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ただただ、誰かの恋の物語。

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マガジン

  • だれかの恋物語

    だれかの心に少しはあるはず あの瞬間 あの思い出 その気持ち

最近の記事

ついつい思い出しちゃう、ってすごいよね。

風の中に温かい香りを感じた時。 照らす太陽が肌をじりじりと確実に焼いていった日の夕暮を見た時。 鼻を通り抜ける冷たい空気が、シンっと身体を通り抜け、同時に吐く息が白く眼の前をかすめる時。 こんな瞬間にいつもいつも決まって思い出す、とっても会いたい人がいる。 それって、ただ少しの感情の隙間に思い出すセンチメンタルで、あぁあんな人と付き合ってたなぁとか、 大好きだったなぁ、とかって思い出の引き出し開けて暇つぶししてるのとおんなじことだと思っていたけど、どうやら全く別物のようで。

    • それってほんとに恋なのかい-2

      野球部のキャプテンに恋をする。しかも、試合での姿を見て、ひとめぼれ。 教科書に載ってるような例文だな!おい!というくらい青春の通り道ど真ん中を歩いていた私。 彼に恋をした、と自分が気づいて、生活が変わった。 大学生の彼とは別れた。野球部は甲子園に行けず、夏の戦いが終わった。夏休みが終わったら、学校に行くのが死ぬほど楽しくなった。朝何時頃にどこにいれば、彼に「おはよう」と言えるか、何曜日の何時間目は移動教室ですれ違えるチャンス、とかそんなことにどんどん詳しくなっていく。

      • それってほんとに恋なのかい-1

        ルーズソックス。携帯電話。ミニスカートの制服。日焼け。似たような曲が流れ、駅の裏の大型商業施設はまだなかった頃。今の夏よりはまだまだ暑さの柔らかかった、高校生の夏に、恋をした。 恋って断然夏にするのがいい、とそれから何十年も経っても思っている。楽しさも、嬉しさも、どきどきも、ぎらぎらの太陽とこだまする蝉の声で、5倍増しくらいで味わえるから。 高校3年生はそれまで部活漬けだった自分の頑張りを、自分で昇華させるのに必死だった。こっそりバイトをして、他校の友達と遊んで、大学生と

        • 君の

          踏切の音 肌を刺す温度 耳に届く かすかな誰かの話し声 左手の暖かさと きっと 一生 忘れない あの朝靄 空気の色 もう2度と確かめられない何かを それでも 2度とない温かさを思い出して あと少し あと少しだけ ここからあなたを見てみたい 遠い昔の私が知らなかったものを 忘れた頃の私が 手に入れる 1番欲しかったものに触れてみたら ただ 心地よい温かさだったことを 教えてあげたい あるかないかの答えの中で 一度ある が答えだったのは 幸せではないけれど

        ついつい思い出しちゃう、ってすごいよね。

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        • だれかの恋物語
          10本

        記事

          たとえばそれが

          さっきまで見ていたあなたは 見たことあるような仕草と 見たことなもない仕草と 触れられそうで 届かない その笑いかた その話しかた その見つめかた 昨日のように思い出せるけど 本当は新しいあなたをもっと増やしたい 悲しい時や 怒った時も 一緒にいられたらいい 目覚めて初めて さっきまで隣にいたあなたは 夢だったと少し驚いて いくつかホッとする あんなさよならはいらない たとえそれが夢だとしても

          たとえばそれが

          言葉の向こう

          クルマの バイクの走る音 誰かの小さな話し声 赤信号の点滅の音 真夜中の音 先ほどずいぶん傷ついたあたしは 眠れもしないで 考えている 歩きながら考えている 息は白く 月は霞み 街の光に ひとり すれ違う犬 数々の瞳 あたしの嫌いなとこ きらいなとこ あなたが味方でいてくれると 感じながら 夜道を歩く 歩く ひとり

          言葉の向こう

          あの日

          たくさんの悲しいことを生んだ出来事でさえも 私の奇跡の出会いの始まりだったりする お互いの小さな決断がひとつでも違っていれば 私たちは会うこともなく 話すこともなく あの清々しい時期を共にすることもなかった 今までの誰よりも強くそう思えるのは 大きな決断ばかりのあなたの人生に ほんの一瞬でも出会えたことを あれからずっと 毎日考えているから いつか じゃなくて あの時でよかった と今なら強く思える

          あの日

          とける氷

          ゆめ クリスマスの二日後 今年の終わり もう何年も思い出していないひと けれど、いったん思い出すと するすると美しく滑り落ちてくる おとや匂いや色かたち そんな風に 私の中に今も響いている人 そのひとが夢に出てきた朝は とても寒くて とても心地よく とても明るい朝 彼の胸で割れた 身代わり守りは 私のそれと全く同じはずなのに 異なる色で 代わりに差し出した私のお守りを 静かに拒む その一言も とても彼らしく 少し微笑ましくもある そんな風に思える日が来

          とける氷

          あたらしい世界

          時が止まる。 あのひと時を思い出すには、音を止め、話をとめ、思考を止め、風も止めたい。 そうしてやっと、その夜の一瞬を、つとつと思い出す。 ゆっくり。ゆっくり。 断片的でも確実に。 初めての夜ほど素敵なものでもないし、欲しいものはこの手にない。 だけども、誰にも言えないけど誰かに言いたい。なんていう、素敵な時間をもらった。 信号待ちで立ち止まる。 電車の時間に立ち止まる。 今は限られたその時間に、溢れ出るのは、あの夜あなたが触れた記憶。 会話。 温度。 表情。

          あたらしい世界

          ゆめ

          思い出して 思い出して 昔の感情を呼び起こしてはため息をつき つぶやく独り言はいつも同じ それがやっと落ち着いた頃 これ、忘れてるよ とだれかが私に教えるかのように 夢を見る

          時間

          その日から毎日。 毎日、毎日、あなたのことを思い出しては、過ごしている。 日々の思考の時間の始まりは、いつもそこから。 夢の続きを思い出す時。 これからの希望を組み立てる時。 好きだとか恋だとか歌う人がいた時。 眠りにつこうとする時。 あの日の始まりから終わりまでを、全部きれいに書き並べられたら、どんなにいいだろう。 あの日の気持ちを忘れる恐怖とこんなにも闘わないですむなんて。 それだけで、どれだけわたしのかつての恋は救わることだろうか。