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大葉を買い忘れることと人生は似ている

この時期、スーパーでの買いもので、うっかり買い忘れるものNO.1は大葉ではないかと思う。
トマト切ってポン酢かけて大葉乗せただけで夏らしい一品ではないか。
冷奴に大葉、きゅうりの浅漬けに大葉。
さわやかな風味ゆえ、夏はよく大葉を使う。

野菜コーナーというのはおおむねどのスーパーでも入口すぐに位置している。
そしてわたしは野菜コーナーからまわりたい派なので、この配置はありがたい。
なのになぜ大葉を忘れてしまうのか。

入口すぐにはトラップが仕掛けられているからだ。
なす1本38円!
きゅうり1袋110円!
スイカどーん!

つい足を止めてしまうではないか。
スーパー側のマーケティング戦略にまんまと引っかかっている。

「あら、なすがお安いのね。麻婆茄子でもつくろうかしら」
「たしかサバ缶あったよな…冷や汁もいいねえ」
などと目の前のなすときゅうりに心奪われているうちに、大葉の存在を忘れてしまう。

大葉が入口付近の特売コーナーにならんでくれたらよいのだが、残念ながらわたしは今まで一度もその光景を目にしたことがない。


帰宅して「さあ夕飯つくりますか」と調理台に食材をならべてから気づく。
「大葉買いに行ったのに、あほか!」

∽∽∽

人間ね、目の前のことでいっぱいいっぱいなのよ。

目の前になにかが表れたら、一瞬でも見ちゃうでしょ。
赤信号だったら止まらなきゃいけないし、前から人が歩いてきたら避けるし、なすがお安かったら手が伸びる。

目の前のPCに向かって、目の前の締切をなんとかクリアしようと思っても、もっと目の前に通知という招かれざるお客さまがやってくる。
チャットツール、電話、宅配便のインターホン…。
さてと、と座ったタイミングでやってくる尿意と睡魔。

人生だってそうだ。
さあこれから!というときにやってくる転勤の報せ、お仕事打ち切りのお報せ、夫の噴火、結婚式の余興の依頼、腰痛、悲しいニュース…。

なかなかだいじなことには取り組ませてもらえないの。
目の前よりもっと目の前になにかがカットインしてくるの。
格闘技の煽りあいみたいに、もうおでこがひっつくんじゃないの?と思うぐらいの至近距離に。


すべてのカットインに頭突きをくらわせながら、頭を痛めながら、それでも人生は強制スクロールで進んでいくし、そうやって進んでいくしかないのだろう。

明日は無事に大葉を買って帰れるだろうか。



今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたがつい買い忘れてしまうものはなんですか?

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