコンなどの大きい画面で勉強を進めることができます。

【復習のタイミングを最適に調整してくれる】

忘却曲線ってご存知でしょうか。
授業などで学習しても、復習しなければどんどん忘れていってしまいます。
復習をするたびに記憶が強化され、忘れにくくなっていきます。

Ankiのすごいところが、「復習のタイミングを最適に調整してくれる」というところです。忘却曲線に沿って、適切な問題をだしてくれます。

わかる問題もたまに復習することで記憶が強固となり忘れなくなります。
分かりにくい問題は、短い期間で何度も復習することにより記憶できます。

■ Ankiに興味が出てきた?? - メリットとデメリット -

Ankiは以下の環境で使うことができます

・iPhone, iPad(3,000円)
・Mac(無料)
・Android(無料)
・Windows(無料)

iOSだけ有料なのが痛いところですが。。上手く使いこなせると学習効率がかなりアップします。有料ですと購入に迷うことが多いかと思いますので、私の感じたメリットとデメリットをあげてみます。

【Ankiのメリット】

・適切なタイミングで復習問題を出してくれるので、とても効率良く記憶できる
・パソコンやモバイルでデータを同期でき、いつでもどこでも学習をすすめられる
・日々の勉強の中で、自分でカードを作っていくことで、どんどん勉強が進んでいく
・自由度が高く、使い方を覚えていくことでいろいろなことができる

【Ankiのデメリット】

・iOSだけ有料
・自由度が高いがゆえに、始めは何をしていいのか分かりにくい

■ まずは筋肉の勉強で使ってみてほしい

Ankiが本当に価値を発揮するのは、自分自身の学習スタイルに溶け込んで、自分でどんどんカードを作っていくことだと思います。ですが、全部自分で始めからデータを作り上げていくのは、とても大変ですし、試してみようという気持ちになかなかならないと思います。

私は元々、専門学校の専任教員だったので、いわば「教えるプロ」として活動していました。ですが、授業をしていてずっと感じていたことは、「単に知識を教えるだけでは、全然勉強してくれない人もいる」ということでした。

「学習者ひとりひとりが、効率良く学習するための支援をすること」
このことが大切だと考え、ずっと行動してきています。

さて、前置きが長くなってきましたので、これくらいにして実際にankiの使い方に入っていきます!

■ Ankiの導入 (iPhone, iPadの場合)

【Ankiのインストール(iOS)】

anki01-iOSインストール-

① ankiのインストールはApp Storeより行ないます。App Storeを立ち上げ
② 検索よりankiと入力してください。関連ソフトが表示されます。星のアイコンのソフト(AnkiMobile Flashcards)がankiです。
③ AnkiMobile Flashcardsは¥3,060(2022年5月現在)の有料ソフトです。少し高いですが、使いこなせると学習にたいへん役立ちます。MacやAndroid、Windows版は無料です。

【Ankiの立ち上げ】

anki02-立ち上げ

① インストールされたAnkiを立ち上げてみます
② Ankiの最初の画面が表示されました。

Ankiは語学や医学、その他覚えることを必要とする勉強に関してはとても役立つツールです。ですが、自由度が高いがゆえに、最初の画面を見ると「何をしていいのかわからない😱」となって、放り投げてしまいそうです。
筋肉暗記カードをまず使えるようにして、ぜひAnkiとお友達になってください!

■ 筋肉カードのダウンロード

anki03-筋肉カードDL①

① Ankiを立ち上げると、「デッキ」という画面になっています。
  画面左下「追加/エクスポート」をタップしてください
② 「リンクをダウンロード」をタップ
③ リンク先を入力する小窓がポップアップ表示されますので、
  https://www.anatomy.tokyo/mcard
  と正確に半角小文字で入力してください。

(↓コピペ用リンク無し)
https://www.anatomy.tokyo/mcard
anki03-筋肉カードDL②

④ 正確にURLを入力するとデータのダウンロードが始まります
⑤ 自動的に筋肉カードがインストールされます
⑥ + ボタンをおすと、内部がさらに表示されます

■ Anki 簡単な用語説明(カードとデッキ)

anki04-簡単な用語説明

高性能単語帳がデジタル化したものがAnkiだと考えるとイメージが湧きやすいと思います。1枚のカードには、文字だけでなく、画像も使えますし、音声も埋め込むことができます。

そして、何より優れているところが「自動復習機能」です。一度覚えた内容でも、時間の経過とともに、徐々に忘れていきます。Ankiは忘れそうなちょうど良いタイミングで過去に覚えたカードも新規カードに混じって出題されます。「思いだす」ことで記憶は強固となり、どんどん忘れにくくなっていきます。(分散学習

ひとまとめの単語帳を、Ankiでは「デッキ」と呼びます。
複数のデッキを入れ子にすることもできます。(親デッキ、小デッキ)

