見出し画像

向上心のある教育実習生だった頃のこと

私はずっと、小学校の教員になりたいという夢があった。
大学時代は、そこそこ志の高い熱心な学生だったと思う。

それほど夢中だった。早く先生になりたくてなりたくて。今頑張れば、先生になれる。一発で試験に合格するんだ!と。

暇さえあれば、同じ志を持つ大学の仲間と、集団討論の練習をした。教育について語り合うのは楽しくて楽しくて仕方がなかった。
自分の学級をもったらやりたいことがたくさんあったし、友達のそれを聞いているのも刺激的だった。
学ぶことが楽しい、なんて素敵なことなのだろう。

教育実習では、田舎の母校に行った。
自分が教育実習生として母校に来られること自体が感慨深く、ここまでの自分の頑張りに感謝した。
あの頃の景色が懐かしい。変わらない部分も、変わった部分も全てが愛おしかった。

2年生のクラスに入った。担当教員は大ベテラン。学級経営が素晴らしすぎて、何だこのクラスは!と驚いたのを覚えている。2年生でもこんなに自分で動けるんだ…って。
声を張り上げなくても、一言でサッと動ける。
誰かが話す時は、目を向け、耳を傾けられる。
始まりの時間までに授業の準備ができている。
係活動がとても活発で自主的に動ける。
とにかく規律が整っている。おかげで授業もやりやすい。

これは人の手で育てられたものだと、素人同然の実習生でもわかった。その時の担当の先生が話してくれた言葉が忘れられない。

「日々の生活指導が大事。その細かくて丁寧な指導の積み重ねがあるから、初めて学習指導が成り立つ。」

生活指導の上に学習指導がある。
時間を守る指導があるから、学習が始められる。
正しい姿勢の指導があるから学習内容が入っていく。

時間通りに席に座り、学習用具を準備し、挨拶をして始められる。子供なら当たり前にできると思っていたが、意図的に身につけさせていく技ということか。

ここまで時間をかけてコツコツと育ててこられた先生に対する尊敬の念が大きくなるばかり。

教育って深い。面白い。
私の心は燃えた。こんな学級を作りたい。
早く自分の学級がもちたくなった。
新人が初めからベテラン教員のように一筋縄で行くはずがないのだが、こんな学級を目指したいと目標となるものができた。
それはこの後の私の教師人生に大きく影響している。間違いない。

子どもの姿、先生方の声掛け一つ、教育技術。
学生だった私は、生の教育現場で活躍する先生方のどこを切り取って見ても感動していた。
その心が成長の鍵だったと思う。
私本体にスポンジみたいな吸収力があったからね。

6年目の今でも、あの時の言葉を忘れずに、どんなに小さなことでも大切に指導することを心がけている。

教育は、人なり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?