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私たちはなぜ学ぶのか(7)ー夜間中学で学ぶということ(続)

2022年11月7日付 朝日新聞の記事「『同じ人間』伝えたい」から。
日本で働く父親に呼ばれて14歳の時に、ネパールから来日した青年の話である。

日本で言えば中学生の年齢であるが、16歳になるまで学ぶことはかなわなかった。ホテルでアルバイトをするようになった時、夜間中学のことを知り入学したという。

1年間で卒業して、もっと勉強がしたいと定時制高校に進学した。国語など一部授業は別に受ける以外は、日本人の生徒と一緒だそうだ。彼の言葉:

「日本に来て、めっちゃ知らないことが分かるようになった。先生は勉強だけではなく、生活に必要な知識を何でも教えてくれる。学校は百パーセントの信頼、安心。」

仕事、学校、ジム通いと充実した日々を送っている。学校でも職場でも、外国人だからと、いじめや差別を受けたことはないという。

この彼の言葉をとてもうれしく読んだ。東南アジアからの技能実習生に対する不当で悲惨な待遇について、たびたび聞いたり読んだりするにつけ、悲しさと憤りを感じてきた。この国の人間には、人権意識がないのかと。

彼は学ぶことで自分の中に眠っていた力を覚醒し、 希望や勇気を得て、生きる力を開花させた(Empowerment エンパワーメント) 、幸せな事例の一つである。

だが、彼は一つ不満を呈している。それは警察官からの職務質問である。これまでに数十回経験しているそうである。多い時には、月に複数回。両腕を上げた状態で体を調べられるという屈辱的な取り調べも経験している。

「レイシャル・プロファイリング」(人種や肌の色に対する偏見から捜査すること)と言うそうだ。これは世界的に問題になっているそうである。東京弁護士会のアンケートによると、外国にルーツのある2千人の63パーセントが、過去5年間に職務質問を受けたと答えているそうである。この問題、我が家にも起こった。

二女の夫はアメリカ人で、我が家に遊びに来た時に近所の交番の警察官にパスポートの提示を求められたそうである。でも彼曰く、「家族と歩いているときは呼び止められない」らしい。だから彼は、常にパスポートを持ち歩くことにしていると言っていた。

「あっ、ガイジンだ!」の意識がまだまだぬけていないのだなあ⁈

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