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今日ときめいた言葉7ー「あなたの人生はあなたのもの。自分を大切に、勇気を持って、思うがままに生きていけばいい!」

上記は、自身が自閉症スペクトラム症と注意欠陥・多動性障害(ADHD)、書字障害がある青年の言葉である。

2022年11月12日付 朝日新聞「入学初日 越えた日本での壁」から。
自身の障害が日本の学校での学びを困難にしていたが、海外のインターナショナルスクールでは、そんな障害は問題にはならなかったと言う体験に基づく話である。

日本で、書字障害のために高校入試時のパソコン使用を求めたが、拒絶された。その後、父親のベトナム赴任に伴い、現地のインターナショナルスクールに入学して、同じようにパソコン使用を申し出た時、校長はその場で承認したそうだ。

「日本であれほど苦労しても乗り越えられなかった壁が、障壁にはならないと思い知った」

この話を読んだ時、私自身の体験を思い出した。日本社会は何か新しいことをやろうとすると、まず拒絶される。それは日本という組織、社会、国家が前例主義で成り立っているからである。特に学校や役所などのような閉鎖された組織に顕著である。

新しい方法がどんなに優れているかを訴えても、前例がないの一言であれこれダメな理由をつけて認めない。彼らは「どうやったらそれが可能になるのか。実現できるのか」というポジティブな発想をしない。決断をすることに臆病である。だから旧態依然が継続する。それがどんなに馬鹿げたことに思えてもである。

また、有名な「暗闇レストラン」(見える人はアイマスクで目を覆い何も見えない環境で、全盲の人の案内で食事を味わう)での体験は彼に次のように言わせる:

「生きづらさは環境によって作られると確信しました」

そして、彼自身についての気づきもあった。

「スピーチや発表は得意で書くのは苦手な人と思っていたが、ここでは端末のおかげで書くことは得意な人になり、逆に英語力のなさからスピーチや発表は苦手な人に変わった。手書きができなくても学ぶことはできる。一元的な学び方に固執し、絶望していた自分の甘さに気づいた」

次にミャンマーに移り住んでもインターナショナルスクールで配慮を受けて学び、国際バカロレア(大学入試資格)を取得した。

自分の将来の夢ー国際熱核融合実験炉ITER(イーター)で研究したいーのためにオランダの大学で物理学を学んでいる。この大学でも、試験や授業でのパソコン使用や試験時間延長などの配慮を受けているそうだ。

日本での幼かった日々を振り返って:

「無意識的な偏見が多い社会と感じる。学びで大切なのは『読み書きそろばん』だから手書きが大事」「子育ての責任は母親」「変わった子が犯罪者になる」
これまで浴びせられた言葉を思い出しながら日本の教育も変化を恐れずもっと変わってほしいと強く思う」

自分の強い思い込み「科学は人を助けるものだ」が、核融合の研究者になるという夢につながった。自身の特性である思い込みが、学びを止めず、未来へ向かわせてくれた。だから思う。

「あなたの人生はあなたのもの。自分を大切に、勇気を持って、思うがままに生きていけばいい!」

またしても思う。「日本の学校教育大丈夫?」と。日本の学校の硬直した体質や狭量な精神風土が、ポテンシャルのある人間を排除してしまっている。そのような人間に「海外の方が生きやすい」と言わせてしまっている(ノーベル賞受賞者の真鍋博士しかり)

このような社会には多様性や寛容の精神など根付かない。周りを見回して、恐る恐る自分を合わせて行くのだろう。自らは進んで変わろうとはしない国民なのだろう。


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