パン食ってたらジェンダーを植え付けられた4歳の春
幼稚園のさくら組。
私の幼稚園では、年中組はさくら組と呼ばれていて、私はそのさくら組から入園した。
生まれてこの方、日中は母親か祖母か近所の老人たちの側で育った私は、子どもだらけの環境で過ごす毎日もカルチャーショックだったし、新卒の幼稚園の先生からは生まれて初めて「他人」を感じてドキドキした。
近所の老人だって他人なんだけどさ、あれはもう距離感が祖父母。
通っていた幼稚園は、火曜と木曜は「パンの日」で、給食にはパンと牛乳が出た。
その日はソーセージパンかなんかで、食べたあとには机の上にパン屑が散らばっていた。
何の気なしに、パン屑を机の真ん中に集める。
食べたあとの机の上を綺麗にするのは、なんとなく大人になったような気分がして、ちょっとカッコいい気がした。
先生に見られたらほめられちゃうんじゃないの?
そんなことを考えていると、
近付いてきた先生は
「あーあ、女の子なのに…」
と呟いた。
女の子……なのに?????
超絶シャイな私は理由を聞くこともしなかったのだが、
「きっとパン屑を落としながら食べたのがいけなかったのかな…」
と思った。
女の子はパン屑をボロボロ落としながら食べないのかもしれない。
あくまで4歳の私の視点なので、先生から見たら私は信じられない量のパン屑をこぼしてたのかもしれないし、パン屑を集めて遊んでいるように見えたのかもしれない。
右手でパン屑を集めつつ、
左手でものすごい勢いで鼻をほじっていたのかもしれないし、
パン屑を集めながら無意識に
「う◯こ、ち◯こ、う◯こ、ち◯こ」
とか男児大好きワードを口走ってたのかもしれない。
でもなんとなく、先生が何気なく放った
「女の子なのに」
は30年弱経った今でも頭から離れない。
そう、約30年前の話だ。
「オカマ」「オナベ」は子どもたちが爆笑するワードの一つだったし、
男女別に並んだ列からちょろちょろとはみ出てしまう落ち着きのない子には
「男の子の列に並べないユウタくんは明日から女の子になってもらいます!明日からユウコちゃんだからね!」
みたいな冗談めかしたお説教も当たり前のようにあった時代の話だ。
そういう時代の話だ。
今は
「男の子なんだから泣かないの」
「女の子が大きな声で騒ぐんじゃありません」
みたいな子どもへの声掛けは良くないと、みんなが知っている。
あの頃の当たり前だった
「女の子なのに」
に、私はその後ずーっと縛られていくことになるのだけれど、それはまた今度。
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