■ 筋肉カードを使ってみる

anki05〜筋肉カードを使ってみる①

① デッキが階層となっている場合は、好きなところから勉強を始めることが出来ます。
② ここでは一番上の筋肉をタップしてみます。

anki05〜筋肉カードを使ってみる②

③ 筋肉名が隠れています。画面のどこかをタップすると答えがでます。
④ 答えがでます。 画面下に「もう一度」「難しい」「正解」「簡単」というボタンがでます。どれかを選びます。

ここまでで、Ankiを使った勉強は十分できます。
以下は、Ankiの復習システムの仕組みなど少し細かい話しとなります。
実際に使ってみないとイメージがわかないので、まずはここまでを是非試してみてください。

↑↑ ここまでで勉強できます↑↑

■ 新規・学習中・復習カードと復習間隔

anki06-新規・学習中・復習カードと復習間隔

① 問題下に3色の数字があります。その日に学習するカードの残り枚数です。
青:新規カード
1日に勉強する新規カードは20枚に設定されてます。ほどよく続けられる数です。
赤:学習中カード
1日に何度か同じカードが出題されます。しっかり記憶に残すための仕組みです。
緑:復習カード
過去に勉強したカードで、その日に復習するカードの枚数です。

② 新規カードを一度回答すると、学習中カードになり、同じ日に何度か出題されます。「簡単」を選択すると、復習カードへ分類され、後日の出題になります。

③ 復習カードでは、再出題される日にちがだんだん延びてきます。「もう一度」を選択すると、復習カードから学習中へとカードが戻されて、また当日に何度か出題されるようになります。忘れてしまったら、再び繰り返し勉強できます。

■ 【参考】カスタム学習について

anki07-【参考】カスタム学習について

【カスタム学習の使い方例(参考)】
① 新規カードと復習カードの全てを学習が終わりました。毎日続けることが大切なので、1日20問はちょうど良い量かと思います。

② しかし、テスト前などで集中的に詰め込み学習したい場合もあるかと思います。そのような場合は「カスタム学習」をタップしてください。

③ もう少し「新規カード」を勉強してみたい場合「今日の新規カードの上限を上げる」をタップし、画面下オプションの「今日の新規カードの上限に上乗せ」の数字を0 → 10に設定し、画面右上の「完了」をタップします。

④ 10枚の新規カードの学習画面になりました。

■ 筋肉カードへの想いと特徴

多くの学生さんたちが、解剖学の筋骨格系を苦手としています。
これは何故でしょうか?

たとえば、「胃の構造と働き」でしたらどうでしょうか。
内臓器でしたら、理論・理屈で働きが説明できます。理論・理屈がわかれば、記憶に残りやすいと思います。ストーリーとして、記憶に残るんです。

では、筋肉ではどうでしょうか。
身体の動きに関しては、理論・理屈で説明が難しいですし、複数の筋が働いています。三次元の構造や動きを言語で説明するのは困難です。

イメージを伴わない起始・停止・支配神経の表を暗記する作業は、暗号表を暗記するのと同じで、とても退屈な作業です。ときに苦痛を伴いますし、一度覚えたとしても、すぐに忘れてしまいます。

だから、私は筋骨格系の勉強法についてアドバイスを求められたときには、「はじめから触診を兼ねた活きた解剖学として勉強する」ことをおすすめしています。
ですが、触診・触察の勉強は相手が居ないと難しいですし、日々の隙間時間で勉強できる内容ではありません。

覚えなければいけないことは沢山あり、時間も足りない。。。

私は「勉強を生活の一部としてカジュアルに溶け込ませる」
これが大切だと考えています。そしてIT技術を活用して学習を効率化する。

その理想に、今現在最も近いのが「Anki」です。

ですが、「Anki」は使い方が少し難しいんです。
難しいというか、とっつきにくい。

色々なことができる、素晴らしい可能性を秘めています。色々なことが出来るゆえに、始めは真っ白なノートのようです。
「これは素晴らしいノートだから、今日からこのノートを使って勉強しなさい。」
と言われても、どうやって勉強していいのか途方に暮れてしまうと思います。

だから、私は自分自身が提供できるコンテンツをAnkiのデッキ形式にして提供して、まずは多くの方に、Ankiを試してみてほしいと思ってます。

そして、Ankiとお友達になって、Ankiが好きになって、皆さんが自分でカードをどんどん作って、日々の勉強に役立ててほしいんです。

きっと、素晴らしい効果が訪れます。

■ まとめ

【Ankiのダウンロード】

・iPhone, iPad
・Mac
・Android
・Windows

【上肢の筋肉カード】

https://www.anatomy.tokyo/mcard

(Anki共有デッキへの2次アップロードはご遠慮願います。)

■ 一問一答、国試過去問やその他の筋肉カード

一問一答や国試過去問などをAnkiデッキ化しています。マガジンで提供しています。


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