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とける氷

ゆめ
クリスマスの二日後
今年の終わり

もう何年も思い出していないひと
けれど、いったん思い出すと
するすると美しく滑り落ちてくる
おとや匂いや色かたち

そんな風に
私の中に今も響いている人

そのひとが夢に出てきた朝は
とても寒くて
とても心地よく
とても明るい朝

彼の胸で割れた
身代わり守りは
私のそれと全く同じはずなのに
異なる色で
代わりに差し出した私のお守りを
静かに拒む

その一言も
とても彼らしく
少し微笑ましくもある

そんな風に思える日が来るなんて

あたたかいようで残酷な一言を
まるで風船を抱くように
このわたしが受け止めるなんて

そんな日が来るなんて

思ってもいなかった

わたしに教えてあげたい
あと少しの我慢だよ、と

それと同時に
膝から崩れ落ちたいほど悲しい

わたしが彼のことを
好きじゃなくなるなんて

信じられない
ほど
悲しい

ああ
せめて
彼の夢だけでも
見られるわたしでいたい

彼のことを
眠れないほど

本当に
眠らなくていいほど
想っていた

わたしのために

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