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今日のプチ解剖:小脳の機能として誤っているのはどれ?

こんにちは。かずひろ先生です。
解剖学をなぜ毎日勉強するのか? それは解剖学が大好きだから。
とはじめはウソでもいいので想ってみてください。きっとそのうち、本当に解剖学が大好きになりますから。

<あマ指-2002-53>
問題8-50 小脳の機能として誤っているのはどれか。
 1.協調運動の調節
 2.身体の平衡保持
 3.熟練した運動の記憶
 4.情動行動の発現





さて、こちらはどうでしょう。

【答え】

4.情動行動の発現(視床下部の機能)

この問題の「4. 情動行動の発現」以外の

1.協調運動の調節
2.身体の平衡保持
3.熟練した運動の記憶

この3つが小脳の機能をとても簡潔にあらわしています。

小脳の機能は発生に少しだけ目を向けてみると、すんなりと腑に落ちます。

片葉小節葉は発生学的には原小脳に分類され、魚類の小脳と同様です。前庭からの平衡覚が入力し、身体の平衡保持に働きます。海の中の魚は、陸上に比べて重力の影響も少ないですし、ひれはありますが、関節のようなものもあまりないので、深部感覚も重要ではないのでしょう。

生物が進化し、両生類や爬虫類が生まれて陸にあがりました。
陸上では水中にくらべてはるかに重力の影響を受けますし、前肢や後肢の関節の角度や体幹の動きなどとの連携も大切になります。そこで新しく進化したのが小脳の前葉、発生学的には古小脳といわれる部位です。前葉は脊髄からの深部感覚が入力するところで、協調運動の調節・運動の遂行を円滑に行うところです。

そして、さらに進化し哺乳類が生まれました。
より精密な動きが要求されるようになり、大脳からの運動命令のコピーが小脳へも送られるようになりました。これが小脳の後葉で、発生学的に新小脳といわれる部位です。運動のプランニングや熟練した運動の記憶に働く部位です。


4. 情動行動の発現
こちらは視床下部の機能です

■ まとめ

アナトミーブートキャンプ - 8.神経系©.054

触診のコツ。やわらかく触れ、指紋部のヨレで感じる。
そして、触れる目的の構造物(筋など)を明確にイメージすること

いつもマガジンやブートキャンプのことばっかりだと飽きちゃうと思いますので笑、今日は触診のコツについて。

たとえば、「縫工筋」ふれてわかりますか?

表層にあるので、皮膚を介して触れることが可能です。ですが、ふともも触れて、「これが縫工筋」とわかりますでしょうか。

いくつかのコツを書いてみます。ここでは「筋」にしぼって書きます。

① 触れようとする筋を「つぶさない」こと
指を押し込んで、目的の筋をつぶしてしまうと、形などは全然わからなくなります。ふわりとやわらかく触れる。え?こんなにやわらかくていいの?くらい軟らかいほうが、触診力はあがります。

② 筋腹の真ん中ではなく、縁をたどること
触れたい筋肉を動かしてもらい、それをさわって、うん。ここにあるね。ですと触診にはなりません。筋肉の縁を触れ、形や走行を感じ取っていきます

③ 目的の筋をありありとイメージする
もう一度、縫工筋に話をもどします。漫然とふとももさわっても、恐らく縫工筋はわからないかと思います。ここに縫工筋が通っているはずだと、解剖学で勉強する起始・停止をイメージします。「ここに縫工筋がいるはずである」と思って触れると、指先の感覚受容器が感じるほんの少しの段差や溝などを大脳が感じ取ることができます。座学の勉強をもとにしたイメージが触診力を飛躍的にたかめます。

④ 指紋部のヨレで感じる
手指の使い方も大切です。おすすめは左右の人さし指を交叉して、左右の中指と薬指の4本を一直線にします。この4本で触れ、指紋部で筋膜を立体的になぞるようにします。3次元的にスキャンする感覚です。
指紋の山谷山谷のひとつの山の下には2列の真皮乳頭があり、マイスネル小体がびっしりと配列されています。指紋は単なるすべり止めではなく、感覚を鋭敏にする構造なんです。

運動器系の解説にはいったら、触診関係のこととかもっと沢山書きたいとおもっています。はやく運動器はいりたいです。

私の知識やスキルなどが、どこかの誰かのお役に立てることはとても嬉しいことです。ありがとうございます。